深く眠るためのアーユルヴェーダ ヴァータを鎮めるゴマ油うがいと白湯

 紀元前1700年頃に、中国で暦法が存在していました。同時代に、インドにも暦法があったようです。
 中国とインド、そしてそのほかの地域で、星座などに共通点があることから、「起源はどこだ!」で論争が起こっていたようです。ただ、同時多発的に似たようなことを考える人たちがいても、不思議ではありません。

 過去の記事「深く眠るための東洋医学 不眠に伴う不調・症状でタイプ診断」では、中国の時間医学といえる子午流注(しごりゅうちゅう)を紹介しました。
 インドでも同様に、伝統医学とされる「アーユルヴェーダ」に時間医学の考え方があるのです。

 ガンジス川流域に定住したアーリア人によって、紀元前1500年頃からでき始めた『アタルヴァヴェーダ』の医術に関する部分が独立し、2世紀頃に医学書の『チャラカ・サンヒター』がまとめられ、アーユルヴェーダが成立しました。

 アーユルヴェーダの生活術を考える上で基本となるのは、ドーシャ。生命の科学 アーユルヴェーダ ~ 概念 でも紹介したとおり、人間の肉体と心は、ドーシャという、3つの要素(エネルギー)が担っています。ドーシャには、ヴァータ(風)・ピッタ(火)・カパ(水)があります。

 人間の体の中でドーシャは固定されているわけではなく、時間の経過とともに変動していきます。ドーシャの変動を根拠にして、朝昼晩に何を行うとよいのかなどを検討するのが、アーユルヴェーダでの養生法です。

○一日の変動

早朝:ヴァータ→朝:カパ→昼:ピッタ→午後:ヴァータ→夕方:カパ→深夜:ピッタ


 ドーシャの変動では、睡眠にはカパとピッタが影響しているように見えますが、実はヴァータの乱れが不眠の原因と考えられています。

 いつも気ぜわしく、睡眠時間や食事時間が不規則な現代人の生活では、ヴァータが増大してドーシャのバランスが乱れがちです。そのために、寝つきも悪くなって、よく眠れなくなるのです。

 ヴァータを鎮める手軽な方法が「ゴマ油うがい(オイルプリング)」。
 ゴマ油うがいは、1日の中でヴァータが乱れやすい16~18時に行うことが推奨されています。
 うがい用のゴマ油の作り方は、以下で紹介しました。

■生命の科学 アーユルヴェーダ ~ ゴマ油うがい(オイルプリング)
https://life-livelihood.blogspot.com/2021/01/blog-post_9.html

 また60度以上の白湯(さゆう)を寝る前にカップ1杯ぐらい、ゆっくりと飲むことで、便秘や不眠の解消に効果があったと、アーユルヴェーダの学会で発表されたのだそうです。このことは、以下で紹介しました。

■寝る前に飲むカップ1杯の白湯で不眠・便秘が解消(あくまでも個人的な体験)
https://life-livelihood.blogspot.com/2019/03/1.html

 『クラナリ』編集人が、鎮静効果に驚いたのはシロダーラです。雑誌編集者の頃にインドへ取材へ行き、シロダーラを受けたのですが、意識が飛びました。「飛ぶ」という表現が一番適しているのですが、非常に静かに、非常に穏やかに、外界と遮断されたのです。目が覚めたときには、「このうえもなく深い睡眠が取れた」というスッキリ感が得られました。

 シロダーラでは、温めたゴマ油(うがい用のゴマ油と同じ)を額に少しずつ落としていきます。とても家ではできません。
 市川市内でもシロダーラを受けられるところがネットでヒットし、ほかの施術も入ったメニューで2万円ほどの料金のようです。「深い睡眠を味わってみたい」という人には、個人的にシロダーラをお勧めしています。

■関連記事
生命の科学 アーユルヴェーダ ~ 概念
生命の科学 アーユルヴェーダ ~ ドーシャの変動
https://life-livelihood.blogspot.com/2021/01/blog-post_4.html

生命の科学 アーユルヴェーダ ~ 3つの要素と7つの体質
https://life-livelihood.blogspot.com/2021/01/3_7.html

生命の科学 アーユルヴェーダ ~ 基本的な考え方
https://life-livelihood.blogspot.com/2021/01/blog-post_74.html

生命の科学 アーユルヴェーダ ~ ゴマ油うがい(オイルプリング)
https://life-livelihood.blogspot.com/2021/01/blog-post_9.html
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