初めての東洋医学 分類
便秘や子宮内膜症など、さまざまな病気の解説の中で、東洋医学の考え方や漢方薬が登場するようになありました。30年ほど前は「漢方薬なんて怪しいものを取り上げるなんて!」と、ある意味、さげすまれていた印象があるのですが、すっかり様変わりしています。
このように東洋医学が一般的になったものの、ときどき用語などを勘違いして記事が書かれている場合もありました。
自分も一介の編集者で専門的な勉強などしていません。だからこそ、専門的に傾き過ぎず、かといって誤解を招かないような表現を、取材させてもらった専門家と一緒に考えてきました。
ここでは、東洋医学に関する記事を読んだり書いたりする上で、押さえておきたいポイントを取り上げます。
まず、「東洋医学」「漢方」「中医学」などとさまざまな呼び方がありますが、おおざっぱには下記のように分類できます。
〇東洋医学中国の伝統医学をベースに日本で発展した伝統医学
〇漢方
中国の伝統医学で、生薬や食膳が中心
〇中医学
中国の伝統医学をベースに中国で発展した伝統医学
ここでは便宜的に「東洋医学」と表記します。
人体を総合的にとらえる
東洋医学
長い歴史をさかのぼると、医学も哲学も呪術も占いも魔法もごちゃ混ぜの状態でした。西洋医学と比較すると、東洋医学にはこの「ごちゃ混ぜ感」が色濃く残っている印象があります。それが東洋医学の魅力かもしれません。
陰陽論
日常生活の中で「陽気になった」「陰気な人だ」などといいますが、まさにこのニュアンスです。
陽← →陰
能動 受動
天 地
春・夏 秋・冬
昼 夜
日 月
男 女
親 子
動 静
表面 内側
浮上 沈下
剛 柔
軽 重
乾燥 湿潤
陰陽は固定されているわけではなく、あらゆるものが陰になったり陽になったり、コロコロと入れ替わって変化します。陰と陽は反発するとともに交わり合っているそうで、なかなか理屈で割り切れません。
要は、陰と思っていたら時間がたつと陽になることもあるということ。ですから、どちらの状態にあるのかを観察することが重要です。
証(しょう)
東洋医学では証という言葉を使って、体質や症状を言い表しています。総括 陽← →陰
病位 表← →裏
病性 熱← →寒
病勢 実← →虚
上の「表・裏・寒・熱・虚・実・陰・陽」を用いて、体質や症状を分析することを「八綱弁証」といいます。
気血水
体を循環して生命を維持するものといえば、西洋医学だと血液ですが、東洋医学では気血水と考えられています。気 運動性が高く、目には見えないが、確かに存在して、生命維持に働いている
血 運動性が低く、目に見える形で、生命維持に働いている血液
水 運動性が低く、目に見える形で、体を潤している血液以外の体液
気には、以下の3種類があります。
1 先天の気(先天の精) 父母からもらい受ける
2 水穀の気(後天の精) 食事に含まれる栄養分から、おなかの中で作られる
3 清気(後天の精) 鼻から肺に吸い込む
そして気には6つの働きがあります。
〇推動作用 動かす
〇温煦作用 温める
〇固摂作用 固定する
〇気化作用 気から血・水へ、血・水から気へ変える
〇防御作用 外邪の侵入から体を守る
〇栄養作用 全身に栄養を与える
五行説
東洋医学では、人間を含め、自然界にあるすべてのものを5つに分類しています。これが「五行説」です。
すべてのものは「木・火・土・金・水」の5つの要素(五行)でできていて、それぞれがお互いに影響を与え合うことで季節や天候などが変化し、この世界が形作られていると考えられています。
五臓では気などが生み出されたり、ため込まれたりしています。
『図説 東洋医学』より |
五臓六腑
人間の体で木・火・土・金・水に対応するのは、「肝・心・脾・肺・腎」の五臓です。これらの5つの臓器の中で、どの働きが過剰になっているか、あるいはどの働きが弱っているかによって、体や心が変化するのです。
そして五臓に対応する「胆・小腸・胃・大腸・膀胱」と、対応しない三焦を入れて、六腑とされています。
六腑は飲食物を消化・吸収・排泄するための、袋のような役割を果たします。
寄恒の腑
寄恒の腑は「骨・髓・脳・脈・胆・女子胞」です。「奇恒」とは「普通とは異なる」という意味で、腑なのですが臓に似た性質を持っています。
■参考資料
『図説 東洋医学』 著/山田光胤 、代田文彦 学研
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