「町丁」「字」ってなんだろう問題
「町丁別・年齢別人口(住民基本台帳)」「国勢調査町丁・字等別境界データセット」などのワードをよく見かけます。
ふと疑問が湧きました。
1 住民基本台帳と国勢調査の違いはなんだろう?
2 町丁(ちょうちょう)はなんだろう?
3 字(あざ)はなんだろう?
ということで、調べてみました。
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| 市川市の町名(市川市サイトより) |
1 住民基本台帳と国勢調査の違いはなんだろう?
住民基本台帳に関係する法律は住民基本台帳法(1967年公布、1978年施行)で、住民登録(住民基本台帳に登録)されている人の数を集計したのが住民基本台帳人口です。
一方、国勢調査に関係する法律は統計法(2007年公布、2009年施行)で、実際に住んでいる場所で調査を行い、居住者を調査したのが国勢調査人口になります。
『クラナリ』編集人については、実家のあった福岡県から進学で東京都へと移動しました。ただ、住民登録は福岡県のままでした。この場合、住民基本台帳では福岡県に、国勢調査では東京都にカウントされるということです。住民基本台帳と国勢調査とではズレが生じています。
2 町丁はなんだろう?
総務省統計局のサイトでは、「町丁・字等」は1995年に国勢調査で導入された地域区分だと説明されています。
各基本単位区には9桁のコードが付されていますが,その先頭6桁が,おおむね市区町村内の△△町,〇〇2丁目,字□□などの区域に対応しています。「町丁・字等」とは,一つの市区町村内で先頭6桁のコードが同じ基本単位区を合わせた地域をいいます。「町丁・字等」は,平成7年国勢調査で初めて導入された地域区分です。
「町丁」の「町」ですが、見てのとおり「田」と「丁」を組み合わせた漢字です。ということで、まずは「丁」について調べました。
丁については、「1丁目」「丁寧」「豆腐1丁」「風呂上がりはパンツ一丁」「半か丁か」というように、さまざまな場面で用いられています。デジタル大辞泉では、以下が挙げられていました。
ちょう【丁】[漢字項目][音]チョウ(チャウ)(呉) テイ(漢) [訓]ひのと[学習漢字]3年〈チョウ〉1 偶数。「丁半」2 とじた紙の一葉。「丁数/落丁・乱丁」3 物が打ち当たる音を表す語。「丁丁発止」〈テイ〉1 十干の第四。ひのと。「丁酉ていゆう」2 順位で、第四位。「丁夜」3 成年の男子。「丁年/壮丁」4 人に使われて働く男。「園丁・使丁・廷丁・馬丁」5 「丁」の形。「丁字形・丁字路」6 ねんごろ。「丁重・丁寧」[名のり]あつ・つよし・のり[難読]丁髷ちょんまげ・丁幾チンキ・丁稚でっち・丁抹デンマーク・拉丁ラテンちょう〔チヤウ〕【丁】[名]1 2で割り切れる数。偶数。特に、さいころの目の偶数。「丁か半か」⇔半。2 市街地を分けたもの。町。「銀座八丁」→丁目3 「町ちょう2」に同じ。「頂上まで五丁」4 ⇒てい(丁)35 ちょうど。まさに。「わしは戌で―六十」〈浄・鑓の権三〉[接尾]助数詞。1 和装本の裏表2ページをひとまとめにして、それを数えるのに用いる。枚。葉。「五丁の草子」2 豆腐を数えるのに用いる。3 料理・飲食物の一人前を単位として数えるのに用いる。「天丼てんどん一丁」4 相撲・将棋などで、勝負の取組・手合わせなどの回数を数えるのに用いる。番。5 ⇒挺
「丁」は古くからある漢字だそうで、もともとは人間の頭部を表していたとのこと。
現在の古文字学者は一般的に「丁」字の初形は人間の頭部を表しており{頂}{顛}の象形であると考えています(これはまた古文字において「丁」字が「天」「元」等の字の頭部と同形であることを説明します)。
そんな「丁」という文字が、後に、単位にも使われるようになったようですね。
