市川市から千葉市にかけて存在すると推定されていた「東京湾北縁断層」を知っていましたか
「東京湾北縁断層」は、1991年に発行された『新編 日本の活断層』(編:活断層研究会 東京大学出版会)に掲載された、長さ22kmの活断層です。千葉県市川市と船橋市との境界(中山競馬場周辺)から千葉市にかけて存在すると推定されていたのですが、千葉県などの1998年度の調査で、活断層ではないと判断されました。
| 出典:活断層調査結果|千葉県 |
そもそも「活断層」とは何を指しているのでしょうか。文系人間のクラナリはここからスタートさせます。
地面を掘り下げていくと、最後は固い岩の層にぶつかります。
岩のたくさんの割れ目は、通常はしっかりとかみ合っていますが、プレート運動などで力が加わると割れ目がずれます。
割れ目がずれる現象が「断層」活動。言い換えると、岩の層に割れ目ができてずれている(食い違っている)のが断層です。
そして、ずれた衝撃が震動として地面に伝わったものが、地震です。
割れ目がずれる現象が「断層」活動。言い換えると、岩の層に割れ目ができてずれている(食い違っている)のが断層です。
そして、ずれた衝撃が震動として地面に伝わったものが、地震です。
活断層とは、数十万年前以降に繰り返し活動し、将来も活動すると考えられる断層です。なお、260万年前以後の第四紀に活動した証拠のある断層を呼ぶこともあります。
活断層データベースでは「大地の深いキズ」と説明されていました。
Q.活断層って何ですか?活断層データベース よくある質問
A. 活断層とはいわば大地の深いキズです。
このキズは普段はずれ動くことはありませんが、あるとき突然ずれ動き、大地震を引き起こします。
このような大地のキズのうち、最近まで繰り返しずれ動き、今後もずれ動いて大地震を起こす可能性のあるものを「活断層」と呼んでいます。
https://gbank.gsj.jp/activefault/question.html
ここからが本題。
どのような経緯で、東京湾北縁断層が『新編 日本の活断層』に掲載された経緯について、のでしょうか。
まず、1977年に、環境地質学者の楡井久博士が、船橋市の地下で、基盤岩(大陸地殻の最も古い基礎部分)に落差があると発表しました。ただし、活断層についての言及はありません。
○90万年前に堆積した上総層群梅ケ瀬層相当層(前期更新世)の等深線が、東京湾を囲む形で間隔が狭くなっている
※等深線とは、水面標高からの深さが10mごとの線(水深の等しい点を結んだ線)
○90万年前に堆積した上総層群梅ケ瀬層相当層(前期更新世)の等深線が、東京湾を囲む形で間隔が狭くなっている
※等深線とは、水面標高からの深さが10mごとの線(水深の等しい点を結んだ線)
| 出典:東京湾造盆地運動|千葉市 |
※段丘崖(だんきゅうがい)とは、川や海沿いにある階段状の地形(段丘)において、平らな面(段丘面)と低い面を区切る急な崖
| 出典:大阪市立自然史博物館 |
○船橋市地下では、段丘崖に直交する形で基盤岩に約300mの落差が存在する
1982・1983年に地理学者の多田文男博士は、船橋で基盤岩に南西落ちの段差構造が認められること、そして、この位置が地表の段丘崖の位置になっていることから、活断層の存在を主張しました。
こうした研究発表を踏まえて、東京湾北縁断層の掲載に至ったようです。『新編 日本の活断層』で東京湾北縁断層は、確実度II、活動度Bとされていました。
確実度I:断層の位置、ずれの向きがともに明確で、地形的特徴から活断層であることが確実なもの。
確実度Ⅱ:断層の位置、ずれの向きは推定できるが、地形やごく新しい時代の地層が繰り返しずれていることを示す確実な証拠に欠けるなど、確実度Iとするには十分な資料に欠けるもの。
確実度Ⅲ:活断層である可能性はあるが、ずれの向きが不明であったり、河川や海の浸食作用など他の原因で形成された疑いが残るもの。
活動度A:1,000年あたりの平均的なずれの量が1m以上10m未満の活断層。
活動度B:1,000年あたりの平均的なずれの量が0.1m以上1m未満の活断層。
活動度C:1,000年あたりの平均的なずれの量が0.01m以上0.1m未満の活断層。
ただ、冒頭でも紹介したように、人工的に地面を揺らして地下の断面を見る反射法探査で活断層ではないと判断されています。
| 反射法探査(出典:活断層データベース) |
活断層データベースにも、東京湾北縁断層の説明がありました。
| 東京湾北縁断層(出典:活断層データベース) |
東京湾北縁断層について調べたところ、国や関係機関が、防災に関する大量のデータを無償で提供していることがわかりました。クラナリのような超文系人間が、どこにどんな情報があるのか、そしてどうやって必要な情報にたどり着くのかをマスターすることが、これから求められるのだと実感した次第です。
■主な参考資料
地震本部
活断層データベース
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