『イチアカ』0号 「寝に帰りたくなる市川」について

『イチアカ』0号 「寝に帰りたくなる市川」



 市川みらいアーカイブとして、これから再開発が進む本八幡駅北東エリアのムック(ビジュアルメインの大型の薄い本)を作る予定です。これは非売品の資料で、写真などを提供してくださった方々にはお渡しする予定です(本八幡駅北東エリアの写真をご提供いただいている皆様、ご協力、ありがとうございます!)。
 なぜ売るつもりがないのかというと、「活字や写真を紙に印刷して売る」というビジネスが成立しにくくなっているためで、根拠は非常に長くなるので末尾に掲載します。

『イチアカ』?号 「本八幡駅 北東エリア今昔」

 ところで、本八幡駅北口駅前地区第一種市街地再開発事業は2030年度予定。つまり、2030年までは、このテーマでムックを作れないということですね。
本八幡駅北口駅前地区第一種市街地再開発事業についてより

 そのようなわけで、市川みらいアーカイブの趣旨の説明する見本書『イチアカ』0号 「寝に帰りたくなる市川」を作成することを検討しています。
 「寝に帰りたくなる市川」のコンセプトについては、以下を参照してください。

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 現時点での『イチアカ』0号の方向性は、次のとおりです。
○空気感のある写真
○ちょっとばかり文化的なテキスト
○テーマはゆるく、構成はかっちり

 そして現時点でのコンテンツは、次のとおりです。なお、すべてを入れるわけではありません(大変なので)。そして写真メインです。
○釣り(河原、港)→写真を集める
○昼寝、バーベキュー→写真を集める
○自転車(河川敷サイクリングロード、外環、北京ロードも)→イラストも使いたい
○パワースポット→できるだけ穴場で、写真を集める
○市川リゾート今昔(桃林、江戸川で海水浴、料亭など)→文学ミュージアムで借りる、同じ場所の写真を撮りに行く
○ レトログルメ再現倶楽部→月梅のねぎそばの再現を部活動っぽく、なおかつちょっとばかり文化的な感じでまとめる

 『クラナリ』のときは編集者が撮影もデザインも行いましたが、『イチアカ』は別の方法を模索しているところです。

『クラナリ』vol.4 電子版はこちら





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「活字や写真を紙に印刷して売る」というビジネスが成立しにくくなっている根拠


 「1か月に1冊も読まない」大人は6割余
文化庁の調査では大人の読書離れが浮き彫りとなりました。文化庁は5年に1回、読書の習慣について調べていて、2024年1月から3月にかけて全国の16歳以上の6000人に調査し、3559人から回答を得ました。

この中で、1か月に読む電子書籍を含む本の数を尋ねたところ、1冊も「読まない」と答えた人の割合は62.6%にのぼりました。

また、本を読んでいると答えた人を含めても読書量が「減っている」と答えた割合は69.1%にのぼり、こちらも過去最高となりました。


「1か月に何冊程度の本を読みますか?」とお聞きしたところ、「全く読まない」が最も多く60名、次いで「1冊」と答えた方が59名でした。

一定の読書習慣をもつ層が存在する一方で、全く読まない方も同数程度に達しており、生活の中で読書の優先順位が低い方も多いようです。

また、5冊以上読むという読書に積極的な層も一定数おり、大人の読書習慣には大きな個人差があることがわかりました。
2024年9月9日 17時00分
【本は読む?読まない?】大人の読書に関する実態や意識を調査!読書を楽しむコツやメリットも紹介
フタバ株式会社


 上記のデータを見る限りでは、今の日本の大人で本をほとんど読まない人が60%。その割合が、今後は増えていくと予想しています。
 ちなみに『週刊○○』と名のついた週刊誌は、かつてはビジネスマンが対象でしたが、現在は70代とのこと。また新書を購入する層は大学生ではなく、50代なのだそうです。

