市川駅南口アーケード街を巡る時間旅行 その6 検証1「本当に『市川駅前再開発で人がいなくなった』のか?」

  『いちかわの人』(株式会社ワイ・エヌ・シー)は、公私問わず、市川で働く人たちのインタビュー集です。

 なかには、市川駅南口アーケード街に出店していて、再開発を経て、I-linkタウンいちかわ ザ タワーズに移転したお店の経営者のインタビューがありました。

 こうしたインタビューをもとに、「本当に『市川駅前再開発で人がいなくなった』のか?」を検証します。

市川駅南口地区第一種市街地再開発事業 より

 市川駅に駅ビル「シャポー市川」が開業したのは、1972年(昭和47年)の9月。当時は国鉄の駅です。

 開業当時にどんなお店が入っていたのかはデータが得られなかったのですが、おそらく、飲食店はあったと想像できます。

 シャポー市川の登場は、近隣の商店にとって、一つの脅威ではなかったのでしょうか。

 その4年後、市川駅南口の商店街にアーケードが設置されて「市川駅南口アーケード街」が誕生したのは、シャポー市川の存在が関係しているのかもしれません。「雨に濡れずに買い物できますよ」というアピールがあった可能性も。


 1987年(昭和62年)の4月には、国鉄分割民営化。市川駅はJR東日本の駅になります。

 JRに変わってから、さまざまなサービスは向上しました。国鉄時代は「俺たちの電車に乗せてやってるんだ!」的な雰囲気もあったものです。駅のトイレも汚かったし。


 それに伴って、シャポー市川のサービスなどにも変化があったに違いありません。

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 国鉄が民営化されるとシャポーに活気が出ます。それとは反対に南口アーケードの人通りは少なくなっていきました。

--- 『いちかわの人』125ページ

 つまり、市川駅周辺で、シャポー市川の集客率が上がり、相対的に周りの商店の客数が減ったということになります。


 ちなみに、市川駅の南側には、市川駅南口アーケード街のほかにも商店街があったそうです。

〇市川駅南口商店会 市川南1丁目
〇市川駅南口アーケード街商業協同組合 市川南1丁目
〇市川駅南口一番街商店会 市川南1丁目

 そのため、「そば・うどん 鈴屋」がどの商店街にあったのかは、『いちかわの人』を読むだけでは不明ですが、以下の記述がありました。

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「再開発で仮店舗に移転。仮店舗で3年営業、4月6日からタワーズイーストです。店の場所が変わるたびにお客様が来なくなってしまうんですよ(笑)

--- 『いちかわの人』115ページ

 この鈴屋のご主人のコメントから、再開発の工事によって店舗の場所がわからなくなり、足が遠のいたお客さんも少なくないと考えられます。






 もう1点、見過ごせないのは、移転しなかったお店の数です。「室内装飾品店 オザワ」は、I-linkタウンいちかわ ザ タワーズにはありません。



 おそらく再開発によって、店舗の営業をやめてしまった人が多いのでしょう。

 また、これもおそらくI-linkタウンいちかわ ザ タワーズの賃料が高いために、飲食店、クリニック・治療院・エステ、保育園、コンビニなどといった偏った業種しか入らなくなったと推測できます。

 以上のことから、国鉄民営化でシャポー市川に人が集まるようになっただけでなく、再開発の混乱の後に商店の多様性が失われたことから「市川駅前再開発で人がいなくなった」と考えられます。


■JR市川駅南口の今

 I-linkタウンいちかわ ザ タワーズ ウエスト2階から、店舗を見ていきましょう。

飲食店

大手通信事業者

子供服店、画廊、ネイルサロン?

保育園

クリニック

薬局

 I-linkタウンいちかわ ザ タワーズ イースト2階。
電光掲示板があるところが鈴屋

クリニック


空き室

飲食店、クリニック

保育園

 I-linkタウンいちかわ ザ タワーズ イースト1階。
飲食店
飲食店、ネイルサロン
フィットネス、不動産会社

コンビニ

 I-linkタウンいちかわ ザ タワーズ ウエスト1階。
パチンコ店

スーパー


クリニック、クリーニング店、飲食店、花屋など

飲食店

■市川駅南口再開発の歴史

1972(昭和47)年 駅ビル「シャポー市川」が開業

1976(昭和51)年 
市川駅南口アーケード街ができる(アーケードの設置)

→火災が起こるが、狭くて消防車が入れない事態に。消防車や救急車などがスムーズに入ってこられるような、駅前ロータリーを作ることが課題に

1977(昭和52)~1997(平成9)年 高橋国雄市長

1980(昭和55)年 市川駅南口地区市街地再開発等調査

1987(昭和62)年 国鉄分割民営化に伴い、市川駅がJR東日本の駅になる

1991(平成3)年 佐藤尚美さんが再開発の担当者になる

1993(平成5)年 都市計画決定(主要用途を商業・業務とする)

→1991年から1993年にかけてのバブル崩壊で、1995年には住宅金融専門会社が破綻

1995(平成7)年 社会経済状況の変化により施設計画の見直しに着手

1997(平成9)~2009(平成21)年 千葉光行市長

2000(平成12)年 都市計画変更(住宅を中心とした施設計画とする)
2002(平成14)年2月 事業計画決定
2002(平成14)年5月 権利者要望により施設計画の見直しを検討
2003(平成15)年2月 都市計画変更
2003(平成15)年3月 事業計画変更
2003(平成15)年4月 権利変換計画縦覧
2003(平成15)年10月 事業計画変更
2003(平成15)年10月 権利変換計画再縦覧
2003(平成15)年12月 権利変換計画認可
2004(平成16)年2月 権利変換期日(20日)
2004(平成16)年2月 90条登記(従前の土地の表題部の登記の抹消及び新たな土地の表題登記)
2004(平成16)年度 土地建物の明け渡し 特定建築者公募 

2005(平成17)年8月4日  I-linkタウンいちかわ ザ タワーズ ウエスト プレミアレジデンス(仮称:市川駅南口A街区タワー) 起工式挙行
2005(平成17)年8月 I-linkタウンいちかわ ザ・タワーズ イースト着工
2005(平成17)年10月 I-linkタウンいちかわ ザ タワーズ ウエスト プレミアレジデンス着工
2008(平成20)年7月 I-linkタウンいちかわ ザ・タワーズ イースト竣工

→2008(平成20)年9月15日にリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが破綻→リーマン・ショック

2009(平成21)年1月  I-linkタウンいちかわ ザ タワーズ ウエスト プレミアレジデンス竣工

2009(平成21)年12月~ 2017年12月 大久保 博市長

2013(平成23)年4月 佐藤尚美さんが市川市の副市長に就任

シリーズ「市川駅南口アーケード街を巡る旅」







■参考資料
『いちかわの人』(株式会社ワイ・エヌ・シー)

商店街ネットワーク
http://syoutengai-web.net/ichikawa/ichikawa.htm

市川駅南口地区第一種市街地再開発事業https://www.pref.chiba.lg.jp/kendosei/shingikai/kokkohojo/documents/160018.pdf





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