遺伝子とタンパク質の表記、大文字・小文字・斜体など一体どうなっているの!問題
時計遺伝子について調べていたところ、遺伝子とタンパク質の表記が、大文字だったり小文字だったり斜体だったりと、違っていることを知りました。例えばピリオド遺伝子はPer遺伝子で、生成されるタンパク質はPERタンパク質。同じピー・イー・アールでも表記が違うのです。
どうして表記が違うのかを知るために、まずは遺伝子からタンパク質生成までの過程を追ってみました。
タンパク質生成の過程
私たちの体は、細胞で構成されています。精子や卵子、赤血球を除いて、ほとんどの細胞には核があります。
核の中には、染色体があります。人間の正常な細胞の核には、23対、合計46本の染色体が収められています。染色体はクロマチンなどで構成されていますが、詳しい構造はまだよくわかっていません。
クロマチンは、ヒストンというタンパク質にDNAが巻き付いたヌクレオソームの集まりです。DNAの直径は2ナノメートルで、これがヒストンを芯にして約2回巻き付きます。こうしてできたヌクレオソームの直径は約11ナノメートルです。
今から40年以上前に提唱された説では、ヌクレオソームがらせん状に規則正しく折り畳まれ、直径30ナノメートルのクロマチンができて、クロマチンもらせん状に巻かれているとされていました。
ところが、最近の研究では、ヌクレオソームがぐちゃぐちゃっと収められていると報告されています。
ところが、最近の研究では、ヌクレオソームがぐちゃぐちゃっと収められていると報告されています。
DNAは、核酸の1つです。
核酸は、ヌクレオチドが繰り返し結合している、大きな化合物(高分子化合物)です。ヌクレオチドとは、リン酸(H3PO4)・五炭糖(5つの炭素〈C〉が含まれ、五角形をしている)・塩基(窒素を含む複素環式化合物)が結合した化合物です。
ここまでを逆の順番にすると、次のとおりとなります。
1 リン酸・五炭糖・塩基が結合したのがヌクレオチド
2 ヌクレオチドがいくつもつながっているのがDNA
3 DNAがヒストンに巻き付いたのがヌクレオソーム
4 ヌクレオソームがぐちゃぐちゃっと折り畳まれたのがクロマチン
5 クロマチンの集合体が染色体
DNAは高分子化合物で、ゲノムはそのDNAの塩基配列から読み取られたすべての遺伝的な情報です。情報をもとに、細胞内でタンパク質が作られています。DNAが暗号(コード、code)だとしたら、ゲノムは暗号から引き出したメッセージというところでしょうか。「遺伝情報がコードされている」「タンパク質をコードする塩基配列」という表現もされています。
ただ、真核生物の場合、DNAのかなりの部分がタンパク質をコードしない反復配列で構成されていることがわかりました。
ゲノム・遺伝子・DNAの違いを分かりやすく解説!それぞれの特徴は?
https://alfs-inc.com/column/2842/
上のたとえに当てはめると、図書館の棚に、タンパク質の設計について書かれた本だけでなく、設計とは無関係の文字が羅列された本も置いてあるということです。ただの文字の羅列に当たる非コードDNA領域は「イントロン」、設計に当たるコード領域は「エクソン」と呼ばれ、人間の場合はエクソンが5%と推定されています。
DNAの塩基には、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類があります。塩基の3つが1組(ATP, TTP, GTP, CTP)になって、20種類あるアミノ酸(タンパク質の材料)に対応しています。
遺伝子からタンパク質ができるまでには、転写、翻訳という過程があります。転写と翻訳に関わっているのが、RNAです。
DNAとRNAの違いは、五炭糖にあります。ヌクレオチドの糖がデオキシリボース(C5H10O4)であればDNA、リボース(C5H10O5)ならばRNAです。
そして、RNAの塩基には、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、 ウラシル(U)の4種類があります。DNAのチミン(T)の代わりにウラシル(U)が入っています。
細胞の核の中には、RNAポリメラーゼといって、RNAを合成する酵素があります。RNAポリメラーゼは遺伝子を鋳型ににして、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、 ウラシル(U)を組み合わせて(重合)、mRNA(メッセンジャーRNA)を合成します。これが転写です。
mRNAは核の外に出て行って、細胞質のリボソームに運ばれます。mRNAの情報をもとに、リボソームではtRNA(トランスファーRNA)はアミノ酸を運んできます。これが翻訳です。
リボソームでアミノ酸が結合して、1本の鎖のようなポリペプチドができます。ポリペプチドがらせん状やジグザグに折り畳まれて立体的になり、タンパク質ができます。
ここまでの遺伝子からタンパク質ができる過程は、前振りです。本題は、遺伝子とタンパク質の表記です。
ただ、真核生物の場合、DNAのかなりの部分がタンパク質をコードしない反復配列で構成されていることがわかりました。
DNA → 本を作る紙や材料
情報を記録する基本的な材料
図書館のすべての本の素材
遺伝子 → 1冊1冊の本
それぞれ異なる情報が書かれている
目的に応じて必要な本を読む
ゲノム → 図書館の蔵書すべて
すべての情報を含む
生物の特徴を決める完全な情報セット
ゲノム・遺伝子・DNAの違いを分かりやすく解説!それぞれの特徴は?
