大雨を、台風・ゲリラ豪雨・線状降水帯で分けて考えてみる

 千葉県市川市で大雨が降った際に、主にSNSを利用して道路冠水などの被害情報を集めてきました。情報のまとめを、市川みらいアーカイブに掲載しています。

●市川市内で、台風やゲリラ豪雨で道路冠水が起こりやすい場所(2026年7月18日更新)

●【令和8年8月千葉豪雨】逆走台風については去った後に長時間の豪雨・道路冠水に警戒が必要(2026年8月13日初出、2026年8月20日追記)

 数多くの情報を集めた経験から、大雨を台風・ゲリラ豪雨・線状降水帯で分けて考えたほうがよさそうだとわかってきました。

○台風:雨が数日にわたって続き、強風と海面の上昇(高潮)を伴う
ゲリラ豪雨:大雨が局地的に1時間ほど続く
線状降水帯:大雨が局地的に数時間にわたって続く

 大雨のときに、不安感をあおるような投稿を多々目にしてきました。高潮と津波を混同しているケースもありました。

 また、一般論として海沿いや川沿いの低地は水害のリスクが高いのですが、市川市内については、ゲリラ豪雨のときに下総台地の谷やすき間に相当する箇所で冠水が発生していました。低地のほうがリスクが高いと予想されている分だけ水害対策も進み、そうでないエリアだと油断が多いと考えることもできるでしょう。

 誰もが情報発信できるようになった今、情報の取捨選択と整理が必要だと、改めて実感しています。

 今回は、表題のとおり、大雨を、台風・ゲリラ豪雨・線状降水帯で分けて考えてみます。
 なお、台風・ゲリラ豪雨・線状降水帯に関係なく、道路冠水のリスクが高いのは京葉道路周辺、そして産業道路です。加えて、アップダウンがある上、交通量の多い東京外環自動車道(外環道)は、普段から事故が多いので、大雨の日は通らないほうが無難です。

江戸川の氾濫をどう捉えるのか

 江戸川区と千葉県市川市との間を流れる利根川水系江戸川については、過去10年において堤防決壊や外水氾濫(川からの越水)の事例は、ネットではヒットしませんでした。
 2019(令和元)年の台風19号(令和元年東日本台風)では氾濫危険水位を超える予測が出て、大規模な避難警報・勧告があったものの、堤防決壊や越水はなかったとのこと。

 外水氾濫は1947(昭和22)年のカスリーン台風が最後となっています(内水氾濫は多数)。埼玉県加須市(当時は北埼玉郡東村)で利根川の堤防が決壊し、江戸川の流域も浸水しました。
 ただ、被害が発生したのは江戸川右岸、つまり江戸川区側で、下流の左岸にある市川市は浸水しなかったようです。
出典:カスリーン台風の被害

 江戸川は、今も治水プロジェクトが国土交通省で進められています。

●江戸川流域治水プロジェクト

 こうした歴史を振り返ると、市川市で江戸川の外水氾濫が起こるのは非常に稀で、もしも起こったらこの世の終わりというか、人間の力が及ばない天災、災厄というか、そんな状況に市川市だけでなく首都圏全体で陥っていると予想します。


真間川などの氾濫をどう捉えるのか

 江戸川よりも心配したほうがよさそうなのは、真間川や大柏川、国分川、春木川の外水氾濫です。
 真間川などについては、1981(昭和56)・1986(昭和61)年・1993(平成5)年に氾濫したという記録がありました。つまり、30年以上、外水氾濫は起こっていません。

 ここ数年の道路冠水は、川の堤防を越えて水があふれ出したのではなく、短時間に大量の雨が降って排水施設の能力を超えたこと、そして、道路の側溝の蓋であるグレーチング(主に鉄やステンレスなどの金属を格子状に組んだもの)や側溝にゴミがたまったことなどが原因として考えられます。


 それから、順次、排水施設が整備されています。一例は、2018(平成30)年6月2日に千葉線区間が開通した東京外環自動車道(外環道)の東側区域の雨水を江戸川へ排出する大和田ポンプ場です。2017(平成29)年4月に供用を開始しました。
 また、市川南ポンプ場は、2027(令和9)年3月に完成予定です。
 排水施設の有無は浸水などとも関係するため、浸水被害などについては、古いデータだけを参考にするのは避けたほうがよさそうです。


台風をどう捉えるのか

 市川市の「大正6年の大津波」と呼ばれる歴史的な水害は、実際は津波ではなく、台風が原因の高潮でした。
 台風だと広範囲で雨が降るので、江戸川については上流域で降った雨の水も集めながら下流に流れてきます。そして東京湾では海面が上昇して江戸川の流れも緩やかになり、場合によっては逆流することも考えられます。


 そのため、東京湾沿いで江戸川・旧江戸川沿いでもある妙典・行徳・南行徳エリアでは、浸水のリスクが高いといえます。
 ただ、過去5年の台風で最も時間最大雨量が多かった2025(令和7)年9月5日の台風15号の被害状況分布図を見る限り、道路冠水についてはほかのエリアとあまり変わらず、「妙典・行徳・南行徳エリアだけが危機に陥った」という印象はありません。京葉道路周辺のほうがはるかに危険です。
 店舗・床上・床上浸水についても、基礎が低いなど建物の構造が関係していると推測できます。


●2025(令和7)年9月5日の台風15号の被害状況分布図|市川市

 台風は市川市で突然発生するわけではないので、報道されている情報を参考に、規模に合わせて風や雨への対策を適宜取ればよいでしょう。


ゲリラ豪雨をどう捉えるか

 台風と違って、ゲリラ豪雨はいつ・どこで発生するのかが予測できません。車で出かけていたらゲリラ豪雨に遭い、道路冠水で渋滞に巻き込まれるケースが散見します。

 また、市川市の場合、妙典・行徳・南行徳エリアといった低地よりも、下総台地の谷やくぼみに相当する場所で道路冠水が発生していました。「まさか、ここで冠水するの!」というような予想外の場所といえます。

●市川市内で、集中豪雨(台風を除く)で冠水などが報告された場所

 ゲリラ豪雨は1時間ほどで終息するので、安全第一で、雨が弱まるのを待つのが最善策です。

線状降水帯をどう捉えるか

 「ゲリラ豪雨かと思っていたら、なかなか雨がやまなくて、線状降水帯が発生していた」というのが、令和8年千葉豪雨です。市川市による被害情報の発表を待っているところですが、おそらく、市川市のほぼ全域で、道路が冠水しました。

●市川大百科事典 れ 令和8年8月千葉豪雨 れいわはちねんはちがつちばごうう

 線状降水帯もいつ・どこで発生するのかが予測できず、さらに、いつ終息するのかもわかりません。気象庁が線状降水帯の発生を発表したら、外出、特に車の運転は避けるべきです。
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