【コミュニティづくり入門】「コミュニティビジネス」って何でしょうね
「コミュニティカフェ」って何でしょうね に引き続き、「コミュニティビジネス」についても調べてみました。
コミュニティ(community)とは「共同体」「地域社会」(英和辞典 Weblio辞書より)ですが、『コミュニティビジネスの時代』(本間正明、金子郁容、ほか 岩波書店)の23ページ(金子郁容)に以下の記述がありました。
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コミュニティは、ある種のあいまいさと多義性がある概念で、厳密な定義が難しい。本書では「一定のルールを共有する人々の集まり」をコミュニティの基本と考え(後略)
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コミュニティビジネス、コミュニティカフェどころか、コミュニティ自体の定義付けが難しいようです。
そして、私が抱いた「わかるような、わからないような」感覚についても、40ページで言語化されていました。
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コミュニティビジネスは、ビジネスとして利潤を含めた成果を上げつつ、コミュニティの「みんな」のために貢献することを目的とするものである。ビジネスであるのに、完全な「私」でなく、一方、コミュニティ全体への貢献を目的としているのに、「官」ではなく「民」がやっている。これまでの「公」「私」の考え方からすると、なんともおかしな、いごこちの悪い存在ということになる。
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利益の最大化を目的とする一般企業も、社会問題を解決し、地域への貢献がなければ生き延びれないのではないでしょうか。
正直なところ、現在の企業活動の一環にあるものを、わざわざ「コミュニティビジネス」として取り出すことに違和感を覚えます。
しかし、41ページには次の文言がありました。
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コミュニティビジネスが「おかしな存在」であるとしたら、これまでのわれわれの思い込みの方こそおかしいのである。
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「官」と「民」、「公」と「私」をくっきりと分けて考える傾向が日本人には強いのだそうです。
社団法人中小企業診断協会山梨県支部が作成した「地域活性化を担うコミュニティビジネスの現状と展望に関する調査研究報告書」によれば、コミュニティビジネスのルーツは1980年代のイギリスのスコットランド地方の「コミュニティ協同組合」にあるとのこと。
その他のネット情報では、イギリスだけでなくヨーロッパの国々でコミュニティビジネスは生まれていたようです。
もしかしたら、私たち日本人は「お上」「お役所」に頼る意識が強すぎるのかもしれません。
「市長殿」というおかしな表現がありますが、本来は「〇〇市長 〇〇様」と表記するものではないでしょうか。役職に「殿」をつけるなんて……
さて、話は『コミュニティビジネスの時代』に戻ります。
『クラナリ』ウェブ版でもたびたび取り上げた地域通貨。
地域通貨を作り出そうという取り組みも、コミュニティビジネスに含まれるようです。
『コミュニティビジネスの時代』128~142ページで地域通貨が言及されていました。
千葉県千葉市には「ピーナッツ」という地域通貨があるのだそうです! 口座開設による地域通貨として「日本では千葉県の『ピーナッツ』が有名である」(131ページ、大沢真知子)と書かれていました。知りませんでした……
地域通貨ピーナッツについては、以下のサイトに詳しく書かれています。
What's ピーナッツ http://www.jca.apc.org/born/lets/lets_whats.html
ただ、やはりコミュニティビジネスにはさまざまな課題があるようです。189ページに「いくつかの重大な危機に直面し、試練にさらされているのではないか」(山内直人)と書かれています。
一つは、「コミュニティカフェ」って何でしょうね にも書いた悪用するケース。
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信頼性の危機である。一万を超えるNPO法人の中には、非営利を隠れ蓑に活動する暴力団や、顧客獲得のためにNPO法人の看板を利用する営利企業もでてきている。
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そのほか、以下の項目が挙げられていました。
〇行政への従属の危機
「安上がりの下請けとしてNPOが利用されているケースがきわめて多い」
〇市場競争の危機
規制緩和によって「NPOが営利企業とのし烈な競争にさらされてくる分野が増えてくるだろう」
〇制度改革の危機
課題をどう克服していくか、常に意識している必要がありそうです。
最後に、26ページで挙げられていたコミュニティビジネスが成立するタイプを紹介します。
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タイプA-行政や大企業ができない事業(「手が出ないこと」)を行う
タイプB-企業と競合しながら、独自の優位性を発揮して事業を行う
タイプC-行政とのパートナーシップとして事業を行う
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ここまで書いてきて、コミュニティビジネスとは異なりますが、ヤマト運輸元社長小倉昌男氏のパン屋さんの話を思い出しました。その「スワンベーカリー」のサイトに以下の記述があります。
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障がい者が手にするお給料がわずか1万円(当時)にも満たないことを知ります。自立するにはほど遠い現状に驚き、疑問を持ちました。
そこで、長年経営者として培ってきた経営のノウハウを伝授し、低賃金からの脱却を図るため、「作品」作りではなく、一般の消費者を対象としたマーケットで売れる「商品」作りを目指したセミナーを1996年から全国各地で開催し、意識改革に取り組んできました。
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「官」と「民」、「公」と「私」の意識を変える。
思い込みを取り去る。
ベストセラーになった『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(河合 雅司 講談社)の時代をこれから生き続ける私たちにとって、必要なことかもしれません。
『クラナリ』では引き続きコミュニティビジネスについて調べていきます。
