初めての東洋医学 よく見かける用語のまとめ

  東洋医学に関する書籍などは、書店にたくさん並んでいます。書籍などでよく見かける東洋医学の用語をまとめました。
 この作業をいつから始めたのか、さっぱり思い出せず、おそらく10年ぐらいかかったと思われます(途中、ほったらかしにしていた時期もあるため……)。
 そして、いろいろなところで用語を集めてきたので、出典は無数にあります。書籍やネットで東洋医学の用語を解説してくれた人たちに、心から感謝いたします。

 用語集をブラッシュアップしていきたいので、「もっとわかりやすい表現がある」などのご意見などありましたら、ぜひご連絡ください。


 上記の画像のPDFは、以下にあります。
〇祥知出版

あ行

暗経 あんけい 無月経
食べ物を入れ(受納)、消化し(腐熟)、腸へ送る(和降)という3つの機能
いつ 過度の休息、運動不足
噎膈 いっかく 食道通過障害。食道上部の通過障害による嚥下困難が「噎」、下部によるものが「膈」
胃内停水 いないていすい みぞおちを指先あるいは拳で軽くたたくと、胃内からの水音が聞こえることで心下振水音ともいう
遺尿 いにょう 尿失禁
飲食不調 いん 口からの分泌液で、色が薄く澄んでいる
飲食不調 いんしょくふちょう 病気の原因が食事
栄衛 えいえ 栄気とは経脈を巡って養う気、衛気とは経脈の外にあって外邪から防衛する気。栄は消化吸収された栄養分を指し、衛は水穀の悍気で脈の中に入ることができず、皮膚や肉の中を巡る気
えつ しゃっくり。噦逆、吃逆ともいう
壊病 えびょう 漢方医学的に誤った治療(誤治、逆治)を行った結果、症候が変化して複雑になった病状
おう 声を出して吐くこと
黄汗 おうかん 黄色い汗
瘀血 おけつ 血がスムーズに流れずに滞っている状態
温下の剤 おんげのざい 細辛、附子、桂枝などの温熱薬を配合した大黄附子湯、桂枝加芍薬湯など

