高潮と津波は何が違うんだ問題


波浪

 強い風が原因で起こります。海の表面に風が吹きつけることで、波が生じるのです。
 波の周期は短く、波長(波の山から山、または谷から谷の長さ)は数メートル~数百メートル程度です。

高潮

 強い風だけでなく、台風などでの気圧の低下も原因です。台風などで海の水が吸い上げられて、同時に、風が海水を海岸に吹き寄せることで、海面が異常に上昇します。
 強い風で起こることから、高潮と同時に波浪が発生しがちです。
防災気象情報について⑤より


津波

 地震や海底火山が原因です。海の底から海水に強い力が加わることで、その力が波のように伝わっていきます。
 波長が数キロから数百キロメートルと非常に長いため、遠くにまで伝わり、障害物を回り込みます。


 気圧の低下が原因である高潮の場合、大雨が降っていることがほとんどです。江戸川については上流域で降った雨の水も集めながら下流に流れてくるので、下流域にある市川市では洪水のリスクが高まります。
 そのため、市川市では高潮への警戒が重要になっているのだと考えられます。
 津波については、発生する場所にもよりますが、入り口が狭い東京湾の奥にあることから、高潮よりも被害が起こりにくいというのがクラナリの印象です。
 ちなみに、「大正6年の大津波」と呼ばれる水害は、実際は台風が原因の高潮です。

本市に想定される津波の最大浸水深は 2m程度で、到達時間にも余裕があるため、適切な情報提供方策の整備を行うことで人命の確保は可能であると考えられる。

 高潮と津波は、起こるメカニズムが異なります。また、ほとんどの場合に大雨が伴う高潮と、気象とは無関係の津波という違いもあります。どちらも水害ではありますが、原因や気象条件などの違いを念頭に置いて、自分の置かれた状況を判断したほうがよさそうです。

 津波のリスクをあまりにも大きく評価してしまうと、「早く避難しなければ」と焦ってケガなどをしたり、真夏の暑さや真冬の寒さの中で家を飛び出して体調を崩したり、別のリスクが生じます。

 また、水害を防ぐためには、川を美しく保つことが重要ではないでしょうか。ゴミが投げ込まれたりしていると、川の流れが妨げられて水位上昇の原因になるからです


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 2025(令和7)年7月30日8:25に発生したロシア・カムチャツカ半島付近を震源とする地震で出された津波注意報は、東京湾内湾で予想到達時刻が11時30分、高さは1メートル。
 首都圏の鉄道各線では、沿岸部を中心に運転の見合わせや遅れの影響が出ました。
 この日の午前中、JR総武快速線は、横須賀線内と内房線内での津波警報発表の影響で、東京〜千葉の上下線の一部列車に15分以上の遅れと運転変更が出ました。横須賀線・内房線との直通運転も中止されました。
https://x.com/JRE_F_Sobu/status/1950471801085317454/photo/2


 外房線の駅では入場規制が行われていましたが、ネットで検索した限りでは、市川市内の駅では行われていません。

 熊谷俊人千葉県知事は、2025年7月30日16:47に以下のポストを行っていました。

千葉県では津波はこれまで30cm程度が観測されています。今後は満潮等もあり、引き続き警戒が必要ですが、通常の社会経済活動に戻ることも重要です。

何かあったらどうするのか」という社会的なプレッシャーの中で、意思決定者はどんどんリスク最小化に倒れざるを得ません。
この局面では注意を呼びかけつつも、通常に戻す決断をした人を責める社会であって欲しくはありません。

千葉県では内房線や外房線の一部は運休が続いており、JRの判断にはなりますが、津波警報が継続されている以上、終日運休も見込まれます。
帰宅困難者が多数発生することが想定され、関係市町村との連携しながら対応を進めています。

災害は当初は最大級の警戒を敷いた上で、全容が見えてくるにつれ、誰かが責任を取って警戒レベルを一段階ずつ下げていかなければなりません(警戒を完全に解いてOKではありません)。

この発信にも一定の批判はあろうかと思いますが、今は時勢的にリスクを最大限取る声が圧倒的で、それによる負の影響に触れることも許されない雰囲気がありますので、あえて申し上げました。

誤解のないように申し上げますが、沿岸部や川沿い等も通常に戻るべきと言っているのではありません。

気象庁予測の最大津波高以上の警戒を今も続けている(第三者にそれを求める)ケースが散見され、それは望ましくないということです。

安全な場所や立場から、他者の社会経済活動や生計への影響を過小評価する傾向を危惧しています。

 17:00の時点で列車の運転を見合わせていたのは、以下のとおりです。

JR
湘南新宿ライン
池袋駅より南の横須賀線、東海道線
横須賀線
神奈川県鎌倉市の大船駅~神奈川県横須賀市の久里浜駅
東海道線
東京駅~静岡県の熱海駅
常磐線
茨城県東海村の東海駅~宮城県の仙台駅
内房線
千葉県君津市の君津駅~鴨川市の安房鴨川駅
外房線
千葉県茂原市の茂原駅~安房鴨川駅

私鉄
京急線
神奈川県の堀ノ内駅~浦賀駅
京急久里浜線
神奈川県の堀ノ内駅~三崎口駅
京急逗子線
神奈川県の金沢八景駅~逗子・葉山駅
小田急江ノ島線
神奈川県の藤沢駅~片瀬江ノ島駅

https://x.com/JRE_F_Sobu/status/1950563992398889104/photo/1

■主な参考資料
気象庁サイト全般

大正6年の大津波

【速報・追記あり】津波警報で千葉の交通に乱れ JR内房線・外房線が運転見合わせ 銚子電鉄や東京湾フェリーも
 
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