生命の科学 アーユルヴェーダ ~ ゴマ油うがい(オイルプリング)
こうした漠然とした落ち込みや不安感、多忙によるイライラを鎮めるのが「ゴマ油うがい」。口の中から心と体の毒を洗い出して、バランスを整え、夜もぐっすり眠れるようになります。
ドーシャとは、アーユルヴェーダで考えられている「目には見えないエネルギー」で、ヴァータ・ピッタ・カパの3つがあります。
ドーシャのバランスが、生活習慣や天候、時間帯などで大きく乱れてしまうと、心身が不安定な状態になるのです。
テレビやインターネットなどから膨大な情報が入ってきて、いつも気ぜわしく、睡眠時間や食事時間が不規則な現代人の生活では、ヴァータが増大してドーシャのバランスが乱れます。ヴァータは、冷たくて乾燥した性質を持ちます。
その結果、考えや行動が混乱して自分を見失い、落ち着かず、気分にムラが出て、疲労感や不安感に悩まされやすくなります。身体面では、体が冷えて乾燥し、肩こりや腰痛が起こり、寝つきも悪くなって、よく眠れません。
増大したヴァータを鎮める手軽な方法が「ゴマ油うがい(オイルプリング)」。
アーユルヴェーダでは、ゴマ油の性質はピッタと考えられ、体を温めて潤し、ストレスを浄化する効果があるとされています。
ゴマ油は過剰なヴァータを抑えて、ドーシャのバランスを整えるのに最適なのです。
ゴマ油うがいで口の中のヴァータを鎮めると、効果は全身にも波及します。その結果、気持ちも落ち着いて、疲労感や不安感、体の冷え・乾燥も解消します。
ゴマ油うがいは、1日の中でヴァータが乱れやすい午後4~6時に行うことが推奨されています。この時間帯にゴマ油うがいをしてヴァータを鎮めると、ぐっすり眠れるようになり、翌日に疲れが残りません。
それから、朝起きたときの口の中の粘つきや悪臭などは、睡眠中に出てきたアーマ(毒素)です。ゴマ油うがいでアーマを取り除くと、気持ちよく1日を始められます。
ゴマ油うがいでは、生のゴマを圧搾した太白ゴマ油を使います。アーユルヴェーダでは加熱処理(キュアリング)をしたゴマ油のほうが、皮膚や内臓から吸収されやすくなるとされています。それでうがいにも加熱処理したゴマ油を使っていますが、医師に確認したところ、行わなくても大丈夫とのことでした。
ゴマ油うがいは、1日何回行ってもかまいません。落ち着かない、疲れた、肌や口の中が乾燥するなどの気になる症状があるときに、ゴマ油うがいをすると、すぐにスッキリするでしょう。
■うがい用ゴマ油の作り方(加熱処理)
[用意するもの]
太白ゴマ油 1瓶鍋(アルミ製ではないもの)
温度計
密閉できる容器(ゴマ油が入っていた瓶を使用しても可)
1 ゴマ油を鍋に入れ、中火にかける。
2 温度計でゴマ油の温度を測りながら加熱し、90℃になったら火から下ろす。
※余熱で100℃に達する。
※やけどに注意。
3 ゴマ油が冷めたら、容器に移し替え、密閉して、直射日光を避け常温で保存する。
※常温で数カ月保存できる。
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やけどに注意 |
*太白ゴマ油は、スーパーの食品売り場などで、100g当たり約200~250円で購入できる。一般に料理に用いられる茶色のゴマ油は、焙煎されているのでうがいには不向き。
*100℃に熱するのは、ゴマ油の不純物を飛ばして浄化し、安定させて、作用を増強させるために行う(「キュアリング」と呼ぶ)。なお、100℃以上の熱の入ったゴマ油は、アーユルヴェーダでは目と皮膚の病気の原因になると考えられているそうなので、使用しない。
*温度計がない場合、ゴマ油100gを中火で約1分加熱するのが目安。
■ゴマ油うがいのやり方
1 加熱処理したゴマ油をティースプーン(小さじ)1杯、口に含む。
2 クチュクチュと30秒から1分ほど、口の中全体にゴマ油が行き渡らせる。
3 ゴマ油を不要な紙やティッシュペーパーなどに吐き出して、ゴミ箱に捨てる。
* 1日に何回行ってもかまわない。朝起きて口をすすいだ後と、午後4~6時の間に行うのが適している。
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