今から14年後の「2040年問題」から、中核市移行を考えてみた


出典:指定都市・中核市・施行時特例市の主な事務

  中核市にはイメージアップなどの利点もあったが、制度導入から三十年近くたち、多くの自治体で財政難が深刻化する中、魅力より負担の重さが勝り始めている。


 中核市でイメージアップ??

 正直なところ、一市民としてはまったく興味がなく、ピンと来ません。市町村のイメージは実際に足を運んだときに「きれいだな」「治安が悪そう」など見聞きしたことに左右されてきました。

 千葉県松戸市の「中核市に関する市民意識調査報告書」によると、中核市制度を知らなかったという回答が84.7%でした。ちなみに調査対象は3000人で回収数は1409人、40歳未満の回答者は23.5%でした。

■中核市に関する市民意識調査報告書 平成26年3月

 現在の日本では、少子高齢化と人口減少が急速に進んでいます。そんな時代の「大都市制度」について調べてみました。


 身近な行政サービスを提供する基礎自治体が、市区町村です。そして、次のような大都市制度があります。

○都区制度

 東京都の23区(特別区)を基礎自治体とし、東京都(広域自治体)との間で役割分担を行う特例制度です。

○指定都市(政令指定都市)制度

 地方自治法に基づき人口50万人以上の市が政令で指定される制度です。道府県と同等の広範な権限と財源(福祉、都市計画など)を持ち、市独自の「区」を設置する基礎自治体です。

指定都市については、大都市行政の合理的、能率的な執行と市民の福祉向上を図るため、地方自治法及びその他の法令において、(1) 事務配分、(2) 関与、(3) 行政組織、(4) 財政の各面において他の一般市とは異なる特例が定められているところ。

○中核市制度

 人口20万人以上の都市に、指定都市に準ずる権限(保健所設置など)を移譲する制度です。



 大都市制度の歴史を振り返ると、大都市と府県との間での対立がありました。

○大都市→府県から独立したい

 人口が集中し、同じ府県の他の都市との間でニーズに差が現れていました。
 それ以上に、府県の枠組みに留まることで財源の制約が生じていたました。

○府県→財政的にNG

 大都市が府県の枠組みから抜けると、財政的に大きな打撃を受けます。

 1922(大正11)年に、六大都市行政監督ニ関スル法律で、東京府東京市、神奈川県横浜市、愛知県名古屋市、京都府京都市、大阪府大阪市、兵庫県神戸市の6つの市は六大都市に定められました。

 大正デモクラシーの時期になると、6つの市は自治権を得ようと、府県からの分離・独立を求める特別市制運動を行いました。

 そして東京市は、1943(昭和18)年に東京府と合体し、都区制度が適用されました。

 1947(昭和22)年に地方自治法が制定された際に、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市の5つの市で「特別市制度」が創設されました。しかし、市と府県の対立は続きました。
 1956(昭和31)年の地方自治法の一部改正の際に、特別市制度の代わりに「指定都市制度」が誕生しました。

 「中核市制度」は、1995(平成7)年の地方自治法改正の際に創設されました。2014(平成26)年の地方自治法改正で、中核市の要件が人口30万人以上から20万人以上となりました。


 全国にある1718の市町村の中で、20の指定都市(政令指定都市)と62の中核市があります。人口減少が進む中、指定都市と中核市でも人口が減って「税収減などで財政運営が厳しくなり、福祉を含む行政サービスに影響する可能性がある」とされていました。

■20政令市の半数が人口縮小 中核市は52市、福祉に影響も


 中核市に移行すると、保健所の設置など、およそ2500項目の事務権限が府県から移譲されます。市が人員や設備といった体制を新たに整えるため、「中核市になったけれど、人件費など財政的にも厳しいので、やっぱりやめます」というのは非効率で不適切だとされています。つまりは、後戻りしにくいということ。

 また、市独自で、保健所などの専門職の人材が確保できるのか、これから育成できるのかという点も、気になるところではあります。

 千葉県では、2003(平成15)年に船橋市、2008(平成20)年に柏市が、中核市に指定されました。

 東京都の区部の人口のピークは2035年と予測されています。
出典:2050東京戦略 附属資料 東京の将来人口

 一方、千葉県市川市については、2040年がピークで、予測は51万3142 人となっていました。

出典:市川市総合計画2026-2050概要版


 2040年は、今から14年後。10歳が24歳、30歳が44歳、50歳が64歳になっています。1971〜1974年生まれの団塊ジュニア世代が高齢者になり、高齢化率(全人口における65歳以上の人口の割合)が高まるため、「2040年問題」と呼ばれています。

 なお、団塊ジュニア世代には、悲しい過去の報告と過酷な未来の予測がされていました。
 【団塊ジュニア5つの受難】団塊ジュニア(1971〜74年生まれ)は、この国で最も割を食い続けている世代です。5つ並べます。
(中略)
受験で最も競争させられ、就職で最も冷遇され、賃金が上がらない時代を丸ごと生き、子どもを産む時期に何の支援もなく、高齢者になったら3割負担の最初の世代。この国の「先送り」のツケは、常にこの世代に回されている。


 2040年問題については、AIが次のようにまとめました。

2040年問題の主な内容
超・高齢社会の到来: 65歳以上の割合が約35%に達し、国民の約2.8人に1人が65歳以上となる。
深刻な労働力不足: 生産年齢人口(15-64歳)が激減し、2040年には約1100万人の人手不足が発生する見込み。
社会保障制度の逼迫: 団塊ジュニア世代の高齢化により、年金・医療・介護の給付費が最大化し、現役世代の負担が限界に達する。
介護・医療危機: 団塊世代(親世代)が90代となり介護需要がピークとなる一方、働き手不足で介護現場が崩壊する懸念。
インフラ・自治体問題: 高度経済成長期に整備されたインフラ(道路、水道)が更新時期を迎え、地方では自治体運営の維持も困難になる。



 市川市が中核市に移行するかどうかは、近い将来に現役世代となる今の10~40代の考えをベースに、私たちは慎重に検討する必要性が高いのかもしれません。


※中核市への移行で移譲される業務の例のまとめ
○民生
児童福祉に関する業務・老人施設に関する業務
生活保護者の保護施設や医療機関等の指定
母子福祉に関する業務

○保健衛生
食品衛生に関する業務
飲食店営業への許可、取り消し等
興行場の経営許可、立ち入り検査等
旅館、ホテル等、公衆浴場、理容業、クリーニング業、薬局、鳥処理業に関する業務
動物の愛護や管理に関する業務、狂犬病予防
感染症に関する業務

○環境行政
ばい煙発生施設
ダイオキシン類対策
一般廃棄物処理施設
産業廃棄物の処理

○都市計画・建設行政
サービス付き高齢者向け住宅

○文教行政
教職員の研修

■主な参考資料
2040年問題に備える

「東京23区の人口格差」20年先まで伸びるのは千代田、中央、港、文京、品川、渋谷のみ…すぐにも大幅減の区は? 2024.01.22

中核市市長会
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