これからの市川市民として 「ただ老いる町」「新陳代謝する町」の話がしたい その9 成熟のフロントランナー国府台をゆく
●これからの市川市民として 「ただ老いる町」「新陳代謝する町」の話がしたい その3 フロントランナーは市川駅南北エリア(「知が集積する町」国府台編)
今回は、じゅん菜池緑地(住所は中国分)からスタートして、住宅街を通り抜け、松戸街道(県道市川松戸線)、里見公園まで歩き、実際の様子を見てきました。
じゅん菜池緑地の藤棚 |
じゅん菜池緑地に到着したときが、ちょうど小学校の下校時間だったようで、ランドセルを背負った低学年の子どもたちに遭遇しました。大勢の子どもたちを見ていると、市川市空家等対策計画の空き家率や高齢化率に実感が湧きません。「本当に、3人に1人弱(4人に1人強)が65歳以上なのだろうか」と疑問を抱くわけです。
じゅん菜池緑地から国府台を見上げると、下総台地の斜面が住宅地になっています。市川駅周辺に比べると、戸建の敷地面積は広く、凝ったデザインの住宅も珍しくありません。
ふと思いついて、1本の坂道を上ってみたところ、折れ曲がっている上に、行き止まり。計画的に住宅が建てられてはいないという印象です。
行き止まりを傾斜地の上から撮影
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ランダムに建つ住宅(傾斜地の上から撮影) |
入り組んで、行き止まりも多い道路 |
空き家と遭遇する頻度については、住宅地を歩いている範囲では、JR市川駅周辺とさほど変わりません。しかし、ぎょっとするほど荒廃が進行している空き家がちらほら。
子どもの遊具が、後から廃棄されたのだと明らかにわかる空き家もありました。
門扉の内側に、壊れた車型遊具が縦置き(樹木の奥に家屋) |
また、JR市川駅周辺などとの違いは、外国から来たと思われる人と遭遇しなかったこと。クラナリ編集人が歩き回った範囲ではありますが、JR・東西線を問わず、駅の近くの地域では、かなりの頻度で外国から来たと思われる人とすれ違っていました。
ちなみに、千葉県のデータによると、令和7年1月1日現在、市川市の人口は49万9279人で、外国人人口は2万2704人となっていました。
国府台については、傾斜地で駅から離れているなど利便性の関係で、外国から来た人にとって居住にはハードルが高い場所なのかもしれません。
国土交通省地価公示では、千葉県市川市国府台5丁目368番6で172,000円/㎡となっています。JR沿線に比べると半額程度ですが、同程度にJRから離れている地域よりも高くなっています。その点で、割高感があるのかもしれません。
なお、東京圏ということで、市川市内の地価はコロナ禍以降、上昇しています。
![]() |
国土交通省地価公示 |
国府台といえば、1884(明治17)年に陸軍省へこの土地が移管され、翌年に陸軍教導団の移転が決まりました。陸軍とともに発展した地域で、その前は畑でした。
1998年発行の『市川市国分周辺の変遷 聞き書き 資料編』に掲載されている、田中正光さんのインタビューによると、1875(明治8)年頃に、文部省が「よく調べもしないで、交通機関もなにもないのに」、大学校の建設用地として、国府台の宅地と農地を買収しています。
●市川市のガイドブックには決して載っていない話 ~松戸街道
明治初期から中期にかけて作成された「迅速測図」では、總寧寺の周辺にちらほらと集落がある程度で、あとは畑です。
畑だった名残なのか、ポンプを数カ所で見かけました。
明治の初めは畑、その後に陸軍施設、高度成長期には住宅地と変遷してきた国府台。人口減少時代に入り、市川市内では空き家率と高齢化率が最も高くなっています。その一方で、新たな住宅地が整備されている様子も見られました。
現在はトランプ・ショックで、日本の金融市場も荒れて円高が進み、近年の東京圏の地価高騰も変化があるかもしれません。また、建築工事費も落ち着くという見方もされています。
その一方で、少子高齢化は着実に進んでいます。
今後は地域に住む人の声も聞きながら、成熟時代を生きる私たちがどのような選択を行っていけばいいのかを探っていきます。
里見公園 |
■主な参考資料
不動産情報ライブラリー
令和7年地価公示
令和における住宅地の地価上昇率ランキング~東京の公示地価動向を徹底分析~
千葉県内ではJR京葉線の幕張豊砂駅(2023年3月開業)の新駅効果により千葉市美浜区豊砂27.1%が目立ちますが、東京近郊の浦安市、市川市、船橋市の主要駅エリア、流山市の流山おおたかの森駅エリアでも15%以上の高い上昇率を示しています。住宅地の1都3県ごとの上位10地点をみると、千葉県流山市の流山おおたかの森、流山セントラルパーク、南流山駅エリア、市川市の南行徳、行徳、市川駅エリア、我孫子駅を最寄とする柏市布施新町で上昇率の高さが特に目立っています。
令和6年千葉県毎月常住人口調査報告書(年報)
千葉市人口98万人、県人口の15.7%を占める令和7年1月1日現在の県人口を市町村別にみると、市部(37市)のうち10万人以上の市は17市あり、そのうち千葉市が984,874人(県人口に占める割合15.7%)で最も多く、郡部人口184,915人(同2.9%)の約5.3倍となっている。以下、船橋市648,118人(同10.3%)、松戸市499,846人(同8.0%)、市川市499,279人(同8.0%)、柏市436,463人(同7.0%)の順で続き、この5市で県人口の48.9%を占めている。郡部(16町1村)では、横芝光町が20,777人(同0.3%)で最も多く、以下、酒々井町20,141人(同0.3%)、栄町19,407人(同0.3%)、九十九里町13,262人(同0.2%)、長生村13,007人(同0.2%)の順となっている。また、本県の外国人人口を市町村別にみると、千葉市が39,775人(県外国人人口に占める割合17.6%)で最も多く、以下、船橋市24,275人(同10.7%)、松戸市24,090人(同10.7%)、市川市22,704人(同10.0%)、柏市13,455人(同6.0%)の順となっている。
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