か行

咳血 がいけつ 喀血
外証 がいしょう 体の外面に現れた症状
膈噎 かくいつ 食道通過障害。食道上部の通過障害による嚥下困難が「噎」、下部によるものが「膈」
鶴膝風 かくしつふう 膝関節炎で大腿と下腿の筋萎縮を伴う場合。その状態が鶴のひざのように見えるもの
膈内拒痛 かくないきょつう 胸内が痛むこと。膈内とは胸膈内のことで、拒痛とは拒んでも痛むこと
加減方 かげんほう すでにある処方(=薬方)に、必要に応じて数種の生薬を加えたり(加方)、減らしたり(減方)すること
瓜蔕 かてい マクワウリのヘタのことで催吐薬
加方 かほう すでにある処方(=薬方)に、必要に応じて数種の生薬を加えること
かん てんかん
かん ①神経質で虚弱な小児には「疳の虫」がいると考えられた②牙疳(歯周病、口内潰瘍)、下疳(陰部潰瘍)など
寒下の剤 かんげのざい 大黄や芒硝のような寒涼薬の入った方剤
汗吐下和温 かんとげわおん 主に陽病期の急性疾患に対して行う治療法で、病邪が体表や浅い部分にある時は汗法(汗をかかせる発表剤)、少し深い部分にある時は吐法(吐かせる瀉下剤)、さらに深い部分にある時は下法(下させる吐剤)を用いる
寒熱弁証 かんねつべんしょう 病気の性質が寒証か熱証か対立する性質のどちらであるかを判断し診断を下すこと。
腹診による動悸の総称
気血失調 きけつしつちょう 血は気から作られ、その血は気に変化することもあるように気血は車の両輪のように密接に連携しながら人体の生理を支えている。気と血のどちらか一方が乱れもう一方に深刻な影響を与え病気が起きること
気血水弁証 きけつすいべんしょう 体を構成し、その活動を支えている気、血、水の理論をもとに病気の原因を見極める方法
気剤 きざい 気滞を改善する処方。理気剤ともいう
喜唾 きだ しばしば唾液が口の中にたまり、しきりにつばを吐くこと。裏寒の症状の一つ
吃逆 きつぎゃく しゃっくり
喜忘 きぼう よく物忘れすること。瘀血の症状の一つ
客杵 きゃくご 子どもが急に驚かされたり怖いものを見せられたりして、おびえること。また、そのために患う一種の心身症
客証 きゃくしょう 主証はいつでも起こる症状で、客証は主証のせいで現れたり隠れたりする症状
逆証 ぎゃくしょう 不治の病
脇下痛 きょうかつう わきの下の痛み
驚癇寒熱 きょうかんかんねつ 熱性のひきつけ
胸脇支満 きょうきょうしまん 胸のつかえ感と膨満感
胸脇満 きょうきょうまん 胸から肋骨のいちばん下までつかえ感があるけれど、みぞおちまでではない
胸中痛 きょうちゅうつう 胸全体が痛むこと
驚風 きょうふう ひきつけ
胸満 きょうまん 「胸がいっぱい」のこと
虚実 きょじつ 病気に抵抗する体力のある状態とあり過ぎて過剰な状態が「実」、不足している状態が「虚」
虚実弁証 きょじつべんしょう 病気の性質が虚証か実証か対立する性質のどちらであるかを判断し診断を下すこと
虚証 きょしょう 病邪があまり元気がなく、気、血、津液が不足したために発症した病気のこと。症状は激しくない。
虚平証 きょへいしょう 虚実の分類では虚証、寒熱の分類では寒証症状でも熱証症状のどちらにも属さない病証
気力衰憊 きりょくすいはい 気力が極度に低下すること
君臣佐使 くんしんさし 君薬は病気の主証を治す主薬。臣薬は君薬を助けて治療効果を高める
経筋 けいきん 経絡の一つで筋肉組織に分布して関節の動きに深く関わる
頸項強 けいこうきょう 後頭部から頸部の側面にかけて凝った状態
経水 けいすい 月経
鶏鳴下痢 けいめいげり ニワトリが鳴く明け方の一番気温が下がる時間帯の下痢。五更の刻(夜明け前)の下痢という意味で、五更瀉(ごこうしゃ)ともいい 脾腎陽虚という冷えが強い場合に起こる
けつ 詰まって流れないという意味。陽厥と陰厥があり、陽厥は手足の冷えはあるが指の甲は温かく、陰厥は指の甲も冷たい状態
厥寒 けつかん 他覚的に手足の体温が低いケースの中で、患者自身が手足の冷感も訴えるもの。厥寒は厥冷よりも冷えが軽い
厥逆 けつぎゃく 体、特に四肢の冷えのひどいこと。冷えが肘や膝の上にまで及ぶ
結胸 けっきょう 上腹部正中部、特に剣状突起下付近がやや膨隆して、石のように硬くなって痛みもある状態
月信痛 げっしんつう 月経痛
厥冷 けつれい 他覚的に手足の体温が低い場合のうち、患者自身が自覚しないもの
下痢臭穢 げりしゅうえ 悪臭の強い下痢で「裏の熱証」を意味する
懸飲 けんいん 痰飲(水毒)の一症状で、水を飲んだ後でセキが出て、脇が引きつって痛む
険証 けんしょう 適切な治療をしないと治癒しない症状
肩背強急 けんぱいきょうきゅう 肩と背がこわばること
減方 げんぽう すでにある処方(薬方)から、必要に応じて数種の生薬を減らすこと
こう 硬い状態を指す
口乾舌燥 こうかんぜっそう 口腔内が乾燥していること
攻撃剤 こうげきざい 瀉下剤、吐剤、発汗剤などのように、積極的に病気の原因を取り除いて捨て去ろうとするための薬剤
甲錯 こうさく 皮膚の荒れ、ざらつきのこと。血虚、瘀血の徴候
黄帝内経 こうていだいけい 中国で現存する最古の医学書。黄帝という古代の伝説上の王とその臣下が問答をする形式で書かれている。「素問」と「霊枢」から成り、 素問は主に人体の生理・病理などの基礎医学の内容を、霊柩は針灸療法の具体的な運用理論を述べている
後天の気 こうてんのき 胃腸の消化吸収力により飲食から得られる気(エネルギー)
項背強 こうはいきょう 後頭部から背部にかけて凝った状態。
項背強急 こうはいきょうきゅう 後頭部から背中にかけてこわばること
合病 ごうびょう 2~3種の陽病が同時に発病するのではなく、ある一つの陽病の変証を指す。太陽陽明、少陽陽明、太陽少陽、三陽合病の4種がある
項強 こきょう 後頭部が凝った状態
穀気 こくき・こっき 穀物を中心に、飲食物が持っている気(エネルギー)
骨節疼痛 こっせつとうつう 骨と関節の痛みで屈伸ができないこと
五味 ごみ 薬物の性状で酸、鹹、甘、苦、辛
昏倒 こんとう 意識を失って倒れること

