これからの市川市民として 「ただ老いる町」「新陳代謝する町」の話がしたい その7 市川市へのコミットメントは「北高南低」
東京都の人口については、全体では2030(令和12)年に、区部は2035(令和17)年にピークが来ると推測されています。
隣の千葉県市川市は、2025(令和7)年頃にピークが来るという予測が、マスタープランに書かれていました。
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都市計画マスタープランより |
2025年。つまり今年です。
東京区部では、2023年(令和5)から「100年に1度」といわれる大規模な再開発が始まりました。
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東急リバブルより |
再開発といえば、1棟当たりの戸数が多いタワマン。海外富裕層が購入しているというデータもありますが、都心で大量にリーズナブルな住戸が供給されれば、「郊外から都心へ」と、これまでの逆パターンで人が移動する可能性があります。
郊外の一つである市川市についても、各地区の人口密度や高齢化率、空き家率なども変わり、人口がピークアウトしてからは、フロントランナーが市川駅南北エリアではなくなってしまうかもしれません。
現在、市川市に住んでいるものの、東京都心で大量にリーズナブルな住戸が供給されれば移り住む可能性が高いのは、東京で働いて市川に寝に帰っている人です。まずは、昼夜間人口比率(夜間人口100人当たりの昼間人口の比率)を見ていきましょう。
令和2年国勢調査結果では、市川の昼夜間人口比率は80.78%で千葉県内で34位です。
千葉県で昼夜間人口比率が低いのは、市川市に加えて鎌ケ谷市(80.71%)、流山市(78.69%)、大網白里市(76.57%)となっています。単純にいえば、平日昼間は閑散としているということ。地理的に考えて、流山市・鎌ヶ谷市・市川市は東京のベッドタウンです。
ちなみに、市川市よりも東京に近い浦安市は96.00%。東京ディズニーランドやホテル群の影響だと考えられます。市川市の大慶園もかなり魅力的ではありますが(むしろ好き)、昼間人口には影響を及ぼさないかと。
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東京ディズニーランド公式より |
話を市川市に戻すと、以下の計算から、夜間人口(49万6676人)の中で、平日の昼間に市外で過ごしている考えられるのは52.59%でした。市民の半数以上が、平日の昼間を市外で過ごしています。おそらく、通学・通勤で市の外へと移動している健康な若い世代と働き盛りの世代と推測されます。
また、農業や漁業、その他自営業(飲食業など)だと、平日の昼間は市内で過ごしているでしょう。そうなると、働き盛りの世代で会社勤めの人が市外で過ごしていることになります。
○夜間496676
○自宅20169+自宅外の市川市内で従業・通学86458+従業も通学もしていない128831=235458
○昼間は市外にいる 496676-235458=261218
○夜間人口の52.59%が、通学あるいは会社勤めで昼間は市外で過ごす
また、「市川には寝に帰るだけ」という人は市政への関心が薄いと考えられます。
そこで、2023(令和5)年に行われた市川市議会議員一般選挙で、どの投票所で投票率が低かったのかを見ていきましょう。「令和5年4月23日 執行 市川市議会議員一般選挙 投票速報」で、78カ所ある投票所の中で投票率が低かったのは以下のとおりでした。
1 二俣小学校 28.46
2 富美浜地域ふれあい館 29.15
3 行徳支所 29.38
4 新井地域ふれあい館 30.45
5 広尾防災公園管理棟 30.69
6 新井小学校 30.96
7 信篤市民体育館 31.00
8 いきいきセンター田尻 31.92
9 香取地域ふれあい館 32.04
10 幸小学校 32.07
11 行徳小学校 32.29
12 新浜小学校 32.46
13 福栄中学校 33.08
14 押切自治会館 33.10
15 伊勢宿自治会館 33.33
16 妙典中学校 33.64
17 本行徳公民館 34.42
18 原木中山ファミールハイツコミュニティセンター 34.69
19 南行徳公民館 34.94
20 稲荷木小学校 34.99
19番目まで中山・行徳・南行徳エリア、そして20番目が市川駅南エリアの投票所です。それにしても、12カ所の投票所で、投票したのが3人に1人以下という……
地域へのコミットメントは自治会や子ども会への参加なども関係するのでしょうが、一つの指標として投票率を挙げるのならば「北高南低」の傾向が見られました。
以下のような関連性が考えられます。
○高齢化が進んでいる地域は、昼間に市内で過ごし、これからも市内で暮らすつもりの人が多い
→自分が住む地域の安全などへの関心度が高い
→市政に関心がある
○通学・通勤で市外へと移動している健康な若い世代と働き盛りの世代は、職住近接を求めて都内へ移り住む可能性がある
→自分が住む地域の安全などへの関心度が低い(「ほかのところに引っ越しすればいいや」という意識がある)
→市政への関心がない
現在のフロントランナーの市川駅南北エリアとは違って、人口減少時代での変化は急激なものになるかもしれません。市川市の人口ピークは今年だと見込まれているため、これまでとは違う傾向の流れが見えてきそうですね。要注目。
なお、78カ所ある投票所の中で投票率が最も低かった二俣小学校は、「(仮称)信篤複合施設整備事業」が予定されている信篤地区です。この事業で、地域へのコミットメントが変わっていくかもしれません。
■参考資料
タワマン価格が「一気に暴落」する日はくるのか…転売を繰り返す人々を待ち受ける「天国と地獄」
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