【コミュニティづくり入門】「コミュニティカフェ」って何でしょうね
コミュニティ(community)とは「共同体」「地域社会」(英和辞典 Weblio辞書より)。
communityもcommunicationも語源は同じで、「共同の、共有の、共通の」を意味するラテン語のcommunisだというネット情報が複数ありました。
最近では、「コミュニティスペース」「コミュニティカフェ」「コミュニティサロン」という言葉を頻繁に見聞きするのですが、正直、わかるような、わからないような……
そこで、調べました。
上記の施設は「コミュニティビジネス」の一形態といえそうです。経済産業省関東経済産業局は、コミュニティビジネスを以下のように定義しています。
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関東経済産業局では、「コミュニティビジネスとは、地域の課題を地域住民が主体的に、ビジネスの手法を用いて解決する取り組み」と捉えています。 近年、“ソーシャルビジネス”という言葉が使われるケースが増えていますが、“ソーシャルビジネス”が社会的課題全般の解決を目指すのに対し、“コミュニティビジネス”はそのうちの地域的な課題に特に着目しています。従って、“ソーシャルビジネス”は“コミュニティビジネス”を包含する概念ということもできます。
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http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/community/index_about.html
一方、経済産業省の外局である中小企業庁の定義は以下のとおり(関東経済産業局は中黒なしで、中小企業庁だと中黒ありなんですよね、まあ、いいんですけど)。
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コミュニティ・ビジネスは、組織形態や事業分野が多岐にわたるため定義付けが難しいが、これまで文献等で紹介されている特徴のうち主な共通点としては、〔1〕地域住民が主体である、〔2〕利益の最大化を目的としない、〔3〕コミュニティの抱える課題や住民のニーズに応えるため財・サービスを提供する、〔4〕地域住民の働く場所を提供する、〔5〕継続的な事業または事業体である、〔6〕行政から人的、資金的に独立した存在である、等が挙げられる。
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http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H16/16chusho/hakusho/H16/html/16215120.html
そしてコミュニティビジネスは「ある地域における課題を解決すること」が目的であれば、どんな組織でもどんな活動でも、営利だろうが非営利だろうがかまわないようです。
私が抱いた「わかるような、わからないような」感覚は、特に決まりがないことから生まれてきたのでしょうね。
コミュニティビジネスの事例については、特定非営利活動法人コミュニティビジネスサポートセンターのサイトで見やすくまとめられています。
ここまで調べてきて、いくつかの課題も見えてきました。
一つは、法の目をかいくぐってコミュニティビジネスを悪用するケース。
NPO売買 法人買いで利権狙う 目的は「もうけ話」 https://mainichi.jp/articles/20180608/k00/00m/040/090000c
NPO法人 脱法売買 全国11法人売り出され、仲介業者も 口座乱造、詐欺に悪用
https://mainichi.jp/articles/20180607/ddm/001/040/187000c
それから、コミュニティビジネスの定義はあってないようなものなので(目的ははっきりしています)、意識が異なる人々が参加して、全体としてまとまりにくいのではないかとも考えました。
上記とは直接関係はないのですが、「なくそう!子どもの虐待プロジェクト 2018」での署名活動において、ネット署名が始まった後で内容が改変されたのだそうです。発起人の中には、この改変が大きな問題として、ネットで声を上げる人もいました。
https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakatoshihide/20180724-00090517/
https://ameblo.jp/colabo-yumeno/entry-12392396993.html
改変の是非についてはひとまず置いておいて、このプロジェクトにおいては発起人の間で意識の違いというか、プロジェクトを設計する時点から署名活動を終わらせるまでの間で、細やかなコミュニケーションや活発な議論が行われなかったのでしょう。
コミュニティビジネスについても、同様のことが起こる可能性があると思った次第です。
同様の課題については、厚生労働省で作成されたと思われる文書にも記載されていました。文書内の「CB」はコミュニティビジネスのこと。
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○ CBの生成の経緯をみると、鍵となる中核的人材が事業体を設立し、 その周りに活動に参加したいという人々が集まり、事業展開が図られて いく場合が多い。 しかしながら、そもそも中核的人材となり得る人材が少ないのに加えて、CBの独自の課題を解決しなければならないという問題がある。具体的には、CBには有給の常勤職員・無給のボランティアや、CBにおける収入で主に生計を立てている者、副収入に過ぎない者など、様々な 人材がいる。CBで活動している個人はその属性によって、仕事に対す る考え方が異なることもある(注5)。よって、多種多様な人材をコーデ ィネートし、創業の精神を共有できるような環境を醸成していくことが、 中核的人材には求められる。 (注5)例えば、専従の常勤職員は、行政からの委託事業が活動目的と完全に合致しないものであ っても、当該事業を的確に運営することに腐心する一方、無給のボランティアは、組織のためではなく、自己実現や社会貢献のために活動しているという意識が第一にあることから、 組織にとって収入にならなくても、活動目的に符号する仕事を選好するといった事態が生じ 得る。
