【ローカルメディアのつくり方】後追いではない価値創造型のローカルメディアを考える ~例えば、地域住民の健康づくり

 世界的に認められた「中之条研究」について、耳にしたことのある人も多いのではないでしょうか。
人口が約1万6000人で、2015年の老年人口割合が37%の中之条町

 群馬県吾妻郡中之条町の65歳以上の全住民である5000人に、歩数と運動強度を計測できる身体活動計を、入浴時以外はずっと身に着けてもらって、身体活動と健康度の関係について調査しているのが、この中之条研究です。

 2000年に中之条研究を開始した、東京都健康長寿医療センターの青柳幸利氏は、膨大なデータを集積して解析するだけでなく、中之条町に足を運んで地域住民の健康調査も行っています。

 「1日の歩数がとても多いのに、健康度が低い人がいたんです。実は、認知症で徘徊していたんですよね」
 「旅館の女将さんは、1日1万歩以上でも骨粗鬆症になったんですよ。和服で、すり足で歩くじゃないですか? それでは歩数が多くても運動強度は足りないんです」

 青柳氏にお会いして話を聞いたときに、住民のさまざまなエピソードがわんさか出てきました。気になるデータの人がいたら、青柳氏は直接会って話を聞いていたからです。青柳氏は、町が開催する健康診断にも参加していました。

 この中之条研究が始まってから、中之条町の健康度はアップしたそうです。
 
 「身体活動計を着けていると、皆さん、張り切って歩くからですよ」

 青柳氏は笑っていました。

 地域住民の健康度を高めるのならば、データの集積・解析とともに、地域住民と直接顔を合わせての情報収集が必要ではないでしょうか。

 「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」というのは、映画「踊る大捜査線」の有名なセリフ。
 「AIはご飯食べないからね」というのは、人気ドラマ「ドクターX」のセリフ。

 市川という現場で生活し、ご飯を食べているローカルメディアの人間が、地域住民の健康度を高めるために、血肉を作るような栄養的な価値を持つ可能性もあるでしょう。

 群馬県というローカルで行われた中之条研究。もちろんアレンジすることは必要ですが、市川市のローカルメディアでも取り組める%。
かもしれません。
 2015年の老年人口割合が、中之条町では37%で、市川市は20.1%。少子高齢化では中之条町のほうが先進的と言えます。
http://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000221450.pdf
https://ecitizen.jp/Population/City/10421


 メディアは、さまざまなものの間にあって、仲立ちをする役割もあります。情報を発信することばかりにこだわらず、「媒介役」として何ができるのか、考えていきたいと思います。
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