再開発はどうしてタワマンがセットなのだろうか問題 ~ “音楽のまち習志野” モリシア津田沼もまさかの再オープン?

津田沼駅南口の再開発が始動します! - 習志野市より



 建築工事費が高騰している今、JR津田沼駅南口再開発に暗雲が立ち込めています。施工予定者の野村不動産が、習志野市に、事業の一時中断を伝えたからです。


 千葉県習志野市の玄関口、JR津田沼駅南口の再開発事業が混迷している。施行予定者の野村不動産が今月21日、建設費の高騰などを理由に事業の一時中断を市に伝えたためだ。市は建物全体の一部しか所有せず、主導権はない。

野村不は「事業を取りやめる意思はない」としており、再開の見通しが立った際には市など権利者等の同意を得ながら手続きを再開する方針だ。

3月末に閉館した駅前の複合施設「モリシア津田沼」(同)について同社は、一時中断が長期化する可能性も踏まえて部分的な再開の可否も検討しており、建物設備の調査・点検に着手した。2025年度中をめどに判断するという。


 2025年2月7日に朝日新聞は次のように報じていました。

 千葉県習志野市のJR津田沼駅南口の再開発事業について、市は6日、市の負担額が当初の予定額から45億円増える見通しであることを同日の定例会見で明らかにした。建築費高騰の影響という。同駅南口にある複合施設「モリシア津田沼」を地上52階建てのタワーマンションや市の文化ホールなどに建て替える計画だが、2031年を見込んでいた完成時期も遅れる見通しだ。

 市都市再生課によると、施行予定者の野村不動産が昨秋、総事業費と市の負担額の見直しを提示した。参考値として、総事業費は1620億円から2060億円に、市の負担額は150億円から195億円に増える見通しを示したという。


 「総事業費は1620億円から2060億円」という文言には、もう驚きませんね。むしろ、「またか」「やっぱり」と感じてしまいます。

 ただ、中野サンプラザを含む中野駅新北口駅前エリア再整備事業との違いは、モリシア津田沼が野村不動産が不動産信託受益権を保有している点です。「事業を取りやめる意思はない」というのも、老朽化した建物を持ち続けるリスクを負わないためだと、うなずけます。

 習志野市が所有しているのは、モリシア津田沼に近接する習志野文化ホール(運営は、公益財団法人習志野市文化スポーツ振興財団)。

“音楽のまち習志野”としてのシティセールスの展開等、多岐にわたり、本市のまちづくりに貢献しています。


“音楽のまち習志野”

 クラナリ個人としては、コンパクトシティをうまく推進している先進都市習志野だったのですが、“音楽のまち習志野”だったのですね。
 コンパクトなまちづくりのおかげで、千葉県で水道料金が最も安いのが、習志野市なのです。

〇千葉県営水道料金の値上げ方針に関連して、「葛南地域」の水道料金を比較してみた



 ここでWikipediaなどをもとに、モリシア津田沼のこれまでをまとめておきましょう。

1971(昭和46)年 習志野市が総合開発プランを公募しフジタ工業が入選

1978(昭和53)年10月14日 習志野サンペデック開業
 旧第一中学校跡地に、習志野文化ホールと総合商業施設の複合施設として、駅前バスロータリー、ペデストリアンデッキとともに習志野サンペデックが設置されました。
 「サンペデック」は太陽(sun)と歩道橋(pedestrian bridge)を掛け合わせた造語なのだそうです。
 ちなみに、日本初のペデストリアンデッキは、1973(昭和48)年に国鉄柏駅東口の柏駅東口地区市街地再開発事業として整備されたものです。

 習志野サンペデックの所有者はフジタ工業で、当初の主要テナントは髙島屋とダイエー。

サンペデック津田沼の“サンペデック”は『サン(太陽)』と『ペデストリアンデッキ(歩道橋)』から取った『太陽のかけ橋』を意味している。高島屋とダイエーはこの橋が掛けられることを条件に入居を決めたという。

国鉄津田沼駅南口開発(サンペデック)より


1983(昭和58)年 フジタ工業から日本生命に習志野サンペデックが譲渡

1988(昭和63)年8月28日 津田沼髙島屋閉店
 売上不振で高島屋が撤退し、その跡地をダイエーが借り上げてディスカウントストア「エキゾチックタウン」を開店しました。

2002(平成14)年4月25日 エキゾチックタウン閉店(ダイエーに吸収)
 ダイエー津田沼店全面改装の際に、エキゾチックタウンはダイエー津田沼店に吸収されました。

2005(平成17)年11月30日 ダイエー津田沼店閉店
 ダイエーが産業再生機構から支援されることになり、習志野サンペデックから一度全面撤退。

ダイエーの業績悪化とイオンの津田沼進出が追い討ちをかけたかたちです。かくいう私もついつい新しいイオンに足が向いていました。時代は変化します。

2006(平成18)年 日本生命から野村不動産に習志野サンペデックが譲渡

2008(平成20)3月13日 モリシア津田沼開業
 野村不動産が大規模改装をし、モリシア津田沼として開業。モリシアのモリは森、シアは幸せから来ているとのこと。イオンの都市型食品スーパーマーケット、TSUTAYA、ヤマダ電機などがテナントに入りました。

2021(令和3)年2月 「習志野都市計画 都市再開発の方針」都市計画決定
 津田沼駅南口地区の再開発を本格的に検討し始めた時期だと考えられます。

2023(令和5)4月1日 習志野文化ホール長期休館

2025(令和7)年2月1日〜3月30日 「津田沼エリアの歴史から辿る モリシア津田沼 歴史展」が開催
 モリシア津田沼2階の特設会場にて、年表や写真冊子などが展示されたとのこと。以下の記事に、会場の写真が多数アップされています。

〇【習志野市】記憶を辿るモリシア歴史展、残り1ヶ月! ツダヌンポップアップストアは3月9日まで!

2025(令和7)年3月30日 モリシア津田沼閉館


■主な参考資料
JR津田沼南口地域開発の経緯と津田沼南口商店会の活動

津田沼駅南口地区における再開発

津田沼駅南口の再開発が始動します! - 習志野市
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