コミュニティ(community)とは「共同体」「地域社会」(英和辞典 Weblio辞書より)ですが、『コミュニティビジネスの時代』(本間正明、金子郁容、ほか 岩波書店)の23ページ(金子郁容)に以下の記述がありました。
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コミュニティは、ある種のあいまいさと多義性がある概念で、厳密な定義が難しい。本書では「一定のルールを共有する人々の集まり」をコミュニティの基本と考え(後略)
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コミュニティビジネス、コミュニティカフェどころか、コミュニティ自体の定義付けが難しいようです。
そして、私が抱いた「わかるような、わからないような」感覚についても、40ページで言語化されていました。
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コミュニティビジネスは、ビジネスとして利潤を含めた成果を上げつつ、コミュニティの「みんな」のために貢献することを目的とするものである。ビジネスであるのに、完全な「私」でなく、一方、コミュニティ全体への貢献を目的としているのに、「官」ではなく「民」がやっている。これまでの「公」「私」の考え方からすると、なんともおかしな、いごこちの悪い存在ということになる。
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利益の最大化を目的とする一般企業も、社会問題を解決し、地域への貢献がなければ生き延びれないのではないでしょうか。
正直なところ、現在の企業活動の一環にあるものを、わざわざ「コミュニティビジネス」として取り出すことに違和感を覚えます。
しかし、41ページには次の文言がありました。
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コミュニティビジネスが「おかしな存在」であるとしたら、これまでのわれわれの思い込みの方こそおかしいのである。
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「官」と「民」、「公」と「私」をくっきりと分けて考える傾向が日本人には強いのだそうです。
社団法人中小企業診断協会山梨県支部が作成した「地域活性化を担うコミュニティビジネスの現状と展望に関する調査研究報告書」によれば、コミュニティビジネスのルーツは1980年代のイギリスのスコットランド地方の「コミュニティ協同組合」にあるとのこと。
その他のネット情報では、イギリスだけでなくヨーロッパの国々でコミュニティビジネスは生まれていたようです。
もしかしたら、私たち日本人は「お上」「お役所」に頼る意識が強すぎるのかもしれません。
「市長殿」というおかしな表現がありますが、本来は「〇〇市長 〇〇様」と表記するものではないでしょうか。役職に「殿」をつけるなんて……
さて、話は『コミュニティビジネスの時代』に戻ります。
『クラナリ』ウェブ版でもたびたび取り上げた地域通貨。
地域通貨を作り出そうという取り組みも、コミュニティビジネスに含まれるようです。
『コミュニティビジネスの時代』128~142ページで地域通貨が言及されていました。
千葉県千葉市には「ピーナッツ」という地域通貨があるのだそうです! 口座開設による地域通貨として「日本では千葉県の『ピーナッツ』が有名である」(131ページ、大沢真知子)と書かれていました。知りませんでした……
地域通貨ピーナッツについては、以下のサイトに詳しく書かれています。
What's ピーナッツ http://www.jca.apc.org/born/lets/lets_whats.html
ただ、やはりコミュニティビジネスにはさまざまな課題があるようです。189ページに「いくつかの重大な危機に直面し、試練にさらされているのではないか」(山内直人)と書かれています。
一つは、「コミュニティカフェ」って何でしょうね にも書いた悪用するケース。
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信頼性の危機である。一万を超えるNPO法人の中には、非営利を隠れ蓑に活動する暴力団や、顧客獲得のためにNPO法人の看板を利用する営利企業もでてきている。
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そのほか、以下の項目が挙げられていました。
〇行政への従属の危機
「安上がりの下請けとしてNPOが利用されているケースがきわめて多い」
〇市場競争の危機
規制緩和によって「NPOが営利企業とのし烈な競争にさらされてくる分野が増えてくるだろう」
〇制度改革の危機
課題をどう克服していくか、常に意識している必要がありそうです。
最後に、26ページで挙げられていたコミュニティビジネスが成立するタイプを紹介します。
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タイプA-行政や大企業ができない事業(「手が出ないこと」)を行う
タイプB-企業と競合しながら、独自の優位性を発揮して事業を行う
タイプC-行政とのパートナーシップとして事業を行う
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ここまで書いてきて、コミュニティビジネスとは異なりますが、ヤマト運輸元社長小倉昌男氏のパン屋さんの話を思い出しました。その「スワンベーカリー」のサイトに以下の記述があります。
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障がい者が手にするお給料がわずか1万円(当時)にも満たないことを知ります。自立するにはほど遠い現状に驚き、疑問を持ちました。
そこで、長年経営者として培ってきた経営のノウハウを伝授し、低賃金からの脱却を図るため、「作品」作りではなく、一般の消費者を対象としたマーケットで売れる「商品」作りを目指したセミナーを1996年から全国各地で開催し、意識改革に取り組んできました。
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「官」と「民」、「公」と「私」の意識を変える。
思い込みを取り去る。
ベストセラーになった『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(河合 雅司 講談社)の時代をこれから生き続ける私たちにとって、必要なことかもしれません。
『クラナリ』では引き続きコミュニティビジネスについて調べていきます。
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