  出版社が書店に販売する本の流通については、書店で売れなかった場合には出版社が買い戻しています。正確には、出版社が取次(問屋的な存在)に、そして取次が書店に、本の販売を委託しています。

 マージン(定価に占める取り分)は、取次が本体価格の約8%、書店が約22~23%といわれています。もちろん、これは本が売れたときの場合で、売れなかったら発生しません。

 取次が出版社から本を委託されたタイミングで、売れた場合の売上金の何割かを前払いしています。
 その本が書店で売れなかったときは、取次に戻されます。
 そして取次が本を出版社に戻す際に、前払金から売上金を引いたお金を請求します。
 もちろん、本が売れた場合には、売上金から前払金を引いたお金を、取次は出版社に支払うわけですが、出版科学研究所のデータによると、2023年の書籍の返品率は33.4%、雑誌の返品率は47.3%でした。
 この数字から、取次は前払金から売上金を引いたお金を出版社に請求しているケースが非常に多いのではないかと考えられます。

 小さな出版社だと、本を取次に販売委託して6カ月後に締め日が来て、7カ月後の支払いが多いとのこと。ですから、出版社に売上が入ってくる前に、製作費を印刷所や製作スタッフなどに支払うことになります。

 それにしても、どうしてこのような商慣行が出来上がったのでしょうか。

 取次のルーツは、1941年、戦時統制の一環として作られた日本出版配給株式会社(日配)にあるとのこと。戦時下の言論規制の一環のようです。
 その後、安く、広く、多くの読者に本を届けるという理念の元、現在の本の流通の仕組みができました。これは「雑誌がたくさん売れる」ことが前提。毎週あるいは毎月発行される雑誌を運ぶついでに、書籍もトラックに載せて運ぶことで、低コストで書籍を流通させていたのでした。

 雑誌ありき。そんな前提が、スマホの普及などで崩れてしまいました。
 ターゲットを絞って、少数の読者に個別に書籍を届けるとなると、コストは上がります。


 現在では、3~5割の返品が前提の出版業界。その会計もちょっと特殊なようです。
 例えば2022年に出版した本が、すべてこの年に出版社に返本されるとは限りません。本は腐らないので、2023年や2024年に返本される可能性もあります。
 それで、2022年に販売した本がその年以降に返本される割合を見積もって、その利益を「返品調整引当金」として計上すると、課税のタイミングが繰り延べできていました。

 返品調整引当金は、当期に売り上げた商品につき、契約に基づき次期以降に買い戻しを行う場合において、返品が予想される商品の利益部分について設定された引当金です。
引当金の要素
1 将来の特定の費用又は損失であること
2 その発生が当期以前の事象に起因すること
3 発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができること

 ところが、「新収益認識基準」が導入されて、返品調整引当金が廃止されることになりました。具体的には、2021年4月1日以後、返品調整引当金の繰入限度が10年間で10分の1ずつ縮小され、2030年3月31日までには廃止されます。
 このように、出版の会計はややこしいのです。


 本は活字や写真などを、インクを使って紙に印刷したものですが、現在、紙代とインク代が上昇しています。

 紙代の高騰については、ウクライナ侵攻などで原燃料の価格が上がったことや円安が影響しています。
 また、オフィスなどでペーパーレス化が進んでいるものの、例えばプラスチック製だったショッピングバッグを紙製に切り替えるなど、産業資材としての紙の需要は伸びているそうです。

 そして、2021年からナフサ(粗製ガソリン)高によって顔料や溶剤などの原料が値上がりし、それに伴って印刷用インキが値上がりしています。

○本を読む人が減った
○本を読む層が高齢化している
○製造原価が上がった
○運搬コストが上がった
○保管にも処分(断裁)にもコストがかかる

 以上のことから、「活字や写真を紙に印刷して売る」というビジネスが成立しにくくなっているのが現状です。

 では、なぜ本を作るのか。
 コミックマーケットや文学フリマが人気ですが、「作りたいから作る」に尽きると思われます。

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