成田空港と市川市をズドンと結ぶ「北千葉道路」の市川市側の「難工事」って何だろう問題

北千葉道路の概要(千葉県サイトより)

 「北千葉道路」――成田空港と東京方面をほぼ一直線に結ぶ高規格道路の構想だ。全長約43キロのうち約6割は開通、またはほぼ目星がついている。しかし、残る東西端は用地買収を含む難工事が必至で、知事は国も巻き込んで早期の全線開通を目指す。


 2024年8月1日付の日本経済新聞で、このように報じられていました。
 一般国道464号北千葉道路の西端は、市川市。東端は成田空港。

 東端については、用地取得は完了し、着々と作業が進んでいると、2024年8月20日付のYahoo!ニュースにありました。

 現在は途中の鎌ケ谷市から成田市押畑までの約30kmは開通済みで、さらにその先の成田空港付近(成田市大山)までの3.7kmは建設が進められています。
 2024年8月、国土交通省が成田市内の区間について、事業再評価を行いました。対象となったのは、成田市の北須賀から押畑までの5.6kmです。
 この区間は線路の北側に沿って暫定2車線で開通しており、現在は4車線化事業が進んでいます。線路を挟んで南側に2車線分を新たに設ける区間と、線路の北側に2車線分を増やす区間があります。
 2024年3月末時点でこの事業の用地取得率は100%となっており、現在は、分断される既存道路の代わりとなる機能補償道路などの整備が進められています。

 一方の西端である市川市では、どのような難工事が進められる予定なのでしょうか。今回、調べてみました。

 2024(令和6)年5月15日に更新された千葉県のページによると、中国分小学校より少し北の「市川市堀之内」で、東京外かく環状道路(外環)とつながる北千葉道路。
 現時点で、鎌ケ谷市(鎌ヶ谷消防署前)から印西市(若荻)までの約19.7kmは、4または8車線で開通しています。また、印西市若萩から成田市北須賀までの約4.2kmと、成田市北須賀から押畑までの約5.6kmは、暫定2車線で開通しています。

 ですから、市川市から鎌ケ谷市までを結ぶ道路工事で、難しい作業があるということですね。



 パンフレットを見たところ、国分川の下をトンネルで通し、地上に出てしばらくすると高架になり、JR武蔵野線の上を越えていくことになっていました。


 アップダウンが激しい!
 確かに難工事になるでしょう。

 さらに、地下の専用部の上に一般部、つまり地上の新しい道路が作られるようです。
 「えっ……。けっこう住宅があるよね?」と思い、Googleマップで確認したら、やはり住宅があります。
 ちなみに、オレンジの線は地下で、赤い線は地表で高架も含まれます。
Googleマップ(一部改変)


この内、市川市と松戸市の区間の専用部1.9km、一般部3.5kmについては、令和3年度に直轄権限代行として事業化され、現在、用地取得へ向けた道路の設計などが進められているところであり、今般、国から用地買収に着手することが発表されたところです。

 「権限代行」は、「道路管理者以外の者が、本来の道路管理者に代わってその権限を行使すること」とのこと。北千葉道路については、千葉県の代わりに国が事業を行うことになったのでしょうね。
 とはいえ、千葉県は、次のことに取り組むのだそうです。
〇関係機関との協議・地元調整
〇関係市との協力体制の整備
〇北千葉道路のアクセス道路となる都市計画道路の整備の推進
〇地元住民の理解醸成への広報活動
 測量に着手するときには、沿線市の広報紙掲載、自治会への測量チラシ回覧、UAV(Unmanned Aircraft Vehicle、無人航空機測量)の作業のお知らせなどを行ったとのこと。

 2024年4月26日、国土交通省(首都国道事務所)は市川市と松戸市の区間の用地買収に本年度着手すること、そして本年度の事業費として、調査設計と用地買収で9億円を計上していることを発表したそうです。
 ですから、これから立ち退きなどの話し合いが行われるのでしょう。日本経済新聞の表現を借りれば「目星がついていない」状況。

 市川市・松戸市の北千葉道路建設については、以下のような流れで進められてきたと、パンフレットに紹介されていました。なお、西暦と東京外かく環状道路(外環)の情報を加える形で改変しています。

1969(昭和44)年5月 市川~鎌ケ谷を幹線街路として都市計画決定
1993(平成5)年4月 松戸市~成田市間47kmが一般国道464号に指定
1994(平成6)年12月 北千葉道路が地域高規格道路候補路線に指定
2018(平成30)年6月 外環の千葉区間(三郷南ICから高谷JCTまでの約16km)が開通
2021(令和3)年1月 都市計画変更(外環〔市川市堀之内〕~国道16号〔船橋市小室町〕の約15km)
2021(令和3)年2月 環境アセスメント手続き終了(  同 上  )
2021(令和3)年4月 国による権限代行により事業化(外環〔市川市堀之内〕~市川市大町の3.5km)
2021(令和3)年8月 工事開始告示(  同 上  )

 印象としては、「55年にわたってくすぶってきた道路問題が、外環の千葉区間開通を契機に大きく動き出した」というところでしょうか。


 外環については、1963(昭和38)年に3環状9放射のネットワークが計画され、1966(昭和41) 年に都市計画決定がなされました。
 2020(令和2)年にトンネル工事が原因で、東京・調布市の住宅街で道路が陥没し、工事はストップしているようです。

 難工事が必至と報じられている北千葉道路。どのように進んでいくのでしょうね。

■参考資料
地元・沿線市との協力体制による北千葉道路事業の推進 

一般国道464号北千葉道路の建設促進に関する要望

「北千葉道路 市川市地域の用地買収へ9億円!」

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