これからの市川市民として 「ただ老いる町」「新陳代謝する町」の話がしたい その5 「早い時期での集落形成と空き家率は直結しない」市川第2編

 市川市が作成した市川市空家等対策計画の「⑦市川第2」は、町名が新田、平田、大洲、大和田、東大和田、稲荷木、そして市川南の東半分に相当します。なぜこのような区分にしたのでしょうか。不思議です。
市川市空家等対策計画より


 市川市ができる前は、新田・平田・市川南が市川町で、大洲・大和田・東大和田・稲荷木は行徳町でした。行徳町は、1955(昭和30)年に市川市に編入しています。
市川市の概況の把握 より



 また、住宅地ができるタイミングも、稲荷木は明治の時点で集落ができていて、新田は太平洋戦争後でしたが、大洲については現在の大洲防災公園に明治乳業工場があった頃です(今昔マップ)。

 そのため、「⑦市川第2」の空き家状況や高齢化率は、もう少し細かく地区を分けて確認したいところです。

  高齢化率については、町丁別・年齢別人口(令和6年9月30日現在)で計算してみました。市川南は東西で分けられているため、除外します。

 町名 高齢化率

 新田 19.52%
 平田 20.86%
 大洲 23.86%
 大和田 21.20%
 東大和田 17.11%
 稲荷木 21.85%
 

 町名 人口密度

 新田 19546.81人
 平田 15189.56人
 大洲 16329.34人
 大和田 14257.46人
 東大和田 15663.97人
 稲荷木 9474.58人 
 
  大洲には、大洲防災公園・大洲中学校・大洲小学校・北越コーポレーション(株)関東工場があります。そして大和田には、第八中学校・鶴指小学校・市川市文化会館があります。これらの敷地を差し引くと、人口密度はさらに上がると考えられます。
 
  Googleマップでざっくりと、各町から主要駅まで歩いていく場合にかかる時間を出してみました。
 

 町名 主要駅まで徒歩でかかる時間

 新田 ローソン 市川新田三丁目店から市川駅まで徒歩18分、本八幡駅まで徒歩21分
 平田 平田公園から市川駅まで徒歩19分、本八幡駅まで徒歩15分
 大洲 大洲防災公園から市川駅まで徒歩18分
 大和田 二九八家 いわせから本八幡駅まで徒歩19分、市川駅まで徒歩29分
 東大和田 東大和田公園から本八幡駅まで徒歩13分、原木中山駅まで徒歩35分
 稲荷木 バス停から本八幡駅まで徒歩28分、原木中山駅まで徒歩35分
 
  高齢化率は、大洲>稲荷木>大和田>平田>新田>東大和田となっています。そのため、宅地化が早く進んだかどうか、また、主要駅から近いかどうかと、高齢化率とは関係はないという結果が出ています。

○集落が早い段階でできていた稲荷木は、大洲よりも高齢化率・人口密度が低い


 なお、市川市空家等対策計画の「③曽谷」は縄文時代後期の貝塚があり、古い時代から人が住んだ土地です。空き家率は8%と低めですが、高齢化率は「①国府台」と並ぶ29%(同率一位)となっています。このことから、高齢化率と空き家率は直結しないことがわかります。
  空き家率に対しては、1住宅当たりの敷地面積や敷地の形(旗竿地など)などが、高齢化率よりも与える影響が大きいと考えられます。

※現在の江戸川(江戸川放水路)が開削された地域が、「大和田」と呼ばれていました。江戸川の開削で土地を失うことになり、稲荷木の北に集落が移動して、現在の大和田になったと考えられます。もともとは本行徳の人たちが北へと移動する形で集落が広がっていき、大洲も本行徳の人たちが開拓した土地でした。大洲にある大洲神社の祭神は、市川市本行徳にある神明社(神明神社)から勧請された豊受大神(トヨウケノオオカミ)です。
 
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