丸浜川の再生と、やがて悲しき内匠堀

 日本には「八百万の神」がいて、山、川、海、木や石など自然界のものにはすべて神様が宿ると日本人は信じて生きてきた……

 このように言われていますが、現実はちょっと違うようです。

 市川市には過去に「全国一汚れた川」と呼ばれていた春木川がありますが、丸浜川もかなり汚れていたそうです。
塩浜橋から見た丸浜川。水は澄んでいます

 丸浜川は行徳高校の横を流れています。以前は車のタイヤや冷蔵庫などが、この川に捨てられていたとのこと。
 この状態を憂い、武田紀昭さんという方がゴミ拾いを始めたのだそうです。その姿に心を打たれ、共感した人々が集まって「行徳グリン・クリンの会」が結成されました。

 この丸浜川。河津桜と菜の花が咲く春が撮影シーズンのようですが、初夏の今の様子を見に行きました。

 春木川とも共通するのは、平地を流れるので、水流に勢いがなくて滞りがちな点。
 そのため、川の中に草が生えてしまい、さらに滞ってしまうという現象が起こるわけです。



 下水道が整備される前は川に生活排水が流れ込み、さぞかし臭かったことでしょう。「どうせ臭くて汚れた川なんだから、ゴミを捨てたっていいだろう」と粗大ゴミを置いていく人も現れたと考えられます。

 人間とはおもしろいもので、きれいなものを汚すには大きな抵抗感があるのに、ちょっとでも汚くなると「まあ、いっか」とさらに汚していく習性があるのだそうです。掃除の専門家に聞きました。

 もともと流れの悪い丸浜川をきれいな状態で維持するのは、大変なことと思います。
 どのように丸浜川を再生したのか、どうやってきれいな川を維持しているのか、そのノウハウが広まっていけば市川の川はもっと美しくなりそうですね。
川沿いには色とりどりの花が




行徳野鳥観察舎


 あまりにも汚くなってしまったために、埋められたり暗渠になったりした川もあります。
 その一つが内匠堀。江戸時代の寛永年間(1624~1644年)に開削され、鎌ヶ谷市から流れ始めて現在の大柏川になり、行徳、浦安まで伸びていた農業水路です。

 その支流の冨貴川は臭くて埋められたそうなのです。

 内匠堀のおかげで水田に水が引けたのですが、住宅地化が進み、農業用水も不要になったのでしょう。
 市内に「内匠堀プロムナード」という道があると知り、足を運びました。南行徳小学校の近くです。



 眺めて、写真も撮って、なんだか悲しくなり、すぐに立ち去りました。
 
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