これからの市川市民として 「ただ老いる町」「集約化する町」「新陳代謝する町」の話がしたい その3 フロントランナーは市川駅南北エリア(「知が集積する町」国府台編)
人間も、家も、町も、時間が経過すれば老います。老いは自然現象であり、宿命です。しかし、老い方はそれぞれ。
日本の社会は、1960年代から始まった高度成長経済期を過ぎて、成熟期に入り、少子高齢化と人口減に直面しています。町も人間と同様に、ただ老いていくのか、老いを前向きに諦めて対処するのか、新陳代謝を図るのかの選択肢があるのではないでしょうか。
東京の隣の市川市は、全体としては人口を維持していますが、エリアごとに老いの濃淡があります。
成熟のフロントランナーは、市川市の資料によると、市川駅南北エリアです。
国府台緑地 |
市川市内で最も早く鉄道が通り、駅ができて、東京都に最も近いのが市川駅南北エリアです。市内で最も早く人口増が始まったエリアのため、高齢化や空き家問題も最も早く始まっているといえます。この「最も」が4つあるエリアがどのような「老い」を迎えるのかは、他のエリアの今後を占うことにもつながるでしょう。
市川市が作成した市川市空家等対策計画の「①国府台」は、町名が国府台のところに相当しています。ちなみに、京成電鉄国府台駅があるのは「①国府台」ではなく、市川3丁目です。
国府台(Googleマップより) |
「①国府台」には、公園や大学、寺院、病院、緑地があるため、市川市内でも宅地の割合が小さいという印象です。南側は大学で、宅地は北側に多く、松戸市にある北総線矢切駅の利用者が多いと考えられます。国府台小学校から矢切駅までは、徒歩で7分です(Googleマップ)。なお、国府台小学校から国府台駅までを検索したところ、徒歩28分でした。
また、松戸街道は京成バスの松戸車庫-市川駅の路線で、1時間に7本程度の便があります。交通の便は悪くありません。
2024(令和6)年9月のデータで国府台(6丁目まである)、真間(5丁目まである)、新田(5丁目まである)を比較すると、世帯数が2742、4156、8230と、国府台が非常に世帯数が少ないことがわかります。
町名 世帯数
国府台 2742
真間 4156
新田 8230
「①国府台」は緑多く、静かな住環境で、住宅数が少ないにもかかわらず、空き家率が14%と市内で最も高くなっています。空き家率同率2位は、「⑦市川第2」「⑧真間」で13%。「①国府台」「⑦市川第2」「⑧真間」は市川駅南北エリアに含まれます。
なお市川市空家等対策計画の「①国府台」と「⑧真間」に共通しているのは、1つの町名だけになっているため、範囲が狭くなっている点です。恣意的なものを感じなくもありません。同様に、「⑥市川第1」は、市川南をわざわざ東西で分断しています。ここも非常に気になるところではあります。
さておき、「①国府台」と「⑧真間」は高齢化率(全人口における65歳以上の割合)が高くなっています。2017(平成29)年9月時点で、「①国府台」は29%、「⑧真間」は28%なので、3人に1人弱(4人に1人強)が65歳以上ということになります。
市川市空家等対策計画では「昭和35年と比較的早い時期に人口集中地区になっています」とありますが、戦前には陸軍施設が国府台に置かれたこともあり、市川駅北エリアの松戸街道沿いでは明治から市街地が形成されていました。
昭和7年の国府台(今昔マップより) |
下総台地の西端で、土砂災害警戒区域に指定されているところがいくつかあります。下記の地図で紫色の部分は「台地・段丘周囲より階段状に高くなった平坦な土地。周囲が侵食により削られて取り残されてできる」と説明されています。
市川駅南北エリアの住民が日用品を購入する際、主に市川駅を利用する人はシャポー市川や周辺の商業施設を、矢切駅を利用する人はマルエツ矢切駅前店を、国府台駅を利用する人はリブレキッチン国府台店を使っていると考えられます。
ハザードマップポータルサイトより |
市川駅南北エリアの住民が日用品を購入する際、主に市川駅を利用する人はシャポー市川や周辺の商業施設を、矢切駅を利用する人はマルエツ矢切駅前店を、国府台駅を利用する人はリブレキッチン国府台店を使っていると考えられます。
台地の上にある「①国府台」については、市川駅周辺と往復するには急な坂があるだけでなく、松戸街道は歩道が狭く、その他の道は狭いため、自転車を利用しにくい環境といえます。
町名 商店会、スーパー
国府台 国府台共栄会
真間 市川三商会、真間駅前通り会、真間銀座会手児奈橋通り会・真間本通り会(統合)、真間大門会、大門通り会
新田 市川新田商友会、新田大洲共栄会、ヤオコー 市川新田店、マックスバリュエクスプレス 市川店
※リブレキッチン国府台店は市川3丁目
※マルエツ矢切駅前店(千葉県松戸市栗山19-1)が「①国府台」からは最寄りのスーパー
10軒に1軒以上は空き家で、世帯数が少なく、高齢化が進み、スーパーがない「①国府台」。
その一方で、東京の対岸でありながら緑地が非常に多く、大規模な医療施設があり、高校や大学といった教育施設が集まっているという特性があります。「知が集積する町」というところでしょうか。
現在の住民はこの状況をどのように捉えているのかなど、今後は聞いていけたらと考えています。
■参考資料
市川市まち・ひと・しごと創⽣総合戦略平成 28 年 3 ⽉
※出典のない図版はすべて市川市空家等対策計画
Leave a Comment