これからの市川市民として 「ただ老いる町」「新陳代謝する町」の話がしたい その13 市川市の在留外国人でネパール国籍が第3位の理由
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ネパールの首都カトマンズ |
「サリー姿の女性はインドの人」というのは、大きな誤解でした(申し訳ありません!)。インドだけでなくネパールやバングラデシュなど、南アジア地域でも広くサリーは着用されているとのこと。
また、市川市内で増えているインドカレー店については、ネパール人が切り盛りしている「インネパ」の可能性が高いと、「市川市の在留外国人数 国籍ランキング」から推測できます。
インネパについては、ここ20年ほどで、日本で激増しているとのこと。市川市内だけの現象ではありませんでした。
在日外国人については、2013~2018年で増加人数は43.7万人。国籍別の上位3カ国は①ベトナム(18万人増)、②中国(5.8万人増)、③ネパール(5万人増)とのこと。
増加の背景には、留学生政策があります。ベトナム・ネパール国籍の在日外国人が増えたのは、アジア新興国で日本への留学ブームが起こったためです。
1983年には「留学生10万人計画」が始まり、2003年に達成されました。
そして2008年に「留学生30万人計画」が提唱され、2019年には留学生数が31万2214人で数値目標は達成されました。
留学生30万人計画には、次の2つの目的がありました。
〇日本の大学の国際化を推進
〇少子・高齢化による人材不足の解決
2024(令和6)年度外国人留学生在籍状況調査結果では、ネパールが第2位となっています。
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2024(令和6)年度外国人留学生在籍状況調査結果より |
また、ネパールについては、国内での雇用機会が少ないために、多くの人がインドへ出稼ぎに行くのだそうです。インド人が経営するインド料理店で、コックとして働いているのがネパール人というケースも多く、結果として、ネパール人コックが増えたということです。
2000年代初めは在日ネパール人の3分の1程度が、在留資格「技能」による滞在とのこと。
もう一つの背景に、ビザ緩和がありました。
2000年代には、ビザの取得要件が緩和されました。そして2014年の入管法改正で、2015年4月1日以降は、資本金500万円がなくても、常勤従業員2人以上雇用するなどの要件も満たしていれば、外国人が日本で事業の管理や経営活動を行うことができるようになりました。
家族滞在と技能の増加は連動していると思われる。つまり、技能ビザで日本にいるのはインド料理店などでコックとして働くネパール人で、彼らの配偶者が家族滞在ビザで来日しているわけだ。ネパール人従業員を多く雇用する飲食店オーナーによると、「コックとして数年勤めた後に独立して自分の店を構える人たちがこの7、8年で一気に増えた。彼らが同郷の人を呼び寄せているようだ。永住権申請を目指すネパール人も多い」という。
日本でベトナム・ネパール人が急増した事情
ネパールの高等教育は英語で行われているものの、日本が他の国よりも比較的留学ビザが取りやすいのだそうです。そのため、多くのネパール人が、日本語がわからないまま、日本に来ているようです。
スマホの翻訳機能で買い物などでの日常会話はできるものの、病気やケガをしたときのコミュニケーションや制度で、ネパール人が不安になるのだそうです。
最後に、市川市の在留外国人でネパール国籍が第3位の理由をまとめましょう。
〇ネパールでは雇用機会が少なく、インドのインド料理店でコックとして働いている人が多い
〇コックとして働いてきた人が技能ビザで日本に来る
〇彼らの配偶者が、家族滞在ビザで日本に来る
〇留学生として、日本にやってくる(英語圏の国よりもビザが取得しやすい)
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外国人との共生社会の実現に向けたロードマップより |
■主な参考資料
現代ネパールにおけるサリーの多層性 ――ファッションとしてのサリー――
サリーとは、長さ5~7mほどの一枚布を身体にまとう装いである。サリーと聞くと、多くの人がインドを想像するだろう。インドにおいてサリーは、イギリスからの独立を目指す際に、統一的な国家像を表象するインドの「国民衣装」となった。だが、サリーはインドのみならず他の南アジア地域でも広く着用されている。なかでも、ネパールにおいてサリーは、国民を統一するインドのサリーとは異なり、国内外の他者を差異化する/自らが他者として差異化される記号としてはたらいてきた。近現代ネパールを通して、サリーは支配者層であるヒンドゥー高カーストの権力や近代性を誇示する記号として、あるいは、洋服などの新たにもたらされた衣服とは異なる「時代遅れな」装いとして捉えられてきた。
「インドカレー屋」実はネパール人運営が多い理由
関係者ヒアリング結果概要
日本でベトナム・ネパール人が急増した事情
「留学生30万人計画」
「留学生30万人計画」について、文部科学省ほか関係省庁(外務省、法務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省)は、平成20年7月29日付けで計画の骨子を策定し、同日の閣議後閣僚懇談会において報告しましたのでお知らせいたします。
留学生政策と人材育成の国家的課題 ―留学生30万人計画から次の段階へ―
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