いいか悪いかはとりあえず置いといて、昭和の遺物「地図看板」でかつての生業を知る ※信篤地区追加2024年12月17日

  当たり前の話ではありますが、勝手に看板を設置してはいけません。市川市のサイト内にも「屋外広告物について」というページで、市に申請する必要性が説明されています。

 屋外広告物を取り締まる屋外広告物法は、1949(昭和24)年に制定されました。とはいえ、「これは絶対申請していないだろう……」という看板も見かけます。
 例えば、地図看板。日本各地で見られ、そして日本各地でトラブルを起こしているようです。




 地図看板のルーツを検索していたのですが、いつ始まったのかなどはわかりませんでした。ただ、デザインややり口から、「昭和だよね……」と思うわけです。
 多くの場合、地図看板業者がフラッとお店にやって来て、「この地図にお宅のお店を掲載することになっているので、7000円払ってください」と、あたかも決定事項のように話します。なんだか町内会費の請求と似ています。
 請求金額も数千円とほどほどなので、つい払ってしまうと、翌年、また地図看板業者がお店にやって来て、「更新料の2000円を徴収します」などとお金を請求するのです。
 しかし、最初の掲載の7000円も、更新料の2000円も、まったくもって払う必要はありません。しかもその地図看板は線路脇の金網やガードレールなどに、勝手に業者が設置している、つまりは違法のケースが非常に多いそうなのです。

 そのようなわけで、法はもちろん、景観などさまざまな問題を抱える地図看板ではありますが、以前にどんな生業があったのかを類推するツールになっています(あくまでも『クラナリ』として)。

違法行為、ダメよーダメダメ。
詐欺行為、ダメよーダメダメ。

 これを大前提として、地図看板コレクションをここに掲載しておきます。

JR本八幡駅近辺

 文字などの線がすべて薄くて見えにくいのですが、「八幡3丁目・東菅野1丁目 菅野1丁目 商工案内図」と書かれています。


 印刷物を貼ったという新手(?)の地図看板。「八幡1・4・5丁目」と書かれています。





 ここまでボコボコの地図看板はめったにありません。JR本八幡駅前のバス道路沿いで、電柱の裏にありました。「八幡2丁目」で千葉街道と京成電鉄の線路の間の地図のようです。

 がっつり書き文字ですが、比較的新しいと思われる地図看板です。「八幡一~四丁目 東菅野一丁目」と書かれています。京成八幡駅前の割烹料理店「大黒家」が掲載されています。大黒屋は2017年6月末の閉店なので、それよりも前の設置です。

京成電鉄菅野駅周辺

 京成電鉄菅野駅近くで見つけた地図看板。総武線の線路と京成電鉄の線路の間の地図です。ホットドッグとアイスクリームの「大学堂」が掲載されています。


 なんと、創業は1966年で本部は市川市! 千葉県市川市平田4-10-1となっています。営業は2017年に終了したとのことです。

 かなり新しいと思われる地図看板で、「真間1・2・3丁目、菅野6丁目」と書かれています。

京成電鉄真間駅周辺

 かなり文字が消えている、古さを感じさせる地図看板。中央に「真間二丁目」と書かれています。「市川二業組合」は、花街の名残。

京成電鉄国府台駅周辺

 京成電鉄国府台駅の近くで見つけた地図看板。なんと、駅前に本屋がありました。「本の朋友堂」。また、三菱銀行も掲載されています。東京銀行との合併が1996年4月1日なので、それ以前のものだとわかります。「美容室髪ING」など店名も昭和感に満ちあふれています。

 上の地図看板より新しいと思われるバージョン。理由は、三菱UFJ銀行になっているからです。

JR市川駅近辺

 QRコードがあるので、かなり新しいと思われる地図看板。かつて市川駅前にマクドナルドがあったことを示しています。実はシャポー市川の中にもマクドナルドがありました。

 こちらにも「マクドナルド市川店」の記載が!
 「街を美しく!!」が上の地図看板と共通。字体から、同じ人が書いたと推測できます。

 「真間一・二丁目 市川一・二丁目 新田五丁目」と書かれています。この地図のとおりに進んでも、お店には到着しないだろうという省略ぶり……

信篤地区

 東京メトロ東西線原木中山駅周辺は、ジグザグ境界地区。ちなみに、原木中山駅は船橋市にあります。
 そのわかりにくさが、地図看板にも反映されているような印象です。
 上の地図は、原木中山駅からJR京葉線二俣新町駅までをカバーしているつもりだと思われます。実際の地図を見てみましょう。
地理院地図より、一部改変
 全然、違うじゃないか……
 東西を反転させたのでしょうか? それにしても駅同士の距離感もかなりおかしくなっています。

 市川市と船橋市の境界が適当。実際の境界は、下の地図です。


 地図看板に貼り紙というか、テープでペタペタと店名・住所の紙が貼り付けてある、珍しいタイプです。「中華ダイニング昇華」の紙は2枚貼ってありました。
「中華ダイニング昇華」の建物は看板建築


 高谷1丁目を中心に地図を作成していますが、道路があまりにも入り組んでいて、描き手が力尽きている感じがします。
 非常に気になるのが、地図の中央付近にある「レコーディングスタジオ」。ネット検索したところ、MCJ STUDIOがヒットしました。さらにフライデーの記事に、非常に気になる文章が……
「’90年代初めに私立短大の施設として建てられ、多くの学生が通っていました。’00年代半ばに所有者が旧統一教会に替わり、音楽スタジオになったんです。当時は芸能人がよく訪れ、世界的な人気アーティストも来ていたのを覚えています」

 この地図看板も縮尺が破綻していました。正しい位置関係がわかるのは、下の地図です。左のほうの青い丸が、地図看板のある場所です。
地理院地図より、一部改変



Powered by Blogger.