生命の科学 アーユルヴェーダ ~ ドーシャの変動

Photo by Pratiksha Mohanty on Unsplash


 インドと日本では気候が違うだけでなく、昔と現代とでは生活スタイルが大きく異なっています。ですから、インドの伝統医学であるアーユルヴェーダが、今の日本で生活する私たちに何の役に立つのか、不思議に思う人も少なくありません。


 確かに、アーユルヴェーダには長い歴史がありますが、その内容は非常に理屈っぽいものです。さらに、哲学的な要素も多々あります。

 ヨーロッパやアメリカなどでアーユルヴェーダが広く行き渡り、積極的に取り入れられている理由の一つは、哲学的な要素が魅力的に見えるからではないかと思われます。そして女優やモデルなど、いわゆる「セレブ」の間で人気のことから、「アーユルヴェーダ=オシャレ」というイメージもあるのだそうです。


 日本でも、今の生活スタイルに合わせた形で、アーユルヴェーダを指導している人がいます。また、ヨガや午前中の断食、ヘナ(髪染め)、サラシア(ハーブ)など、アーユルヴェーダが部分的に取り入れられている例も含めると、日本人の間でもかなり浸透しているのではないでしょうか。


 アーユルヴェーダの生活術を考える上で基本となるのは、ドーシャ。生命の科学 アーユルヴェーダ ~ 概念 でも紹介したとおり、人間の肉体と心は、ドーシャという、3つの要素(エネルギー)が担っています。

カパ(水)

ピッタ(火)

ヴァータ(風)

 ドーシャは固定されているわけではなく、時間の経過とともに、以下のように変動していきます。ドーシャの変動を根拠にして、朝昼晩に何を食べたらよいのかなどを検討するのが、アーユルヴェーダでの養生法です。

○一日の変動

早朝:ヴァータ→朝:カパ→昼:ピッタ→午後:ヴァータ→夕方:カパ→深夜:ピッタ


○一年の変動

春:カパ→夏~初秋:ピッタ→秋~冬:ヴァータ

○一生の変動

若年期:カパ→成・壮年期:ピッタ→老年期:ヴァータ



 水の要素であるカパが優勢な若年期に、肌がみずみずしく美しいのは当然のこと。ヴァータの風で肌が乾燥すれば、シワも増えます。関節も痛みます。
 だからといって老いを悲観視したり、無理に若返ろうとしたりする必要はありません。欲望を上手にコントロールしながら、人間としての成熟「成就」に向かうのが、アーユルヴェーダでの人生の目的です。

■参考資料

『代替医療&統合医療イエローページ   西洋医学の限界を補う古くて新しい医療』    (著/上馬塲和夫、MNS)

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