こんなデジタルアーカイブは嫌だ
こんなデジタルアーカイブは嫌だ
〇データが重すぎる(さくさく見られない)
〇スマホで見づらい・読みづらい
〇刊行物を撮影して、画像データを貼り付けただけである
〇古い情報が検証されずに載せられている(現在の教科書とかみ合わない)
〇テキストだらけである
〇歴史的資料の写真だけである(興味を引く解説がない)
あと1~2年で、市川市は市川市史をデジタルアーカイブ化すると勝手に予測しています。理由は「ないと、恥ずかしいから」。
市川市ではいちかわGIGAスクール構想を発表しています。
いちかわGIGAスクール構想では、「1人1台のタブレット」と「学校の無線環境」「インターネットを利用した学習システム」を整えることで、市川市の教育理念である「人をつなぐ 未来へつなぐ 市川の教育」を推進します。
にもかかわらず、市川市の歴史や地理といった資料がアナログというのはおかしなものです。
さらに、近隣の自治体ではデジタルアーカイブがすでに運営されています。
〇江戸川区 デジタルアーカイブ
〇船橋市 デジタルアーカイブ
加えて、2008(平成20)年には市川市史編さん委員会を設置され、2018(平成30)年までに市川市史ができる予定ではあったのだと、以下の記述から考えられます。
このことから、平成20年度、正式に市川市史編さん委員会を設置し、既刊市史刊行後の現代史及び新たに得られた歴史的知見、さらには既刊の市史で取り扱っていない自然・環境・民俗等の記録などを後世へ伝承する新しい市史の編さん事業に着手いたしました。この度の編さん事業も完結までは、概ね10年程度の期間がかかる計画ですが、文化都市市川にふさわしく、また、市民の皆様に愛され、多くの人に活用される市史にすることを目指し取り組んでまいります。
ただ、市川市サイトの別のページには、次の記載もありました。
市川市史刊行計画編さん期間:平成20年度から令和5年度までの16年間。
上記から、市川市史については古い時代の情報からまとめ直しているために、時間がかかっているのだと推測しています。
ところで、「クラナリさんは、市川市のデジタルアーカイブを作りたいんですよね?」と尋ねられることがあったのですが、8割間違いで2割正解です。
構築にも運営にも膨大なお金がかかるデジタルアーカイブを、一般の民間人が作れるはずもありません。
また、民俗資料などのデータを集めた壮大なデジタルアーカイブであれば、おそらく、市川市がすでに着手しています。
クラナリが参加している「市川みらいアーカイブ」は、市川市史から取りこぼされるであろう、高度成長期から現在までの地域資料を集めて、近い将来の意思決定に使ってもらうことが目的です。少子高齢化、人口減少、高度成長期に整備したライフラインの老朽化といった数々の問題が、2050年までに空き家増加や治安悪化、水道管破裂といった目に見える形で現れると予想されているからです。
「市川のなし」についても、江戸時代の川上善六の話は市川市史に掲載されるから、「市川みらいアーカイブ」では梨農家の方からの聞き込みや他市との違いをデータとして残す作業を行います。このような「情報のすみわけ」を行っています。
さらに、世の中で「正解」と思われていること、まことしやかに伝わっていることを、古い地図などの資料や自分の頭を使って、繰り返し見直す作業も行います。一例が、市川市最大の“聖地”である大慶園の設立は本当に1951(昭和26)年なのか問題 です。そして、津波と高潮を混同して情報発信しているケースがあったので、千葉県津波浸水想定図で、市川市が関係する図面はこの3つ で行政が発表している資料をネットにアップすると同時に、アーカイブに格納しています。
デジタルアーカイブについては、「作ってはみたものの、誰も見ないし読んでいない」状況に陥りがちではないでしょうか。クラナリも多くのデジタルアーカイブを利用してきたのですが、冒頭で挙げた「こんなデジタルアーカイブは嫌だ」の条件に合致するものは、デジタル過疎化状態と推測しています。要は「使えない……」。
作ったら終わりではなく、進化し続けるデジタルアーカイブを運営してほしいところです。
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