小野先生 : 「町」という漢字は「田」と「丁」から成っています。そもそもは、田んぼを区切るあぜ道の意味がありました。日本語の「まち」も、元々は田んぼの区画を指しました。小野先生 : 「むら」の語源は「むれる(群れる)」ですから、人が集まるという意味があります。大勢が集まれば、土地を整理しなければなりません。そのときに役立ったのが、「町」という区画の概念。さらに、交易が盛んになると商業の場としての「市」がたつというわけです。歴史的には、平城京のような都城が築かれるようになると、行政区画の単位として「町」が使われるようになりました。東西南北に走る大路に挟まれた四つの坊を「町」と呼んでいます。小野正弘 先生国語学者。明治大学文学部教授。「三省堂現代新国語辞典 第六版」の編集主幹。専門は、日本語の歴史(語彙・文字・意味)。
「町」と「丁」の関係は、以下で紹介されている豆腐の切り方が参考になりそうです。
豆腐はまず「田の字」に4等分に切り、切り分けた4分の1を、さらに12分の1に切ったものの1つが「1丁」なのだそうです。
土地の区画についても、大きく区切ったものが「町」、町を小さく区切ったものが「丁」になるのではないかと。
昔、豆腐は2個で「1丁」。1個だけ買いたい時は「半丁」と言いました。実はこの「丁」、博打などで使う「半か丁か」の「丁」で、偶数という意味なのです。まずは縦横十文字に切って「田の字」にします。この切り分けた四分の一を「1すみ」と言い、さらに、この1すみを横に3つ、縦に4つ切り分けて12丁にします。これが4すみあるので合計48丁になるというわけです。五箇山豆腐1丁分の大きさは、縦6寸(約18.2cm)、横1寸3分(約4cm)、高さ1寸(約3cm)。かなり縦長の豆腐ですが、これをさらに半分(2個)に分けていただきます。
3 字はなんだろう?
うかんむりに「子」と書いて「字」。うかんむりは屋根を意味すると、大昔に教わった記憶があります。となると、家の中の子どもが「字」。「文字」の意味とはかけ離れている気もしますが……
もともと「字」は「子どもを産む」「孕む」「養う」という意味でした。中国の字書「説文解字(せつもんかいじ)」にも同様のことが書かれています。「字」には「あざな」の意味もあります。儀礼について書かれた「礼記(らいき)」には「男子20歳で冠をかぶり、字(あざな)をつける」とあります。冠をかぶるということは元服(成人)するということです。あざなは正式な名前とは別の通称名で、中国では元服するとあざなをつけ、普段はこれを使っていたのです。あざな(字)をつけることが文字につながるという説もあるようです。
「字」という漢字は「子どもを産む」「孕む」「養う」という意味とは! びっくり。
今回知りたい字(あざ)については字(あざな)と関係がありそうですね。以前は「川のそば」「山のふもと」というように呼ばれていた土地に、「川村」「山下」といった名前をつけることを「字(あざ)をつける」と呼んだ的な……。あくまでも妄想です。
字(あざ)は、明治の市町村合併で消えることになった地名が残ったものとのこと。地名の変化の歴史が字(あざ)といえますが、最近では省略されてほとんど見かけなくなりました。
「大字」の由来は、明治時代に行われた市町村合併にあり、それにより消滅することになった村や集落の地名を新しい住所にも引き継いで残したものとのこと。よって合併された側の名前が大字となり、例えば「東山村」が「西川村」に合併されたとすると、「東山村」を残すために「西川村 大字東山」という表記になります。また、より細かい集落や農地がある場合は「字」を用いて、「西川村 大字東山 字南田」となります。以降何度も合併を繰り返した江戸時代の村や集落では、今でもこの表記が使われているということです。
■参考資料
国勢調査と住民基本台帳等について
※なお、『記者ハンドブック』には、「町」「街」の使い分けについて、以下のように書かれていました。
まち=町〔主に人家の集まっているところ、地域、行政区画〕=街〔主に店などが並んでいるところ、街路〕

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