図書館の統廃合を巡る首長選挙について

 「市川市立図書館を週1ペースで利用する割に、図書館のことをよく知らなかった件について」では、東京都清瀬市で行われた図書館の統廃合について取り上げました。

 その清瀬市で、2026(令和8)年3月29日に市長選挙が執行されました。この選挙に、自由民主党・公明党が推薦する現職の渋谷桂司(しぶや・けいし)氏(52)、日本共産党・社会民主党が推薦する新人の原田博美(はらだ・ひろみ)氏(50)の無所属2名が立候補しました。渋谷桂司氏は2022(令和4)年の清瀬市長選挙で初当選し、今回は2期連続当選を目指していました。
 結果は、図書館の統廃合などを推進した現職の落選


 ちなみに、千葉県市川市では、市長選挙の投票が2026(令和8)年4月19日に控えています。現職の市長は「市川市学習交流施設 市本(いちぼん)」を廃止したものの、図書館の統廃合は行っていません。
 ちなみに市本は、テスラ社製高級電気自動車の公用車導入や市長室のガラス張りシャワー室、公共工事を巡る入札妨害事件での起訴などでなにかと話題になった前職の市長が、「単なる思いつきから」設置を決めたものでした。

「市本」という既に閉鎖された施設の縁起をご存じない方が殆どだと思うので書いておきます。市本は、綿密な計画があったわけではなく、単なる思いつきから始まったプロジェクトでした。文教都市を名乗るくせに駅に本屋が一軒もないじゃないか、と何かの折にお叱りを受けたのがそもそものきっかけです。


 投票率は、清瀬市長選挙(令和8年3月29日執行)が40・18%に対し、市川市長選挙(令和4年3月27日執行)の投票率は38.75%(前回より7.99ポイント増)。市川市については、あの前職も立候補したことでも話題になったものの、投票率は低いですね。

 さておき、清瀬市と比較しながら、市川市の図書館、首長選挙について検討していきます。

清瀬市 市の概要より

 東京都清瀬市は、多摩地域北部に位置します。市内の駅は、西武鉄道池袋線の清瀬駅のみで、池袋駅まで乗り換えなしで約30分でアクセスできます。
 千葉県市川市は、江戸川を挟んで東京都江戸川区と隣り合っています。市内にはJR、京成、北総、都営地下鉄が乗り入れ、14駅が存在します。JR市川駅からJR東京駅へは、約20分でアクセスできます。乗り換えはありません。

 市の面積は、清瀬市が10.23平方キロメートルで、市川市が56.39平方キロメートルと、市川市は清瀬市の5倍以上となっています。

 高齢化率(65歳以上人口の割合)については、清瀬市では2026(令和8)年3月1日時点で20989人÷75775人=0.27699と高齢化率が27.70%。
 市川市では2026(令和8)年2月28日時点で107134人÷498358人=0.21497と高齢化率が21.50%。

 2025(令和7)年の市税収入は、清瀬市は「市税は、雇用・所得環境の改善及び定額減税の減により個人市民税の増収が見込まれるため、全体では前年度より 7 億 8,419 万円増額の 103 億 4,470 万円」。市川市については962億円でした。

 総人口を比べると市川市は清瀬市の6.6倍で、高齢化率は市川市のほうが低くなっています。市税収入は、市川市は清瀬市の9.3倍です。

 図書館関連では、清瀬市はかつて6館あった市立図書館のうち4館を閉館し、市民が無料で利用できる本の宅配サービスを開始しました。
 市川市の市立図書館は6館、図書室が3室、公民館図書室、自動車図書館「みどり号」があります。

 数字だけで単純に考えると、2025(令和7)年3月31日までは、市の面積が5分の1で、人口が6分の1以下で、市税収入が9分の1以下の清瀬市に、市川市と同じ数の図書館が存在していたということになります。

 清瀬市長選挙の主な争点は、以下だと推測できます。
○中央図書館、下宿図書館、野塩図書館、竹丘図書館の廃止
図書館が果たす様々な機能を図書館以外の公共施設全体で担う

○市役所出張所の廃止
令和6年3月に松山出張所と野塩出張所はデジタルサービススポットに移行しました。

○立科山荘の廃止 ※小学校5年生の移動教室の場所
清瀬市立科山荘では、毎年3千万円の指定管理料を一般財源から負担しており、稼働率は25%程度。そして市外の利用者も多く、市民の一般利用は令和4年度では909人。市民の約2%となっておりました。

○市民プール・学校プール廃止
下宿市民プール(下宿二丁目559番1)は昭和54年7月にオープン以来、最盛期(昭和59年頃)には、1日平均約630人のご利用がありましたが、令和4年には利用者数が1日平均約90人にまで減少しており、建築から44年が経過し、老朽化が著しく改修に多額の経費が必要なことから閉鎖させていただくこととなりました。

プール内外の清掃、水位調節、機械のメンテナンス、薬品管理など、指導以前の仕事がなくなったことで、先生たちは授業準備の時間を確保できるようになりました。
天候に左右されることがなく、計画的に指導できることもメリットの1つです。

 今回の清瀬市長選挙で当選した原田博美氏は、図書館関連では次の政策協定を結んでいます。
市民の財産である旧中央図書館、野塩・下宿・竹丘の地域図書館を市の直営で復活し、図書館サービス充実の要である司書を育成します。


 前述の、市川市の市本については、年間3000万円以上の運営費が費やされていたと報道されていました。加えて、市川市の「令和3年度当初予算案説明」には、市本の予算額が6132万1000円と記載されています。それがたったの4年で閉鎖しました。そのお金があったら本の修復や購入などに充てたほうが意義があったように、一市民は思うわけです。

 人口減少時代のこれから、税収が減ると見込まれる中で、高度成長期に整備された下水道その他のインフラの改修が必要になってきます。そのために都市のコンパクト化を、今、進めておく必要はありそうです。
 一方で、性急なコンパクト化で取り残される市民も当然生まれるので、コミュニケーションを取り続ける必要もあります。
 なにより単なる首長の思い付きで、ハコモノに大量の税金をつぎ込むのは時代遅れでしょう。

■主な参考資料
清瀬市ホームページ

市川市ホームページ

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