「文教住宅都市 市川」と市川市立図書館の深い関係、そして勝手な提案
出版不況が続き、書店も出版社も閉店・倒産しています。そのような状況の中で、図書館の利用者が減っているのは、自然な流れではないでしょうか。
ただ、利用者が少ないから図書館事業を縮小するという選択は、「文教住宅都市 市川」として悪手です。書籍には「知の象徴」「文化遺産」、そして図書館には「知的交流の拠点」という側面もあるからです。
不動産やビジネス書関連のサイトなどでは、「文教住宅都市」などの造語ではなく「教育環境が充実している」「教育に力を入れている」「子育てにカネをかけている自治体」といった表現を使っていました。スタディサプリでの、千葉県内でのランキングは以下のとおり。
千葉県|教育環境が充実している街ランキング1位 香取郡多古町(千葉県) 6.55 点2位 千葉市中央区(千葉県) 4.77 点3位 成田市(千葉県) 4.59 点
市川市は31位でした。
人口減少時代に図書館の役割を見直し、新陳代謝を促すために、クラナリは勝手に以下の提案を行います。
■提案
1 「利用者数を増やす」「蔵書数を増やす」「貸出数を増やす」「施設を増やす」といった量的拡大モデルと決別する
2 「文教都市 市川」「知的交流の拠点」というコンセプトで図書館の役割を見直す
3 「文教都市 市川」を打ち出すのにふさわしい地域資源を確認する
「文教都市 市川」にふさわしい地域資源については、あくまでも個人的な意見ですが、東京科学大学国府台キャンパスです。日本を代表する大学で、地方にいた頃から知っていました(当時は「東京医科歯科大学」)。
市川市出身の東京科学大学の研究者の書籍、それから東京科学大学を卒業して市川市で開業している医師の論文など、さまざまな切り口で市川市と東京科学大学を結びつけることは可能です。
また、医学は私たち市民の健康とも密接に結びついています。健康に対しては幅広い世代、そして外国人にもニーズがあります。予算的に可能であれば、英語や中国語などの初歩的な医学書(『家庭の医学』的な書籍)もあると、市としての特徴が出せるでしょう。
4 2・3に基づき、残す事業とやめる事業を選別する
徒歩圏内に「八幡市民交流館 ニコット」が開設されたことから、生涯学習センター全体のあり方を見直す時期なのかもしれません。
5 ターゲットとしている中高生のための専用の利用スペースを設けるだけでなく、中高生にアピールできるメディア(スマートフォンで利用しやすいサイトなど)を作成する
「ヤングアダルト」ではなく「学生専用」「学生向け」といった平易な言葉のほうが響くのではないでしょうか。「ヤングアダルト」は「ティーン」とともに、現在では一般的ではない言葉という印象です。
ちなみに、中学男子たちが学校の図書館で「ヤングアダルトコーナー」を見て、ざわついていたそうです。「アダルト」は、現在は「大人」ではなく「アダルトコンテンツ」的な意味で使われがちだからと考えられます。
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