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https://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/06/dl/h0618-4e.pdf
今後、市川市内でコミュニティカフェを運営している人に取材させてもらう予定なので、課題についても詳しく聞きます。
最後に、コミュニティスペースなどと混同しやすいと思われる市川市内の施設について挙げておきます。「地域ふれあい館」はコミュニティスペースではないかとも思ったので、「行政から人的、資金的に独立した存在である」かどうか、これから調べるつもりです。
■公民館
市町村が、住民の教養・健康・生活などの向上のために設置する集会所。
「公民館は、市町村その他一定区域内の住民のために、実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もつて住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的とする。」(社会教育法第二十条)
■自治会館
自治会とは市町村内の各地域で組織されている「町内会」で任意団体。 一定の要件を満たし市区町村長の認可を受ければ、法人格を取得できます。
自治会館は、自治会が運営する集会所。
■社会福祉協議会関連施設
社会福祉協議会(社協)は、民間の社会福祉活動を推進することを目的とした営利を目的としない民間組織です。1951年に制定された社会福祉事業法(現在の社会福祉法)に基づき、設置されています。
社会福祉事業には第1種と第2種があります。
〇第1種社会福祉事業
生活保護法、児童福祉法(乳児院や障害児入所施設など)、老人福祉法(養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム)、障害者総合支援法(障害者支援施設)、売春防止法などに関連する事業。
〇第2種社会福祉事業
生活困窮者自立支援法、児童福祉法(通所支援、訪問事業、家庭支援など)、母子・父子・寡婦福祉法、老人福祉法(訪問介護、就労支援など)、障害者総合支援法(障害福祉サービス事業など)、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法などに関連する事業。
市川では地区ごとに、地域ケア市川第一、地域ケア真間、地域ケア南行徳などが運営されています。http://www.fukusi.jp/index.html
これは第2種社会福祉事業の隣保事業に当たるのでしょうか。
■地域ふれあい館
市内13カ所にあった「青少年館」をリニューアルした施設です。サークルや地域コミュニティ活動などの集会所。
communityもcommunicationも語源は同じで、「共同の、共有の、共通の」を意味するラテン語のcommunisだというネット情報が複数ありました。
最近では、「コミュニティスペース」「コミュニティカフェ」「コミュニティサロン」という言葉を頻繁に見聞きするのですが、正直、わかるような、わからないような……
そこで、調べました。
上記の施設は「コミュニティビジネス」の一形態といえそうです。経済産業省関東経済産業局は、コミュニティビジネスを以下のように定義しています。
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関東経済産業局では、「コミュニティビジネスとは、地域の課題を地域住民が主体的に、ビジネスの手法を用いて解決する取り組み」と捉えています。 近年、“ソーシャルビジネス”という言葉が使われるケースが増えていますが、“ソーシャルビジネス”が社会的課題全般の解決を目指すのに対し、“コミュニティビジネス”はそのうちの地域的な課題に特に着目しています。従って、“ソーシャルビジネス”は“コミュニティビジネス”を包含する概念ということもできます。
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http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/community/index_about.html
一方、経済産業省の外局である中小企業庁の定義は以下のとおり(関東経済産業局は中黒なしで、中小企業庁だと中黒ありなんですよね、まあ、いいんですけど)。
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コミュニティ・ビジネスは、組織形態や事業分野が多岐にわたるため定義付けが難しいが、これまで文献等で紹介されている特徴のうち主な共通点としては、〔1〕地域住民が主体である、〔2〕利益の最大化を目的としない、〔3〕コミュニティの抱える課題や住民のニーズに応えるため財・サービスを提供する、〔4〕地域住民の働く場所を提供する、〔5〕継続的な事業または事業体である、〔6〕行政から人的、資金的に独立した存在である、等が挙げられる。
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http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H16/16chusho/hakusho/H16/html/16215120.html
そしてコミュニティビジネスは「ある地域における課題を解決すること」が目的であれば、どんな組織でもどんな活動でも、営利だろうが非営利だろうがかまわないようです。
私が抱いた「わかるような、わからないような」感覚は、特に決まりがないことから生まれてきたのでしょうね。
コミュニティビジネスの事例については、特定非営利活動法人コミュニティビジネスサポートセンターのサイトで見やすくまとめられています。
ここまで調べてきて、いくつかの課題も見えてきました。
