令和8年8月千葉豪雨のように「観測史上1位の値を更新する大雨」が来年以降も続いたら、どうなる問題

 地球上では、年々、平均気温が上がっています。
 特に日本がある北半球では、2024(令和6)年の平均気温が基準値(1991〜2020年の30年平均値)よりも急激に高くなっていました。理由の一つとして、南半球よりも陸地の割合が大きい北半球のほうが、気温変動は激しくなることが挙げられます。

出典:世界の年平均気温|気象庁
細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差
太線(青):偏差の5年移動平均値
直線(赤):長期変化傾向
基準値は1991〜2020年の30年平均値

 上のグラフを見る限りでは、今後も地球上では気温が上がり続けるだろうと思われます。
 日本については、平均気温が「世界に比べて約2倍のスピードで昇温している」と『異常気象の科学』(著:今田由紀子 講談社)に書かれていました。

 雨が降る仕組みは、地形や海流なども関係して非常に複雑です。「地球温暖化によって平均降水量が増えるか減るかはモデルシミュレーションでは結論が出ない」と『異常気象の科学』に書かれていました。

 とはいえ、日本各地では大雨が増加していて、気象庁が発表している「日本の気候変動2025」では、極端な大雨の発生頻度が増えていると報告されていました。

出典:千葉県の気候変動|気象庁


 令和8年8月千葉豪雨では、8月13日から14日にかけて、千葉県では観測史上1位の値を更新する大雨を記録しました。私たち千葉県の住民も当然驚いたわけですが、来年以降、まるで年中行事のように当たり前のものとして「また豪雨だ」と捉えるのかもしれません。

 そうなったときに、私たち住民はどこに住み、どこを移動するかという問題が発生します。

 例えば、冠水しやすいことで有名になってしまった、ショップス市川前の産業道路(県道283号線若宮西船市川線)。ショップス市川前は鬼高・田尻地区に含まれます。

出典:広報いちかわ7月3日号 特集1

 鬼高・田尻地区にたまった雨水の排出先は、市川市の資料だと高谷川(こうやがわ)でした。
 この地区は周囲より地盤高が低く、雨水の排水先である高谷川に向かって京葉道路を潜ること、また、既存の排水路の流下能力が不足していることが浸水の要因になっています。



 鬼高・田尻地区の冠水・浸水を防ぐため、外環(東京外かく環状道路、国道298号)の側道の下に水路(高谷1号幹線)を作って、鬼高・田尻地区と高谷1号幹線とをつなぐ水路(高谷2号幹線など)を作り、高谷川の下流に排水する計画が発表されていました。

雨水の流れ:鬼高・田尻地区→高谷2号幹線など→高谷1号幹線→高谷川→東京湾

 そんな高谷川。上流のほうしかクラナリは確認していませんが、たくさんの水を流せるようにはとても見えませんでした。
高谷川の始まり

高谷川

 高谷川の下流に、別の水路からの水がどっと流れ込んだとき、上流の水も無事に(?)東京湾に排出できるのか……そんなことを思ってしまいました。

 また、下総台地周辺での湧き水についても、大雨が降るだけでなく、農地が宅地に変わることで、土壌に浸透する雨水の量、そして土壌の中での水の流れ方などが変わってきそうです。



 ショップス市川前の産業道路は、 鬼高・田尻地区と高谷1号幹線とをつなぐ水路ができるまでは、大雨で冠水が繰り返される可能性があるといえそうです。ここはバス路線に当たり、交通量も多く、「冠水する度に通行止め」では市民生活への支障が大きいといえます。いっそのこと「大雨の日とそうでない日とで、バスのルートを変える」といった柔軟な対応があってもいいのかもしれません。

 下総台地周辺での湧き水については、SNSの情報だと市川市が調査しているようなので、その結果をぜひ発表してほしいところです。湧き水のポイントを調べると、地中での水の通り道(“水みち”)がわかり、対応を検討できるようになるのではないでしょうか。

