数字で見てみる 「市川市行徳地域のムスリム人口」
| ②の青い部分が行徳管内(出典:市川市 町丁別人口〈住民基本台帳〉) |
千葉県市川市行徳駅前にある行徳ヒラーマスジド(行徳モスク)の近くに、サッカーコート1.2面分の広さを持つ南沖公園があります。
モスクで礼拝が行われる際に、建物に入り切れなかった参加者が南沖公園で祈りを捧げていたようです。こうした公園使用が30年ほど続いてきたものの、2026年5月19日に、公園使用申請を取り下げるように市川市からモスクの役員に伝えられたとのこと。
1997年の設立時から毎年のように、犠牲祭の日には行徳モスク前の南沖公園の一部を使って数分間の礼拝や出店を出しての交流活動を行ってきた。代表役員の男性によると、今年も27日の実施を前にゴールデンウイーク明けに市に申請書を提出。だが、19日になって市公園緑地課から突然申請取り下げを要請された。翌日、市役所で改めて話し合ったが、物別れに終わった。市幹部に「犠牲祭の日は通常より多くの人が集まる。公園を利用できないと施設から人があふれ、近所に迷惑をかける恐れがある」と理解を求めたが、受け入れられなかった。市側は「人が公園に集まると近所の人が遊べなくなる」ことを理由に取り下げを求め続けたという。公園緑地課によると、公園の使用許可は内規で基準が定められ、政治的、宗教的な主張が目的の活動は禁止。礼拝などは基準の範囲内と認められている。同課の担当者は取材に対し、話し合ったことは事実上認めたが、申請取り下げ要請や理由については「個別事案には答えられない」としている。
市公園緑地課によると、内規で公園の使用許可基準を定めており、政治上、宗教上などの主義主張を目的としたものを禁止している。内規に基づいて公園での宗教上の演説や勧誘は認めないが、礼拝は基準に抵触しないと判断してきたという。公園緑地課の担当者は、19日の話し合いを「事実だ」と認めつつ、申請の取り下げを求めたかどうかについては明言を避けた。話し合いに出席した市街づくり部長は「何も話せない」と取材に応じなかった。
このニュースに関連して、Xで以下の投稿がありました。
市川市行徳地域のムスリム人口ですが30年前は150人今は1500人人口が10倍に膨れ上がってるんですよ一方公園の面積は同じです単純に30年前と同じことができるわけないでしょう
https://twitter.com/gpl4l/status/2058224668046487887
上のように、「イスラム圏3カ国(パキスタン・バングラデシュ・インドネシア)」が国籍の外国人の人口推移のグラフも投稿されていました。
「市川市行徳地域のムスリム人口」が「今は1500人」。
この数字について、調べました。
政府が発表している在留外国人統計(2025年6月)を調べたところ、市川市のパキスタン・バングラデシュ・インドネシアが国籍の外国人の人口は1160人でした。
○インドネシア 732人
○バングラデシュ 246人
○パキスタン 182人
■在留外国人統計
繰り返しますが、市川市全体で1160人。「市川市行徳地域のムスリム人口」が「今は1500人」とは、大きく乖離しています。
投稿のデータ出所は「市川市が公開している国勢調査のデータ、住民基本台帳、および行徳地区の外国人居住比率(市全体の約50%が行徳に集中)」とのことですが、政府のデータと異なるのでしょうか。なお、国勢調査は実際に住んでいる場所で、住民基本台帳は住民票の登録地で、在留外国人統計は在留管理制度に基づくデータで、 人口を集計しています。
投稿の「行徳地区」がどこを指しているのかは不明ですが、市川市の行徳管内の面積は12.614平方キロメートルで、市の22.34%に相当します。
住民基本台帳によると、2026年4月30日現在の行徳管内の外国人数は1万2081人で、市の47.37%、つまり約半数に相当します。
乱暴な計算だと、行徳管内に住むパキスタン・バングラデシュ・インドネシアが国籍の外国人は580人(1160人の半数)となります。ちなみに住民基本台帳に年齢別のデータはあるものの、国籍別はありません。
毎日新聞の記事では、「内規に基づいて公園での宗教上の演説や勧誘は認めないが、礼拝は基準に抵触しないと判断してきた」と書かれています。そのため、今回のケースでは、礼拝という宗教的な行為が理由で、市川市が申請の取り下げを求めたとは考えにくいでしょう。「公園で盆踊りはOKで礼拝はNGは変じゃないか」という言説は、趣旨から外れているかもしれません。
アメリカのシンクタンクであるピュー研究センターのレポート「2010年から2020年にかけて、世界の宗教情勢はどのように変化したか イスラム教徒の人口増加率が最も高く、キリスト教徒の人口増加率は世界平均を下回った。」によると、世界での信者の割合は以下のとおりです。
□宗教 信者の割合(%)
キリスト教 28.8
イスラム教 25.6
無宗教 24.2
ヒンドゥ教 14.9
仏教 4.1
ユダヤ教 0.2
人口減と少子高齢化が進む日本で、海外から働き手を招くのであれば、単純に考えるとキリスト教とイスラム教の信者が増えることになります。
日本人の場合、暮らしの中に仏教や儒教、道教などの考えやしきたりが自然に根付いていて、宗教のあり方を意識する機会がなかったように思えます。そんな状態で、なじみの薄いイスラム教の文化が一気に入ってきたことで、影響が過大視されているのかもしれません。Xの投稿での「市川市行徳地域のムスリム人口」の数が、なんだかそれを表している気がします。

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