だったら市川市のどこで湧き水が出ているのか問題 その5 下総台地が4つに区分されるという件について
2026(令和8)年10月10日に市川市の下貝塚と宮久保、24日に柏井町で、アスファルトで舗装された道路に水が流れ出ていると、Xでポストされていました。SNSで発信する人が存在するかどうかで、地域情報に大きな偏りがあるものの、あくまでも印象として、市川市の西側(国府台近辺)の台地と東側(柏井町近辺)の台地で、豪雨の後の水の湧き出し方が違うのではないかと。
要は、東側の台地ばかりで湧き水が続いているではないかということ。
そこで、「台地」といっても違いがあるかもしれないと調べたところ、「土地分類基本調査 東京東北部・東京東南部5万分の1国土調査千葉県1984」がヒットしたのでした。素人ではありますが、台地の違いをまとめてみました。
下総台地は、浅い海の海底でできた平坦な地形が、地盤が盛り上がったり海面が低くなったりして陸になった、「隆起海岸平野」です。そんな下総台地は、関東造盆地運動の影響で、東のほうが高く、西のほうが低くなっています。
■関東平野は現在進行形で沈んでいる 「関東造盆地運動」のお話
千葉県市川市北部は下総台地の最西端部に当たります。ということで、下総台地の中では低いほうになっています。
下総台地は、「土地分類基本調査 東京東北部・東京東南部5万分の1国土調査千葉県1984」で上・中・下・低の4つに区分されていました。
上位段丘
松戸市、柏市、鎌ヶ谷市など北部に広く分布し、太平洋(利根川水系)と東京湾の分水界があります。市川市大野から鎌ヶ谷市五香・六実までの、広い平坦な台地となっています。
13万年前から12万年前までの(新生代の第四紀の中期更新世)、今よりも温暖だった間氷期に、氷河が溶けて海面が今より7〜10mほど上昇しました。これが下末吉海進(しもすえよしかいしん)です。
下末吉海進でできた段丘が、上位段丘です。
中位段丘
「市川段丘」とも呼ばれていて、船橋市夏見から市川市中山を経て、曽谷、国府台など東京湾岸に沿う台地です。
中位段丘は、下末吉海進の後で海面が低くなっていく過程で、海退が一時的に停滞してできた海岸段丘と考えられています。ここには常総粘土層(下末吉ローム層)の下部がなく、海成砂層があります。そして上位段丘より5mほど低いものの、上位段丘との間には明確な高さの違いが見られません。
下位段丘
立川ロームがある段丘です。上位・中位の段丘を侵食する大柏川の谷の東側、具体的には市川市柏井町などで見られます。川の両岸で、段丘面が左右で非対称に発達しています。これは地盤が傾いて盛り上がったり沈んだりしたことが関係していると思われます。
低位段丘
火山灰がない、新しい段丘です。下位段丘の分布地域などで見られます。
下の地図(産総研が作成)では、低位段丘は図示されていませんでした。
![]() |
| 出典:都市域の地質地盤図「千葉県北部地域」(説明書)、一部改変 |
段丘は、海や川といった水の作用で作られます。
2万年前(新生代の第四紀の後期更新世)の氷期では、氷河ができて海面が今より120~130mほど下がりました。そして川が周囲の陸地を削って谷を作りました。
下総台地の国分谷や大柏谷は、この時期に作られたと考えられます。
その後、地球は暖かくなって、海面が上昇します。そして国分谷や大柏谷は水面下に沈みました(「溺れ谷」)。
海の波は台地を削り、削られた砂は海底に積もって砂州になり、国分谷と大柏谷を流れる川をふさぎました。
こうして、砂州の北側を通っている真間川の周辺は水はけが悪くなっていたわけです。
この「水はけが悪い」という点については、東西どちらの台地で変わりません。
そうなると、東側の台地に下位段丘があることが、長引く湧き水と関係しているように思えたのでした。
水田があった頃は重要な水源だった湧き水ですが、住宅地となった今では、「いつまで水が湧いて出るのだろうか……」という不安材料になっているようです。
約6000年前の縄文時代(※現在では7000年前)、大柏川流域は深い入り江になり、溺れ谷が形成された。その後、谷底低地は砂泥で埋積され、腐植層も含まれる軟弱な土地となっている。また、谷底低地の出口には市川砂州の高まりが東西に発達し、谷底低地は閉塞している。そのため、その北側の低地は排水不良地帯を形成し、水害の常習地(※「常襲」の誤り)となっている。谷底低地と台地の間は「谷津」と呼ばれる狭小な谷が大地を小刻みに削り、出入りの激しい複雑な地形をなしている。この谷津が多いことも大柏地区の地形的特徴の一つである。谷津には関東ローム層下部の常総粘土層が不透水層となって湧出する湧水と、その下部の成田層から湧き出る湧水がある。この湧水は季節的変化が少ないため、これを利用して昔から水田が作られていた。
『市川市・浦安市: 明治・大正・昭和 (地図に刻まれた歴史と景観 2)』 編著:小室 正紀 新人物往来社
■主な参考資料
土地分類基本調查 東京東北部・東京東南部5万分の1国土調查千葉県1984



Leave a Comment