墓相へのこだわりは高度成長期のトレンドの一種だったのかもしれない問題

  Netflixオリジナルドラマ「地獄に堕ちるわよ」が話題ですが、細木数子氏については『幸せになるための先祖の祀り方』(ベストセラーズ)などの本を出したほか、墓石商法で訴訟を提起されました。

多額の負債を抱えた歌手の島倉千代子さんの後見人に名乗りを上げて10億円以上を手にしたり、墓の購入に関して霊感商法ばりの損害賠償を求める訴訟を全国各地で起こされ、巨額の借金を抱えることになったなど『負』の部分、さらには、過去の男性関係も赤裸々に描かれているはずです


 墓石商法の前提となるのが墓相で、ネットで検索すると大量のサイトがヒットします。AIが次のようにまとめました。
墓相(ぼそう)とは、お墓の形状、方角、土地の条件から吉凶を判断する風水由来の考え方です。良い墓相(吉相墓)は子孫繁栄や健康をもたらし、悪い墓相は災いを招くとされます。一般的に東・南向きが吉、北東・北西は凶とされ、自然石や黒・赤の石は避け、手入れがしやすい環境が重要視されます。


 葬法(遺体を葬る方法)の歴史をたどると、墓相、そして墓石商法は空虚なものに思えます。

■「日本では火葬して、墓に納骨する」のは当たり前じゃなかった! 時代・地域によって大きく異なる葬法

 なお、風水の本場である中国では、政府が散骨などの自然葬を国を挙げて推し進める方針とのこと。

 歴史を見ても、社会情勢や流行などで葬法は変化してきました。それにもかかわらず、なぜ墓相にこだわるのでしょうか。




 私たちは本能的に死への不安と恐怖を抱いていて、それに対し「恐怖訴求」が使われてきたました。
恐怖訴求とは、特に、健康、病気、事故などに関する恐怖の感情を喚起し、そのブランドを使えば、あるいは、そのメッセージに示されていることをすれば、解決するということを示す訴求技法です。

 死への漠然とした恐怖、また「先祖を大切にしてこなかったから、今、家族関係がうまくいかないのだ」という一種の責任転嫁などが、墓への関心につながっているのかもしれません。
 こうした恐怖に対しては、「東向きの墓を絶対に買うべき」「今すぐ買わないと手遅れになる」といった救済策の提示が効果的でしょう。また、家族不和でこれまでの関係を見直し、再構築に努めるよりも、お金で墓を買うほうが手っ取り早いかもしれません。
 恐怖心のあおりと、救済策とのセットについては、健康食品や保険などのテレビコマーシャルでも見かけます。ですから墓相に限った手法ではありません。

 また「墓を建てる」のは日本の伝統ではなく、「戦後の高度経済成長期以降に広がった一種の“ブーム”」と宗教学者の島田裕巳氏は語っていました。
 高度成長期は、地方から都市へと主に若者が移動し、核家族化が進んだ時期でもあります。地域や親族の結びつきが減ったことでの孤立、そして潜在的な死への不安が、もしかしたら墓への関心や風水などへの一種の依存、さらには墓相へのこだわりを生み出したのかもしれません。

■主な参考資料
葬式をせずに散骨だけ…中国が国を挙げて“葬式改革” 急速に進む高齢化社会

『細木数子 魔女の履歴書』著 溝口 敦 講談社

「細木数子」がテレビから姿を消した本当の理由 島倉千代子の「16億円借金」をめぐる“トラブル”が… 「反社との交流も明るみに」〈地獄に堕ちるわよ〉

昭和天皇、エリザベス女王…世界のあの人の葬法は? 遺言かなわず、永久保存のケースも

タイの人々がお墓をつくらない理由 遺骨を「解き放つ」とは? 高僧に聞いた

マハマクト仏教大学副学長で僧のアニン・サクヤさんによると、タイで火葬が一般的なのは、ブッダが火葬されたからだ。
「仏教では人間は水、土、空気、火という4要素から成る。人が死ぬとそれぞれの要素は元に戻るのです」
なぜ散骨するのかについては、「元の場所に戻るというのが一つの考え方。ヒンドゥー教の影響もあります。ヒンドゥー教で川は神聖な場所で、悪い行いを洗い流してくれます」
お墓はいらないのですか?
「死は死、なのです。遺体や遺骨に固執してはいけません。解き放ちましょう。亡くなれば、元(4要素)に戻るべきです」

火を使わない「水火葬」とは…?! 土葬、火葬以外にもいろいろ、世界の葬法

マンション型から樹木葬まで死後の“マイホーム”も多様化

お墓は戦後に広がった一種の“ブーム”だった 少子高齢化で加速する「墓じまい」
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