「上質な癒しを提供する隠れ家」がコンセプト 「市川リトリート」計画

 『クラナリ』では「浦安と船橋はよく取り上げられるのに、なぜ市川はすっ飛ばされるの?」問題 を取り上げてきました。
 その一方で、「だとしたら、市川市には周辺の市にはない特徴があるはずだ」とも思うわけです。

 つまり、あえてすっ飛ばされたのだと。   負け惜しみに聞こえるかもしれませんが……

 歴史的に見ると、市川は東京のリトリートという役割を果たしていました。
 リトリート(Retreat)は、避難、隠れ家などを意味します。

 明治・大正・昭和を生きた小説家の永井荷風は、晩年、市川に移り住みます。その理由の一つは、急激に変貌する東京で失われていく風景や文化に嘆き、疲れてしまったことでした。ですから、荷風にとって市川は避難所の役割を果たし、老いた文豪は市川の風景に心癒されたと考えられます。

『永井荷風 ひとり暮らしの贅沢』より

 また、同じく明治から昭和にかけて、里見公園や江戸川河川敷は東京の人にとってのリゾート地だったようです。江戸川は水遊びの場所だったのですね。
『写真で見る わがまち市川』より

 ポイントは、東京の隣という点。

 東京から離れすぎていると移動に時間がかかり、「ちょっと心身を休めたい」「ちょっと癒されたい」と思っても往復で疲れてしまいます。ですから、東京に戻るのが嫌になるかもしれません。

 これには実体験があります。数年前に山陰地方で開催されていた、あるリトリートを取材したときに感じたのです。
 「確かに、自然豊かで癒される。すばらしい場所だ。
 しかし、ここで癒され過ぎると、元の生活、例えば仕事や家事、子育てに戻ってくるのが、逆につらくなるのでは?」

 晩年の荷風も、遊ぶために東京へちょくちょく出向いていました。東京への往復に時間がかかるのは、やはり好まなかったのでしょう。

 ワイワイと盛り上がって楽しむハイテンションは東京。
 ホッとくつろいで、ゆっくりと心身を休ませられるのは市川。

 このように考えれば、お祭り騒ぎから一歩引いた形のほうが、市川という土地柄に合っているのかもしれません。   これも負け惜しみに聞こえるかもしれませんが……

 ここで、「市川リトリート」計画について紹介しましょう。
 「上質な癒しを提供する隠れ家」をコンセプトに、温浴施設(難しければ足湯だけでも……)、施術施設、薬膳レストランを併設した、こじんまりとしたハーブガーデンが市川リトリートです。古民家風の建物が理想的。
 1つのスペースに集約するのが理想でしょうが、徒歩圏に同じコンセプトの施設がいくつかあるのもいいでしょう。
江戸川のすぐ近くにある心地よいリトリート
ハーブを自分で摘めるだけでなく栽培も(写真はあくまでもイメージで、どろんこキッズのもの 汗)
施設は落ち着いた雰囲気(あくまでも写真はイメージで、本当はco,doの内部)
市川産の新鮮野菜を使った健康料理(リコピン豊富)
広々、ゆったりとした空間で散歩を楽しめる贅沢
のんびり舟で行徳と国府台辺りを往復(妄想)



 ところで、「ここに来ただけでテンションが上がる」「なんだか落ち着くなあ」などと、場所にはそれぞれに個性があります。
 それを『クラナリ』ではエナジーと呼んできました。
 エナジーには陰(-)と陽(+)があり、陰はインプットで陽はアウトプットという性質もあります。
 強烈に陽のエナジーでアウトプットの場である東京は、周辺に陰の場があることでバランスが取れているのではないでしょうか。

 究極の癒しを求めるのなら世界各地のパワースポットに足を運んでもらい、「ちょっと心身を休めたい」「ちょっと癒されたい」という場合は市川に電車ですぐに来てもらうという環境になれば、市川という場所の特徴が生かせるかもしれません。

 リトリートなので「知る人ぞ知る」という立ち位置も重要。目立つ必要はないわけです。     これもまた負け惜しみに聞こえるかもしれませんが……


※『クラナリ』では2019年から「市川リトリート」計画をたびたび発表しています(実現まで遠い……)
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