 人口減少社会では、水害が起こりやすいエリアにまで無理をして住む必要のない状況になるでしょう。「観測史上1位の値を更新する大雨」が来年以降も続くと推測するのであれば、水の流れを読んで、私たち住民が暮らし方を変えてもよさそうです。あくまでも素人考えですが。


■主な参考資料
令和 8 年 8 月から 9 月に各地で発生した記録的大雨に地球温暖化が影響
-イベント・アトリビューションによる結果- 
https://www.mri-jma.go.jp/Topics/R08/081023-1/081023_press.pdf
令和 8 年 8 月千葉豪雨や台風第 25 号に伴う大雨、令和 8 年 8 月から 9 月に発生した記録的な大雨に地球温暖化がどの程度影響していたかを解析したところ、いずれの事例も地球温
暖化の影響を受けて、降水量が 20%前後増加していた可能性があることがわかりました。 

極端気象アトリビューションセンター(WAC)について
https://weatherattributioncenter.jp/about/
気候変動は、すでに世界中のあらゆる地域で甚大な影響を及ぼしており、今後さらにその影響が拡大すると予測されています。日本では世界よりも早いペースで平均気温が上昇しており、各地で猛暑や集中豪雨などの異常気象を含む極端気象や気象災害が顕著になっています。


3 章 気候の成り立ち
⑴対流性降雨
⃝強い日射で地表が暖められて上昇気流が発生することでもたらされる降雨。熱帯のスコールや日本の夏の夕立などが対流性降雨として知られている。
⑵地形性降雨
⃝高温多湿な大気が山脈に沿って上昇する際に冷却され,雲が発達して山脈の風上側斜面に集中して降雨が起こる。
 ⃝風下側斜面を下降する際には乾いた高温の風となる(フェーン現象)。
⑶低気圧性降雨
⃝低気圧の中心に吹き込む大気は旋回しながら上昇し,断熱的に冷却されて降雨の原因となる。熱帯低気圧・温帯低気圧による降雨。
⑷前線性降雨
⃝寒暖両気団の接触面と地表面の交わりを前線といい,温暖前線・寒冷前線・停滞前線に分けられ,一般に前線付近では降雨が多い。

気候変動の原因・影響と社会の対応
https://www.jstage.jst.go.jp/article/dear/67/0/67_12/_pdf/-char/ja
 気候は短期的にはエルニーニョ、ラニーニャ現象に代表されるような自然のメカニズムにより常に不規則に変動している。また、太陽活動の変動や火山噴火も地球の気温に影響を与える。長期的には、約10万年周期で寒冷な氷期と温暖な間氷期が繰り返すことが知られており、現在は間氷期である。「気候変動」という言葉には、このような人間活動に因らない変動を含む意味もあるが、社会課題として「気候変動」と言った場合には、人間活動を主な原因とするという意味が込められている。
 また、「地球温暖化」は気温上昇のみを指し、「気候変動」と言った場合に極端気象や海面上昇等を含む広い意味になる、という使い分けをする場合もあるが、社会課題としての「地球温暖化」という言葉には気温上昇に伴って生じる影響も含まれるのが一般的である。したがって、文脈次第ではあるものの、「気候変動」と「地球温暖化」に本質的な区別は無いと考えて差し支えないだろう。

地すべりにまつわる話
https://landslide.dpri.kyoto-u.ac.jp/column/%E9%83%BD%E5%B8%82%E6%96%9C%E9%9D%A2%E3%81%AE%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E6%B0%B4%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%A8%E3%81%AF/

浸水履歴|市川市
https://www.city.ichikawa.lg.jp/page/6947.html

抗わず、ただ従うでもなく。坂田昌子が示す「自然をいなす」という姿勢
大事なのは、どこまでなら自然と共存できて、どこから先はお互いに無理が出るのか、その境目を意識することだと思います。結局、私たちは水が決めたことに合わせるしかない。その前提に立ったうえで、自然との境界線をどう引くのかを見極めることが、これからの時代の出発点になるのではないでしょうか。
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