『闇金ウシジマくん』で考える、「ウシジマくん過ぎる」宮城・柴田町男性殺害事件
『闇金ウシジマくん』の第1話「奴隷くん」には、パチンコ依存症の女性たちが登場します。その一人が、幼い子どもと離婚問題を抱える主婦でした。
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| 闇金ウシジマくん 1 |
第1話「奴隷くん」を連想させるのが宮城・柴田町男性殺害事件。Xには「ウシジマくん過ぎる」（https://twitter.com/mayo420v3v/status/1854704754951377243）というポストがありました。
ネットニュースを追ったところ、被害者の男性の元妻は、事件の起こる15年前にパチンコ店で加害者と出会います。このスタートから、「ウシジマくん過ぎる」のです。
以下、宮城・柴田町男性殺害事件をまとめました。
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| 赤で囲んだのは今回の事件に登場する地名（宮城県地域マップより、一部改変） |
宮城・柴田町男性殺害事件
2023年4月17日の朝、宮城県柴田町の住宅玄関先で、会社員の村上隆一（54＝当時）さんが、作業着姿で血まみれになって倒れていると近隣住民からの119番通報がありました。パン工場に勤めていた村上隆一さんは、この住宅に一人で暮らしていました。
2023年8月に、村上隆一さん殺人容疑で逮捕されたのは、村上隆一さんの次男で無職の村上直哉（24＝逮捕当時）と、長男の妻である無職の村上敦子（47＝同）でした。
その後、証拠隠滅容疑で、宮城県大河原町に住む無職の松野新太（49＝同）と妻のみき子（43＝同）が逮捕。村上敦子と松野新太は元夫婦です。
さらに、村上隆一さんの長男、つまり村上敦子の夫で無職の村上保彰（31＝同）と、村上敦子の姉である市瀬恵美（48＝同）が逮捕されました。ここまでに登場した計6名は、美人局詐欺での逮捕でした。
事件の中心にいるとされるのが、村上敦子です。
1976年頃に村上敦子が生まれました。
村上敦子の父親が寿司店を経営しているときに、市瀬恵美と村上敦子が生まれたようです。その後、店を畳み、家族は宮城県角田市と白石市の間にある集落に移り住んだとのこと。
この村上敦子の実家では、2回、火事があり、どちらも全焼しています。
1998年の毎日新聞地方版に、当時の火事を報じる記事があったそうです。1998年であれば、村上敦子は22歳と考えられます。
〈1階座敷から出火、木造2階建て住宅1棟約173平方メートルを全焼した。角田署の調べでは、座敷にはこたつやストーブなどがあったという〉（記事より）
ニュースでは、火災保険がおりたという、近隣住民の話が紹介されていました。
村上敦子には複数回の婚姻歴があり、松野新太とは元夫婦でした。村上敦子と松野新太は白石市の定時制高校で出会い、若くして結婚。3人の子どもをもうけるも、15年ほどの結婚生活を経て離婚しました。子どもについては、おそらく1人目と2人目が娘で、3人目が息子です。
2008年頃、当時32歳の村上敦子は、パチスロ店で村上隆一さんの元妻（村上保彰・直哉兄弟の母親、以下「A子さん」）と知り合います。2人とも常連客でした。
村上隆一さんは、村上直哉が小学３～４年生だった2007年頃にA子さんと離婚していました。当時は、村上保彰が16歳頃、直哉は9歳頃です。
A子さんは、離婚後、村上保彰・直哉兄弟とともに暮らしていました。ゴミ屋敷で、電気などが止められることもあったようです。
村上敦子とA子さんは親しい間柄で、家を行き来し、子ども同士も一緒に遊んでいました。
しかしある日、村上敦子は敦子の母の容体が悪くなったのはA子さんが風邪をうつしたからだと言い、治療費を払うように要求。お金を持たないA子さんに売春を強要し、金を巻き上げていました。
A子さんが売春で家を空けることが多い中、村上敦子が兄弟のために温かいご飯を作ったり衣服を提供したりしていました。
2010年頃から、幼い子どもがいて生活に困窮していた市瀬恵美（村上敦子の1歳上の姉）が、A子さんの売春の相手を出会い系サイトで探し、売春を手伝うようになりました。
また、2010年頃には、A子さんが村上保彰・直哉兄弟と住んでいた宮城県大河原町のアパートの１室で、火事が起きています。
その後、村上直哉は父である村上隆一さんと暮らしましたが、2011年に村上敦子が村上保彰と再婚し、村上直哉も同居するようになりました。村上敦子は36歳、村上保彰は20歳、村上直哉は13歳でした。
