これからの市川市民として 「ただ老いる町」「集約化する町」「新陳代謝する町」の話がしたい その8 戸建流通量が増えるのは本八幡駅南北エリアと市川駅南北エリア(ただし駅から徒歩10分圏内)
空き家率ではなく空家数に着目する
このように、明治大学政治経済学部の野澤千絵教授は述べています。著書『2030-2040年 日本の土地と住宅』(中央公論新社)では、「埼玉・千葉方面の中古戸建の流通量増加が見込まれる主要4駅から30分圏内の駅」のランキング1位が本八幡駅、第2位は市川駅となっていました。
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『2030-2040年 日本の土地と住宅』より |
ちなみに「主要4駅」は東京駅、渋谷駅、新宿駅、池袋駅です。「中古戸建」には、解体後の土地も含まれています。
具体的には、東京駅まで30分以内でアクセスが可能な本八幡駅と市川駅では、駅から徒歩10分圏内の地区に、2040年までに空き家になりそうな戸建が多いということです。
「主要駅までのアクセスが30分以下の駅で徒歩10分圏内」はニーズが高いため、「流通量増加が見込まれる」ことになります。
逆をいうと、徒歩10分圏外はニーズが低く、空き家のまま放置されて廃墟となるリスクが高いと考えられます。野澤教授の言葉では「街の世代交代がうまく実現できず」「衰退が始まってしまう危険」があるということ。
不便な場所に新たに住宅地を作るのではなく、ニーズの高い地区の空き家の流通促進・予防といった「再生にも力点を置くべき」と野澤教授は述べていました。
また、本八幡駅周辺については、「住宅等の建て詰まり」を野澤教授が指摘していました。
「建て詰まり」と言って、どんどん敷地を細分化して小さい戸建をたくさん建てる事で、以下のような問題が起きます。①家が密集して圧迫感が生まれ、景観も悪くなる②延焼など防災上のリスクが高まる③日照・通風が取りづらくなる④相隣の騒音・プライバシーが確保がしにくい⑤快適な居住面積を確保できない⑥敷地が狭いため、階段が急こう配になり、間取りも使い辛くなる⑦北側斜線を避ける為、浸水に弱い半地下が増える
確かに、2階建ての一軒家があった敷地に、3階建ての戸建を3軒建設するといった光景を、市川駅周辺でもよく見かけます。
建て詰まりだと、密集していることで解体も困難です。中古住宅としても、解体後の住宅用地としても、魅力が失われてしまいます。
ところで、空き家問題は、私たちの健康寿命とも大きく関係しているように思います。
健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されない期間、つまりは高齢者の単身あるいは二人暮らしの上限年齢ということです。健康寿命を超える単身あるいは二人暮らしの世帯では、生活を支えてもらうために施設に入るなどの必要性が生じるから、住んでいた戸建が空き家になると考えられます。
2022(令和4)年における平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳で、健康寿命は男性72.57歳、女性75.45年です。
日本で最も人口に厚みのある団塊世代は、2025年で76~78歳に達するため、健康寿命を超えています。こうしたことから、今後、空き家になる戸建の数が急速に増えると考えられます。
市川市については、今から12年前の2013(平成25)年のデータで。空き家数は約3.2万戸でした。現在のデータがヒットしないのですが、さらに増えていると考えられます。
空き家数は、平成15年に約2.3万戸であったものが平成25年には約3.2万戸に、空き家率は平成15年に10.7%であったものが、平成25年には12.6%になっており、ともに増加傾向です。
本八幡駅南北エリアと市川駅南北エリア(ただし駅から徒歩10分圏内)で、働いている、結婚している、子育てしているという現役世代に、住み心地のよい戸建が手頃な価格で提供されるようなまちづくりを、高度成長期を過ぎた成熟期の枠組みで、民間レベルでも考えていきたいところです。
■参考資料
日本の空き家問題を考える 2040年 空き家数全国予測マップ
空き家数に着目した点です。空き家問題を語る際に、よく指標とされるのは空き家率です。しかし空き家率は分母となる住宅総数が多い大都市では非常に低く、地方では高くなる傾向があり、結果として「空き家は地方の問題」という認識を強化してしまったように感じています。
東洋大学PPP研究センター
PPPの問題点は、実際に、内容、方法、時期などを決めているのは官であり、民間や市民から見ると不合理・不十分なPPPが起きてしまうという点です(=官の決定権問題)。この問題を解決するためには、Rfpにおいて、民間の能力を最大限発揮できるようにする必要があります。
第1ステップ まちづくりの方向性の整理
https://www.mlit.go.jp/common/001050343.pdf
https://www.mlit.go.jp/common/001050343.pdf
国立保健医療科学院
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