もっと楽しくPTAの広報紙を作るには? その8 表記基準を作る

 PTAの広報紙でわざわざ表記を統一する必要はないと思っていました。
しかし、実際に作業に入ると、表記基準がないと逆にやりにくいと思い直しました。

 理由は、基準がなければ何をどこまで訂正するかの意見が各人でバラバラになってしまい、結果として文字修正を何度も繰り返す事態に陥るからです。

 そこでPTAの広報紙に出てきそうなワードをざっと挙げて、表記基準を作成しました。



■表記を統一する意義
 新聞や書籍、雑誌などでは、例えば動物の「いぬ」を「犬」と漢字にするか、「イヌ」とカタカナにするか、どちらかに決めて表記を統一しています。
 その主な理由は、文章をわかりやすくするためです。「我が家で飼っている犬はダックスフンドですが、隣のイヌはチワワです」などのように、同じ動物を指しているのに表記が異なると、読み手を混乱させます。

■表記基準
【表記の基本】
 常用漢字表にあるものは漢字で表記し、表外字はひらがなで表記します(人名は除く)。表外音訓・当て字は使いません。

 副詞、例えば「すっきり」「さっぱり」などは、原則としてひらがなを使用します。

【句読点】
 縦書きにおいては、読点(、)と句点(。)、中黒(・)を用います。中黒(・)は、「先生・子どもたち・保護者が一体となってがんばりました」などのように、主に名詞を並列する際に使います。読点(、)は、一文を読みやすくしたり、誤解を防いだりするために使います。
 横書きにおいては、読点(、)でもカンマ(,)でも間違ってはいません。教科書ではカンマ、一般的な雑誌や書籍は読点(、)が使われていますが、広報紙では横書きでも読点(、)で統一します。

【動植物の表記】
 動植物は、原則としてすべてカタカナ表記で統一します。「イヌ」「ネコ」「ホウレンソウ」「ニンジン」

【頻出語の表記】
○あ行
いう……いう/言う 
 言う……主語が明確な発言 「~と先生が言った」
 いう……一般論 「~という話がある」
いす(椅子)……いす
いま……今/いま
 今……「今ごろ」「今まで」
 いま……「いま一歩」「いまにも」

○か行
ください……ください「やってください」「ペンをください」
こと……事/こと
 事……実質名詞 「考え事」「事に当たる」「物事」
 こと……形式名詞、抽象的 「考えること」「準備しておくこと」「見ることができる」
こども……子ども

○た行
たち……たち 「子どもたち」 ※達は表外音訓
ため……ため 「子どものために」「ためになる話」  ※為は表外音訓
つかう……使う/遣う
 使う……物の場合
 遣う……心・気持ちの場合
できる……できる

○な行
なに……何/なに/なん
 何……名詞とくっついて一語になる場合 「何人」「何者」「何時」「何点」
 なに……名詞以外 「なにも」「なにか」「なんとなく」

○は行
はじめ……始め/初め
 始め……物事の始まり 「けいこ始め」
 初め……時期などの最初の場合 「初めのうちは」「月初め」

○ま行
まっか……真っ赤
まわり……周り/回り
 周り……周囲 「口の周り」
 回り……回転 「一回り」「腰回り」
もらえる……もらえる

【数字の書き方】
 原則として、縦書きでは漢数字、横書きでは半角の算用数字で統一します。ただし、最近の雑誌などでは縦書きで全角または半角の算用数字を使う例が増えています。
 慣用的な表現、例えば「誰一人いない」「たった一つの」「十数人」などは、漢数字を使います。

【人名の書き方】
 原則として、初出のときには姓名を略さずに書きます。例えば、初出では「校長の安倍先生」ではなく「校長の安倍 晋三先生」、既出では「安倍先生」となります。
 また、教職員や委員、児童を紹介する際は、敬称「先生」「さん」を全員につけるか、全員につけないかで統一します。敬称をつけないときは、「敬称略」と断わりを入れるといいでしょう。
 敬称ではなく肩書きを使用するときには、「○○校長」「○○教諭」「○○委員長」「○○委員」として、全員に肩書きをつけます。「○○先生」と「○○委員長」が混在しないように注意しましょう(失礼に当たるケースもあります)。

【文体】
 原則として、「です・ます調」(敬体)で統一します。

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