いつしか村上敦子と村上直哉は肉体関係を持つようになりました。
A子さんの売春は、村上直哉たちの協力を得て、売春を理由にたかり・ゆすりを行う美人局に発展。出会い系サイトでA子さんと知り合った50・60代男性から、村上直哉たちは不倫関係の示談金名目で現金をだまし取っていました。
2013年頃には、生活に困窮していた松野新太・みき子夫婦が美人局に加わりました。松野新太・みき子は2007年頃に結婚しています。
過去に松野新太は村上敦子と結婚していたものの、不倫が原因で離婚しました。そのため、村上敦子に慰謝料を払う必要がありました。
しかし松野新太・みき子夫婦には収入が少なく、6人の子どもがいて、生活保護を受けていました。また、松野新太・みき子夫婦は村上敦子を頼りにしていたため、村上敦子の勧めで松野みき子が売春をし、稼いだ金を借金の返済や生活費に充てるようになって、美人局に発展したのです。
A子さんは、最初は敦子の母の医療費を払うために売春をしていました。その後、村上敦子によるロマンス詐欺もどきで、「サヤマ」という架空の男性と村上隆一さんの元妻がネット上で交際をし、「サヤマ」にお金を送るためにA子さんは売春を続けました。
この「サヤマ」は、村上敦子が作り上げたキャラクターです。
2019年、村上敦子が営んでいた宮城県角田市のパン店が火事になりました。タバコを吸ってばかりの村上敦子は経営に熱心ではなかったと、コメントする人がいました。
開店して半年もしないうちに火事。
火災保険はおりたのでしょうか。
2020年の11月頃に、村上敦子は脳梗塞になりました。
2021年に、村上敦子の娘の内の1人が、一軒家を購入しています（名義は娘の夫）。この家には、村上敦子の祖母、娘夫婦とその子ども（男の子で敦子被告人にとっては孫）、さらに村上保彰と村上直哉が住んでいました。おそらく、A子さんも住んでいたと考えられます（お金もなく、ほかに住むところもなさそうなので）。村上敦子の祖母は、ほどなくして、この家を出たとのこと。
2022年2～3月、A子さんの売春の売り上げが悪くなってきたので、村上敦子たちは「殺して生命保険の保険金を得よう」と話し合うようになりました。
それでA子さんの元妻は、このグループから逃げたいと市瀬恵美に相談します。市瀬恵美も逃亡資金がないので、村上隆一さんに話をしました。
市瀬恵美から話を聞いた村上隆一さんは、「息子たちを犯罪者にしないため、敦子から引き離す」と言っていたとのこと。
2022年5月7日、村上隆一さんは25万円をA子さんに渡し、A子さんは宮城県外に逃亡しました。
2022年に、村上敦子の息子は、一軒家を購入しています。再婚して、妻と2人の幼い子どもがいるとのこと。村上敦子の息子は一軒家を購入するに当たり、村上隆一さんから150万円を借りていました。また、村上敦子・保彰夫婦と、保彰の弟の直哉が住むための賃貸物件も契約していました。
もともと村上隆一さんが住んでいたのは、宮城県大河原町の木造2階建ての一軒家。母と姉との3人暮らしでした。
2023年2月25日夜、この家が火事で全焼。消火に当たった消防団員の男性は、現場にいた村上保彰が「直哉が灯油をこぼして線香の火が引火した」と話しているのを聞いたのだそうです。家の燃え方は激しく、男性は「灯油であそこまで家が燃えるのか」と不思議に思ったとのこと。
2023年3月、村上隆一さんは宮城県柴田町の家に引っ越してきました。この家が、宮城・柴田町男性殺害事件の現場です。足が不自由な母、そして姉と離れ、一人暮らしをしていました。
2023年4月15日、村上敦子たちが宮城県村田町のコンビニにいたとき、村上隆一さんから次男の直哉に「犯罪行為の証拠を持って、4月18日に仙台の弁護士事務所に行く」というLINEが来ました。
2023年4月16日の夜、マージャンをするために、村上敦子たちが村上隆一さんの家にやって来ました。村上隆一さんにとっては、息子2人、長男の嫁、嫁の姉です。
そして2023年4月17日の朝、この家の玄関先で、村上直哉が刺し身包丁で村上隆一さんを刺し、殺害。凶器の刺し身包丁を、松野新太・みき子夫婦が白石市で埋めて隠匿しました。
2023年4月20日に宮城県村田町の葬儀場で、村上隆一さんの葬儀が行われました。この時点で村上敦子と村上直哉は疑われていたようで、顔がしっかりと撮影されていました。
村上隆一さんが亡くなった後、村上保彰の口座には退職金など約1750万円が振り込まれ、村上直哉の車のローン返済などに充てられたそうです。
■主な参考資料
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