東京の隣の市川市は、千葉県内で下水道普及率も汚水処理人口普及率も低いんじゃないか問題

  路上の蓋を観察する日々の中で、珍しい蓋を発見。


 「方水蓋」 ???
 ネットで検索しても、何もヒットしません。

 ならば「NIKKO」で検索。
 すると、ニッコー株式会社がヒットしました。事業内容を見て、この「方水蓋」は浄化槽の蓋だと推測しました。

1974(昭和49年)
「水質汚濁防止法」の実施にともない水処理プラント機器分野に進出
公共下水道の普及が遅れていた日本では、し尿処理のみの単独処理浄化槽から、雑排水を含む合併処理浄化槽への転換が求められた。

 「公共下水道の普及が遅れていた日本」の文言で思い出したのが、市川市の下水道普及率が76.8%ということ。『クラナリ』では2022年に記事にしました。

〇実は市川市の下水道普及率は100%じゃなく、 76.8%なんですよ問題

令和4年度いちかわの下水道より


 平成24年度のデータを見ると、市川市の「汚水処理人口普及率」は78.2%で、浄化槽を使用している世帯もそれなりに多いことがわかります(令和4年度末で87.1%)。なお、汚水処理人口普及率とは、全人口のうち、汚水処理施設を利用できる人口の割合です。

市川市の下水道の現状と課題より

 汚水処理には、次の4種類があるようです。

〇くみ取り便所

 トイレの排水は回収車がくみ取って、処理場に運ばれます。

〇単独処理浄化槽

 トイレの排水は、単独処理浄化槽で浄化してから側溝(排水溝)に流します。
 生活雑排水(台所の排水・お風呂の排水など)は、そのまま側溝に流します。

〇合併処理浄化槽

 トイレの排水と生活雑排水を、合併処理浄化槽で浄化してから側溝(排水溝)に流します。


 浄化槽では、微生物を使って排水を浄化しているそうです。
 浄化槽を設置するのは、建物の持ち主や各世帯のようで、市川市のサイトでも「維持管理は自分たちで定期的に行なわなければならず、管理を怠ると浄化が出来ず汚水を流してしまい、周囲へ悪臭を放つことがあります」と書かれています。
 平成元年の神奈川県相模原市のデータでは、単独浄化槽(分離接触ばっ気型・5人槽)の維持管理に必要な費用として、5年間で24万2500円とのことでした。
 市川市の高度処理型合併処理浄化槽設置補助金の対象となっていた以下の地域は、下水道が整備されていないと考えられますね。
大町、奉免町、下貝塚、曽谷(1、2、3、4、5、6、8丁目)、東国分(3丁目)、稲越、国分(4丁目)、高谷新町、二俣新町、東浜、高浜町、千鳥町、宮久保(2丁目)、柏井町(2、3、4丁目)、原木(3丁目)、塩浜(1、2、3丁目)

 ちなみに、千葉県には54市町村 (37市16町1村)があります。
 そんな千葉県で公共下水道事業を行っている36市町村(内、1町は、雨水排除のみ)の下水道普及率は、令和5年3月末現在で77.1%です。市川市は、令和4年度末で76.8%
 また、千葉県の汚水処理人口普及率は、令和3年度末で90.1%とのこと。市川市は、令和4年度末で87.1%

 へっ? 市川市は、下水道普及率も汚水処理人口普及率も低いということ……??

 驚きました。東京の隣の市川市なのに……

 冒頭で紹介した「方水蓋」を見かけた地域は、すでに下水道が普及していました。ですから、過去に使われていたものが、そのまま残っていたのでしょう。

■参考資料
令和4年度末の汚水処理人口普及状況について | 報道発表資料 - 環境省


千葉県公共下水道の紹介
Powered by Blogger.