これからの市川市民として 「ただ老いる町」「集約化する町」「新陳代謝する町」の話がしたい その2 人口増減だけで「勝ち・負け」を決めつけられない

 税収が絡むし、数字として「勝ち・負け」が見えやすいことから、人口(特に子育て世代)が増えるかどうかが地方公共団体の成否にされがちです。
 しかし、人口が急増した地域では、医療施設や教育施設のひっ迫、交通渋滞などの問題が発生しています。
 また、少子高齢化と人口減が続く日本では、人口が増えている地域があるということは、減っている地域もあるということ。つまり、人口増の周辺で過疎化が進んでいる可能性もあります。

 今回は「勝ち組」としてメディアに取り上げられている埼玉県さいたま市について調べてみました。
埼玉県(埼玉県サイトより、一部改変)



 埼玉県さいたま市の総人口は、2018(平成30)年9月に130万人を突破し、2024(令和5)年12月の時点では135万607人となっています。
データから見るさいたま市より


 さいたま市については、2001(平成13)年に旧県庁所在地である浦和市と、大宮市、与野市が合併して誕生し、2005(平成17)年には岩槻市を編入しています。 面積は217.5 km²。
 なお千葉県市川市周辺の市の面積は、市川市は56.39 km²、浦安市は18.79km²、船橋市は 85.62km²、松戸市は61.33km²なので、この「千葉4市」を足して埋め立て地を引いたくらいの広さがさいたま市ということになります。

「千葉4市」の人口

○市川市  495,035人 2024/12/25
○浦安市 171,218人 2024/12/05 
○船橋市 648,208人 令和6(2024)年12月12日
○松戸市 499,794人 2024年12月11日
 
 「千葉4市」の人口は、合計で181万4255人となります。

 さいたま市の人口増加の要因として、交通の便が挙げられます。浦和駅から東京駅までは約25分、大宮駅から新宿駅までは約31分、浦和美園駅から飯田橋駅までは約40分、それぞれ乗り換えなしでアクセスできます。

 東京から40分。

 「千葉4市」については、すべて東京から40分圏内にあります。総武線快速であれば、東京駅から稲毛駅までが38分(千葉駅までが41分)。中央・総武線であれば秋葉原駅から幕張本郷までが38分、JR京葉線快速であれば東京駅から千葉みなと駅までが37分となっています。
 交通の便だけを取り上げると、都心に行くには「千葉4市」のほうが短時間で済むということになります。ただ、大宮駅は東北新幹線の停車駅であり、都心以外へのアクセスについては「千葉4市」よりも便利です。

 空き家率は、さいたま市は驚異的に低く、令和3年度に実施した水道閉栓データに基づく調査では空き家率が1.9%とのこと。

「千葉4市」の空き家率

○市川市   11.2% 平成 30 年(2018 年)
○浦安市 10.5% 平成 30 年(2018 年) 10 月1日現在
○船橋市 10.4% 平成30年調査
○松戸市 12.5% 平成30年住宅・土地統計調査

 なお、東京都の空き家率は、10.6%(平成30年住宅・土地統計調査)と報告されています。
 「千葉4市」・東京都と比較して、さいたま市は現在進行形で住民が増えていて、「空き家を放っておくなど、もったいない」と新陳代謝が活発な状態と考えられます。

 さいたま市の大規模な再開発と人口急増に伴って、特に医療面での問題が報道されています。





 さいたま市には、どこから転入しているのでしょうか。

 2018(平成30)年のさいたま市の転入状況を見ると、県内の移動が24.6%と約4分の1を占めています。
データから見るさいたま市より

 埼玉県のデータだと、隣の川口市からさいたま市への移動が多くなっています。

 川口市のサイトを見ると、人口の増減は大きくないものの、「外国人は10年間で約1.7倍に増えているきゅぽ!」とありました。なお、川口市のマスコットは「きゅぽらん」で溶解炉のキューポラがモチーフになっています。

 さいたま市は、2013年で11階建以上の高層マンションが330棟以上あるとのことで、現在も再開発が進み、タワマンの建築予定もあります。

 他県の住民である『クラナリ』編集人としては、「医療」が気になるところではあります。高齢になるほど病気にかかりやすく、その一方で医療・福祉従事者の不足が社会問題になっています。


 人口増減だけで「勝ち・負け」を決めつけられないし、人口増を単純に目標化すると住民の生活が逆に脅かされる可能性もあるのではないでしょうか。
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