さ行

臍傍悸 さいぼうき へその近くで大動脈の拍動に触れること。虚あるいは神経質な状態を示す徴候
臍傍の動 さいぼうのどう へその近くで大動脈の拍動に触れること。虚あるいは神経質な状態を示す徴候
細絡 さいらく 毛細血管の拡張したくも状血管腫など。
嗄声 させい 声枯れ
雑病 ざつびょう 急性熱疾患以外の病気の総称
三陰三陽 さんいんさんよう 『傷寒論』における病態分類の総称。三陽は太陽、陽明、少陽。三陰は太陰、少陰、厥陰
酸痛 さんつう 痛みだけでなく、力が入らなくて、しびれて痛いこと
四気 しき 薬物の性状で寒、熱、温、涼
衂血 じくけつ 鼻からの出血
四肢厥逆 ししけつぎゃく 手足が冷えること
四肢厥冷 ししけつれい 手足が冷えること
自然界の清気 しぜんかいのせいき 酸素のこと
七方 しちほう 大、小、緩、急、奇、偶、復という7つの薬方。「大」は作用が強いか分量が多い薬方、「小」は作用が弱いか分量が少ない薬方、「緩」は作用が緩和な薬方、「急」は作用が強い薬方、「奇」は単方、「偶」は複方をいう
実火 じっか 陽証で実証の炎症、充血、発熱などで、実熱ともいう
実寒証 じつかんしょう 虚実の分類では実証、寒熱の分類では寒証に属する病証
実証 じつしょう 病邪が旺盛で邪気に勢いがあり、正気があり、体の防御力が対抗しきれずに発症した病気のこと。病状は一過性で激しい状態
積聚 しゃくじゅ 腹部腫瘤
瀉心 しゃしん 胃の辺りのつかえを解消すること
邪正盛衰 じゃせいせいすい 邪とは病気を引き起こそうとする病邪、正は病邪から体を守る正気のことで病邪の力が正気を上回って病気になること
十剤 じゅうざい 薬を効用によって、宣、通、補、洩、軽、重、渋、滑、燥、湿の10種類に分けて使うこと
主証 しゅしょう 必ず起こる症状。客証は主証があるために現れたり、隠れたりする症状
手足温 しゅそくおん 手足の温度
順証 じゅんしょう 自然に任せても容易に治癒する症状
昇降 しょうこう 食べ物が口から胃・腸・肛門という流れは、 降りていってるので降、その食べ物から栄養物を取り出して、肺まで持ち 上げるのは昇の作用と考える
上中下 じょうちゅうげ 体を上、中、下(上焦、中焦、下焦)に分けて、横隔膜より上を上焦、臍より下を下焦、その中間を中焦とする
少腹拘急 しょうふくこうきゅう 恥骨結合部を頂点として逆三角形の範囲の筋肉が硬く突っ張っている状態
小便難 しょうべんなん 排尿困難
女子胞 じょしほう 子宮
除中 じょちゅう 死の直前に現れる、一時的に症状が軽快したような状態
自利 じり 病気による下痢
心下逆満 しんかぎゃくまん みぞおちの膨満感で、下から突き上げてくるような不快感
心下振水音 しんかしんすいおん みぞおちを指先あるいは拳で軽くたたくと、胃内からの水音が聞こえることで胃内停水ともいう
心下痞堅 しんかひけん 心下痞鞭のさらに強い状態
心下痞鞭 しんかひこう みぞおちがつかえる自覚症状があり、触ると上腹部、特にみぞおちの腹筋が緊張して硬く、指先で圧迫すると抵抗感のあるもの
心下痞満 しんかひまん みぞおちがつかえる感じがあって、他覚的に膨満を認めるもの
心下満 しんかまん みぞおちだけの膨満感
真寒仮熱 しんかんかねつ 発熱していても仮の熱で、寒の方が真であること。熱はあっても徐脈で力がなく、尿は清澄。寒冷の剤を用いると病状は悪化するので、四逆湯などで寒を温めるとよい
神気 しんき 精神を機能させる気(エネルギー)で、godではない
心気病 しんきびょう 神経症
身重 しんじゅう 体が重い感じで寝返りできない状態
身重労倦 しんじゅうろうけん 体が重く倦怠感があること
神仙労 しんせんろう 神経性食欲不振症
身体疼重 しんたいとうじゅう 体が重苦しく痛むこと
身体疼痛 しんたいとうつう 身疼痛より症状が重い疼痛
心中懊惱 しんちゅうおうのう 何とも形容のできないように胸中が苦しいこと
心中疼熱 しんちゅうとうねつ 心中の激しい煩悶
心痛 しんつう 心臓がある部分が痛むこと。
身疼痛 しんとうつう 寝返りできないような疼痛
神農本草経 しんのうほんぞうきょう 中国の後漢から三国時代の間に成立した薬物書
心風 しんぷう 神経症およびその類似疾患
すい 血液以外の体液を指し、その機能も含めた概念
水毒 すいどく 水分の代謝障害で、主な症状はむくみとめまい
衰憊 すいはい 顕著な衰弱
頭風 ずふう 発作的に現れる頭痛
頭冒 ずぼう 頭になにかかぶさっているような重苦しい感じ
精徴 せいび 飲食物(水穀)を消化吸収し、その内の中から取り出した栄養。 これを心や肺の力で、全身に分布し、体を養っている
先天の気 せんてんのき 両親から受け継いだ気(エネルギー)。腎(じん)に蓄えられているため、腎気とも呼ばれている
宗気 そうき 呼吸を機能させる気(エネルギー)
臓腑弁証 ぞうふべんしょう 五臓六腑のどこに不具合が出ているのかを見極めて病気の原因を探ること