https://alfs-inc.com/column/2842/
上のたとえに当てはめると、図書館の棚に、タンパク質の設計について書かれた本だけでなく、設計とは無関係の文字が羅列された本も置いてあるということです。ただの文字の羅列に当たる非コードDNA領域は「イントロン」、設計に当たるコード領域は「エクソン」と呼ばれ、人間の場合はエクソンが5%と推定されています。
DNAの塩基には、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類があります。塩基の3つが1組(ATP, TTP, GTP, CTP)になって、20種類あるアミノ酸(タンパク質の材料)に対応しています。
遺伝子からタンパク質ができるまでには、転写、翻訳という過程があります。転写と翻訳に関わっているのが、RNAです。
DNAとRNAの違いは、五炭糖にあります。ヌクレオチドの糖がデオキシリボース(C5H10O4)であればDNA、リボース(C5H10O5)ならばRNAです。
そして、RNAの塩基には、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、 ウラシル(U)の4種類があります。DNAのチミン(T)の代わりにウラシル(U)が入っています。
細胞の核の中には、RNAポリメラーゼといって、RNAを合成する酵素があります。RNAポリメラーゼは遺伝子を鋳型ににして、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、 ウラシル(U)を組み合わせて(重合)、mRNA(メッセンジャーRNA)を合成します。これが転写です。
mRNAは核の外に出て行って、細胞質のリボソームに運ばれます。mRNAの情報をもとに、リボソームではtRNA(トランスファーRNA)はアミノ酸を運んできます。これが翻訳です。
リボソームでアミノ酸が結合して、1本の鎖のようなポリペプチドができます。ポリペプチドがらせん状やジグザグに折り畳まれて立体的になり、タンパク質ができます。
ここまでの遺伝子からタンパク質ができる過程は、前振りです。本題は、遺伝子とタンパク質の表記です。
概日リズムの分子機構には複数の時計遺伝子が関わっていますが、その中でも重要なコアとなる遺伝子があります。これまでの研究により、体内時計の刻みを促進する因子(時計転写因子)としてBmal、Clockの2つの遺伝子群が、また抑制する因子(時計抑制因子)としてCryとPeriodの2つの遺伝子群が知られていました。概日リズムの分子機構は、これら時計遺伝子による転写翻訳フィードバックループ(TTFL)に基づいていることが知られていますが、その全容はまだ明らかではありませんでした。共同研究グループは、クロマチン免疫沈降法(ChIP)と次世代シーケンサーを組み合わせた解析方法「ChIP-seq法[3]」などを用いて、コアの時計転写因子「BMAL1」の標的遺伝子を網羅的に同定しました。その中で、Periodなどの時計遺伝子と同様に、昼夜の振幅の変動が大きな概日リズムを示す新規遺伝子としてGm129を同定し、これをChrono(クロノ)と名付けました。
ホールとロスバシュは、タンパク質「PER」の周期的な濃度増減が概日リズムを生み出していることを発見しました。PERは核で遺伝子「period」から作られ、細胞質に運ばれます。PER濃度が増加するとperiodの働きが抑えられ、それによりPER濃度が減少すると再びperiodが活性化する、というループが明らかになりました。では、細胞質にあるPERはどのように核内のperiodに作用するのでしょうか。ヤングは、PERを核内に運ぶタンパク質「TIM」とその遺伝子「timeless」を発見しました。ヤングは、約24時間というPERの濃度変化の周期を実現する遺伝子「doubletime」の存在も突き止めました。その後の研究で、光に応じて概日リズムの周期を調整する遺伝子など、様々な遺伝子が発見されています。
時計遺伝子とは生体機能の24時間周期の変動(概日リズム)を制御する遺伝子群の総称である.1984年にショウジョウバエのPeriod(Per)が同定され,その発現の24時間周期変動が,概日リズム発振の本体であると明らかになった(2017年ノーベル生理学・医学賞).ほ乳類動物ではPer, Cryptochorome(Cry),Clock, Bmalなどが同定されている.これらによってコードされる各タンパク質は,転写抑制因子(PER, CRY)または転写促進因子(CLOCK, BMAL)として機能し,互いの発現を調整するフィードバックループ機構を形成することで,様々な遺伝子の発現に概日リズムを引き起こす.
遺伝⼦・タンパク質の記載⽅法について(20230908追加)
・ヒト遺伝⼦はイタリック体で顕性は⼤⽂字(潜性は⼩⽂字)
・マウス・ラットはイタリック体で語頭のみ⼤⽂字であとは⼩⽂字
・タンパク質はいずれも正体で⼤⽂字(遺伝⼦名と同じ略語の場合)
・タンパク質のspell outはすべて⼩⽂字でよい
学位申請における⽤語の統⼀について
https://www.hama-med.ac.jp/education/doctoral/touitsuhyouki20230908_HP.pdf
DNAは、生きた細胞の中で不規則な塊を作っていた!
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2017/20170714_1
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2017/20170714_1
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