カワウソのキャラクターを、市川市内でなぜたくさん見かけるのか問題

 市川市内では、カワウソのキャラクターをとにかく頻繁に目にします。



市川市公式ウェブサイトより



 「キャラ」と短縮されがちなキャラクター(character)の語源は、ギリシャ語の「χαρακτήρ (kharaktēr)」で、「刻む」「刻まれたもの」「印」という意味だったようです。
 エティモンライン語源辞典では、次のように説明されています。


14世紀半ば、carecter, 「体に刻まれた、または焼き印されたシンボル」、15世紀半ば、「魔術で使用されるシンボルまたは図」、15世紀後半、「音節を表すアルファベット文字、図形記号」、古フランス語からcaratere「特徴、性格」(13世紀、現代フランス語)caractère(ラテン語から)characterギリシャ語からkharaktēr「刻まれた印」、また「魂に刻まれた象徴や刻印」、正しくは「印をつけるための道具」、kharassein「刻む」kharax「尖った杭」という意味で、語源は不明だが、ビークスは「おそらくギリシャ語以前のもの」と考えている。英語では、ラテン語のch-の綴りが1500年代から復活した。

ギリシャ語の意味kharaktērヘレニズム時代には、比喩によって「定義的な性質、個々の特徴」という意味に拡張されました。英語では、「人や物を定義し、他のものと区別する性質の総体」という意味は1640年代に生まれました。「評判によって人に与えられる道徳的性質」という意味は1712年に生まれました。
 
「劇や小説に登場する人物」という語義は、1660年代に初めて確認され、作者によってその人物に与えられた「特徴」を指して用いられました。抽象的な「人物」という語義は1749年から、特に「風変わりな人物」(1773年)として用いられました。「chap, fellow」という口語的な語義は1931年から用いられています。Character-actorは、顕著な特異性を持つ文字を専門とする人物であり、1861 年から存在が確認されています。


 戦後、日本で開催された博覧会では、キャラが多く誕生しています。
 
 1970(昭和45)年に大阪で開催された日本万国博覧会では、ある意味、「太陽の塔」がキャラ(シンボル)。
写真/パブリックドメインQ


 そして1975(昭和50)年に開催された沖縄国際海洋博覧会では、「オキちゃん」というキャラ(マスコット)が登場したとのこと。

 日本国内での博覧会が「地方博」と呼ばれるようになったのは1977(昭和52)年頃でした。国土省(今の国土交通省)の第三次全国総合開発計画(三全総)で定住構想が打ち出され、過密・過疎の是正や地方の振興などが盛り込まれました。いわゆる「地方の時代」です。
 それを受けて、地域の活性化を目標に掲げ、地方自治体が博覧会を頻繁に開くようになりました。地方博ブームは1980年代後半にブームを迎えます。

 そんな地方博や国体(国民体育会)で、キャラが作られるようになります。
 我らが「チーバくん」は、2007(平成19)年に誕生。2010(平成22)年に開催された「ゆめ半島千葉国体」と「ゆめ半島千葉大会」のキャラとして、坂崎千春さんがデザインしたものです。
画像/千葉県



 ちなみに、あまたのキャラがみうらじゅんさんに「ゆるキャラ」と総称されたのは、2000(平成12)年頃のことです。「第15回国民文化祭・ひろしま2000」のキャラ「ブンカッキー」を見て、この言葉をひらめいたのだとか。
画像/けんみん文化祭ひろしま

『ゆるキャラ大図鑑』(著/みうらじゅん 扶桑社)


 キャラ乱立を受けたのかどうかはわかりませんが、各自治体でマスコットキャラクター使用取扱要綱が作成されるようになります。著作権や商標権などのトラブルも発生していたのかもしれません。

 千葉県では「チーバくん」デザイン等使用取扱要領が2010(平成22)年に、千葉県市川市では事業キャラクター作成要綱が2014(平成26)年に施行されました。

 2025年7月18日現在、市川市事業キャラクター等登録台帳には28種のデザインがありました。クロロとバララのようなキャラのほか、ロゴやマークも登録されています。
 台帳に登録すると、事業キャラクター作成要綱に定められた内容(事業目的、活動内容)でなければ、使用は許諾されません。

 カワウソとレッサーパンダのキャラは2020(令和2)年頃、新型コロナ感染症で暗い雰囲気を少しでも和らげようとの意図で、市川市の職員が動植物園の動物をもとにデザインしたのだそうです。2024(令和6)年の市制施行90周年ロゴにも使われていました。

 カワウソとレッサーパンダ、さらにアルパカのキャラは、市川市事業キャラクター等登録台帳に登録されていません。そのため、冒頭で紹介したように、幼稚園の出入り口や自転車用ヘルメットの助成、ボランティア制度の告知などの多方面で、カワウソとレッサーパンダ、アルパカのキャラが自由に登場できるのでしょう。
 となると、台帳には登録されないほうがよさそうにも思います。もちろん、一市民の意見です。

■主な参考資料
「かわいい」と好評の市川市のカワウソキャラ、実は非公式の「イラスト」扱い…議会でも「登録すべき」の声

地方博覧会ブームに乗るつくば博・地方博への出店で食のパフォーマンス

日本博覧会略史

Wikipedia
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