市川市の奨学金制度。そして「市川市こどもたちの未来支援基金」は?


 大畑忞教育基金は、具体的にどのように使われているのでしょうか。
 まずは市川市の奨学金制度です。

 以下は令和6年度の市川市奨学生募集案内なのですが、来年度も同じように募集がかけられると考えられます。



 その根拠は、市川市議会の2024年6月19日の議事録です。「令和6年3月末の大畑忞教育基金の残額は約1億4,000万円」とのことなので、財源のある間は続くと推測できます。

 本市では、学力が優良でありながら、経済的な理由で高等学校等への修学が困難な方に対して教育の機会均等を図るために、大畑忞教育基金を活用した市川市奨学資金事業を実施しております。この事業は返済が不要な給付型となっており、支給額は国公立で月額9,000円、私立で月額1万5,000円でございます。募集人数は例年130人程度としております。近年の状況といたしましては、令和4年度は175人の応募に対し支給決定者は150人、令和5年度は180人の応募に対し支給決定者は144人となっております。また、令和6年度は134人の応募に対し107人への支給を予定しております。
 次に、(2)令和6年度から応募のための学力基準が変更された理由とその影響についてお答えいたします。
 初めに、学力基準を変更した理由についてです。市川市奨学資金条例におきまして、奨学金の支給要件の一つに学力が優良であることと規定されております。この学力基準は、全ての履修科目の学年末における5段階の成績の平均値で判断しております。この見直しにつきましては、千葉県教育委員会が公表している千葉県公立高等学校入学者選抜における調査書の第3学年の評定に係る調査結果の概要の成績分布表を分析し、過去3年間の評定平均が3.6であったことを踏まえ、同様の奨学金を実施している他の自治体の基準を参考に、本市におきましても3.0から3.5へ引上げを行うこととし、令和6年度は段階的な措置として3.3としております。また、千葉県でも経済的困窮世帯を対象とした奨学のための給付金制度を行っており、一部対象者が重複していることから、学力基準の見直しにより制度の差別化を図れるものと考えております。
 次に、応募者への影響についてですが、先ほど答弁させていただいたように、今年度は前年度と比較し、応募者が180人から134人に減少しております。このたびの学力基準の見直しにより、基準を満たさず応募を断念された方も一定数いるであろうことは認識しておりますが、コロナ禍前の応募者数が、令和元年が105人、平成30年が128人であることから、応募者数の減少については、学力基準を見直したことだけでなく、コロナ禍が収束し、経済社会活動が正常化に向けて動き出したことが影響していると考えております。
 次に、(3)本市奨学金支給のために必要な予算額と財源についてお答えいたします。
 奨学金につきましては、例年約1,900万円の予算を計上しており、そのうち半分の約950万円について大畑忞教育基金を財源としております。令和6年3月末の大畑忞教育基金の残額は約1億4,000万円であり、奨学資金事業以外にも、小中学校のグラウンドピアノの購入や図書館資料の整備にも基金を活用していることから、現在の執行計画では、令和10年度には基金の財源が終了する見込みとなっております。

 以上のことから、小中学校のグランドピアノ・図書館資料の購入に大畑忞教育基金は使われているようです。

 大畑忞教育基金は、大畑忞氏の孫に当たる大畑一枝氏からの寄付が原資になっています。
 寄付といえば、「市川市こどもたちの未来支援基金」です。2021年4月に「子どものために」と、市川市に1億円の寄付があったそうで、それをもとに「こどもたちの未来支援基金」を創設するとニュースが流れました。

「子どものために」1億円の匿名寄付…市が「未来支援基金」創設、最大1千万円の留学支援も
 千葉県市川市は、経済的に困窮する子どもの夢の実現を応援しようと、最大1000万円程度の留学支援などを含む「こどもたちの未来支援基金」を創設すると発表した。
 市に4月、匿名希望の市民から「子どものために」と1億円の寄付があったことがきっかけ。基金は、これを基にさらに市民から寄付を募り、積み立てる。これまでの福祉基金から、「母子」「児童」の枠組みを移設して新設する。

 大々的に発表されたという印象があった市川市こどもたちの未来支援基金」。議会や委員会でも何度か取り上げられていました。
 市川市議会の2021年11月30日の議事録は次のとおりです。

 まず初めに、市川市こどもたちの未来支援基金についてです。こどもたちの未来支援基金は、市民の方より1億円の寄附をいただいたことを契機に設置するものでございます。設置の趣旨及び経緯といたしましては、この寄附金は、当初、ひとり親家庭に対する給付金の支給等に活用する方向で検討してまいりました。しかしながら、検討を進める中で、近年、経済的な格差により進学や留学、習い事などといった子どもたちの可能性を広げる機会が失われている、こういった現状もありますことから、ひとり親世帯に限らず、次代を担う子どもたち全般に支援が必要であること。さらに給付金の支給といった生活の支援に加え、子どもたちが将来に向け夢や希望が持てるよう、また、自らがチャレンジしてみたいことに取り組みやすくなるよう支援を行うべきであるとの考えに至りました。現在の福祉基金では、母子、児童の福祉の増進を目的としていることから、子どもたちの夢や希望への支援という趣旨を明確にし推進していくためにも、本基金の設置が必要であるとの結論に至った次第でございます。


 最新は、いちかわ市議会だより令和4年2月12日号(12月定例会号)で、以後、議会では取り上げられていないようです。ネット検索では引っかかってきませんでした。
 代わりに、というわけでもないのですが、市川市のふるさと納税で同じワードを発見。

3.こども・子育て支援を推進する事業(こどもたちの未来支援基金)
こどもたちの夢やチャレンジを応援する事業、次代を担うこどもたちの育成に関する事業、安心して子育てができる地域・環境づくり など

 「あれ?」と思ったのは、『クラナリ』編集人だけでしょうか。

 なお、2024年6月19日の議事録にあった「千葉県でも経済的困窮世帯を対象とした奨学のための給付金制度」は、以下を指しているのでしょうか。

 あくまでも個人的な見解ですが、奨学金制度などにたどり着くまでにかなり労力が必要で、手続きも煩雑な印象です。マイナンバー制度で省略できる作業もあるのではないでしょうか。それから、「ピアノや図書は持て余している家庭もありそうなので寄付でもいいんじゃないかな」「給付型の奨学金を厚くしてほしいな」と思ってみたり。
 必要としている子どもたちに、ちゃんと届きますように。
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