た行

たん 口からの分泌液で、粘り気があって濁っている
痰湿 たんしつ 体内に滞った水分が招く代謝異常
丹田 たんでん へそから三寸(約9cm)下にあるツボ。関元ともいう
中庸 ちゅうよう 陰と陽がバランスよく保たれている状態
調和 ちょうわ 機能を調整して、回復させていくという意味
調和営衛 ちょうわえいえ 営気と衛気の失調を是正し、調和する事で、風邪を解除する方法
天空の気 てんくうのき 酸素
天の気 てんのき 酸素

な行

内傷七情 ないしょうしちじょう 「喜、怒、憂、思、悲、恐、驚」の七情を節制しないで、過剰な状態が長時間続き、臓器を損なう

は行

白膩 はくじ 舌苔が白っぽくねっとりした状態
八綱弁証 はっこうべんしょう 実証か虚証かなど病気の体質を見極める方法
脾気 ひき 脾の機能(消化や栄養吸収など)をコントロールするエネルギー
病因 びょういん 外感と内傷の2つに大別される。【外感】(1)六淫(病邪)①火(熱い、焼き尽くす、出血)②燥(乾燥、うるおいがなくかさつく)③湿(重い、濁る、粘る,下へ流れる)④暑(炎天、蒸発消耗)⑤寒(冷える、縮む、流れが止まる)⑥風(軽い、変化、揺り動かす)(2)外傷(虫や獣による)(3)疫痢(4)寄生虫【内傷】(1)七傷(精神的な病気の原因)喜・怒・思・悲・憂・恐・驚(2)飲食不調(食事による病気の原因)・労逸(過労や休みすぎによる病気の原因)偏食・過食・栄養不良・飲み過ぎ・過労・心労・過剰な性行為など(3)血と水の代謝異常
病因弁証 びょういんべんしょう 主に外感(体の外から入る病邪)が原因となって起こる病気に対し原因を探ること
病邪 びょうじゃ 病気の原因
標治 ひょうち 病気の根本でない部分に対して治療するという原則
表裏弁証 ひょうりべんしょう 病気の性質が表証か裏証のどちらであるかを診断
風熱外壅 ふうねつがいよう 風熱の邪が完全に散らず、皮膚に欝滞している状態。
本草 ほんぞう 治療目的に用いる動植物や鉱物の総称
本治 ほんち 病気の根本を治療するという原則(病状が落ち着いているときに行う)

ま行

脈緊 みゃくきん 冷えなどで脈がこわばっている状態
命門 めいもん 生命の根本

や行

陽気 ようき 天から得られて人体の機能活動をつかさどる気(エネルギー)

ら行

労逸 ろういつ 病気の原因が休みすぎ

わ行

労倦 ろうけん 心身の過労
和解少陽 わかいしょうよう 和法の一つ。 邪が少陽にあるというのは、熱性の病邪が半表半裏の部位にある状態
和法 わほう 薬物の疎通・調和作用によって、病邪を解除する目的を達成する



Powered by Blogger.