一つは、法の目をかいくぐってコミュニティビジネスを悪用するケース。
NPO売買 法人買いで利権狙う 目的は「もうけ話」 https://mainichi.jp/articles/20180608/k00/00m/040/090000c
NPO法人 脱法売買 全国11法人売り出され、仲介業者も 口座乱造、詐欺に悪用
https://mainichi.jp/articles/20180607/ddm/001/040/187000c
それから、コミュニティビジネスの定義はあってないようなものなので(目的ははっきりしています)、意識が異なる人々が参加して、全体としてまとまりにくいのではないかとも考えました。
上記とは直接関係はないのですが、「なくそう!子どもの虐待プロジェクト 2018」での署名活動において、ネット署名が始まった後で内容が改変されたのだそうです。発起人の中には、この改変が大きな問題として、ネットで声を上げる人もいました。
https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakatoshihide/20180724-00090517/
https://ameblo.jp/colabo-yumeno/entry-12392396993.html
改変の是非についてはひとまず置いておいて、このプロジェクトにおいては発起人の間で意識の違いというか、プロジェクトを設計する時点から署名活動を終わらせるまでの間で、細やかなコミュニケーションや活発な議論が行われなかったのでしょう。
コミュニティビジネスについても、同様のことが起こる可能性があると思った次第です。
同様の課題については、厚生労働省で作成されたと思われる文書にも記載されていました。文書内の「CB」はコミュニティビジネスのこと。
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○ CBの生成の経緯をみると、鍵となる中核的人材が事業体を設立し、 その周りに活動に参加したいという人々が集まり、事業展開が図られて いく場合が多い。 しかしながら、そもそも中核的人材となり得る人材が少ないのに加えて、CBの独自の課題を解決しなければならないという問題がある。具体的には、CBには有給の常勤職員・無給のボランティアや、CBにおける収入で主に生計を立てている者、副収入に過ぎない者など、様々な 人材がいる。CBで活動している個人はその属性によって、仕事に対す る考え方が異なることもある(注5)。よって、多種多様な人材をコーデ ィネートし、創業の精神を共有できるような環境を醸成していくことが、 中核的人材には求められる。 (注5)例えば、専従の常勤職員は、行政からの委託事業が活動目的と完全に合致しないものであ っても、当該事業を的確に運営することに腐心する一方、無給のボランティアは、組織のためではなく、自己実現や社会貢献のために活動しているという意識が第一にあることから、 組織にとって収入にならなくても、活動目的に符号する仕事を選好するといった事態が生じ 得る。
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https://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/06/dl/h0618-4e.pdf
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| 課題を片付けるには、参加者間のコミュニケーションが大事かも |
今後、市川市内でコミュニティカフェを運営している人に取材させてもらう予定なので、課題についても詳しく聞きます。
最後に、コミュニティスペースなどと混同しやすいと思われる市川市内の施設について挙げておきます。「地域ふれあい館」はコミュニティスペースではないかとも思ったので、「行政から人的、資金的に独立した存在である」かどうか、これから調べるつもりです。
■公民館
市町村が、住民の教養・健康・生活などの向上のために設置する集会所。
「公民館は、市町村その他一定区域内の住民のために、実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もつて住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的とする。」(社会教育法第二十条)
■自治会館
自治会とは市町村内の各地域で組織されている「町内会」で任意団体。 一定の要件を満たし市区町村長の認可を受ければ、法人格を取得できます。
自治会館は、自治会が運営する集会所。
■社会福祉協議会関連施設
社会福祉協議会(社協)は、民間の社会福祉活動を推進することを目的とした営利を目的としない民間組織です。1951年に制定された社会福祉事業法(現在の社会福祉法)に基づき、設置されています。
社会福祉事業には第1種と第2種があります。
〇第1種社会福祉事業
生活保護法、児童福祉法(乳児院や障害児入所施設など)、老人福祉法(養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム)、障害者総合支援法(障害者支援施設)、売春防止法などに関連する事業。
〇第2種社会福祉事業
生活困窮者自立支援法、児童福祉法(通所支援、訪問事業、家庭支援など)、母子・父子・寡婦福祉法、老人福祉法(訪問介護、就労支援など)、障害者総合支援法(障害福祉サービス事業など)、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法などに関連する事業。
市川では地区ごとに、地域ケア市川第一、地域ケア真間、地域ケア南行徳などが運営されています。http://www.fukusi.jp/index.html
これは第2種社会福祉事業の隣保事業に当たるのでしょうか。
■地域ふれあい館
市内13カ所にあった「青少年館」をリニューアルした施設です。サークルや地域コミュニティ活動などの集会所。

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