ブラック企業とマインド・コントロール
『ローカル女子の遠吠え』(著/瀬戸口みづき 芳文社)というマンガに、ブラック企業に勤めていた女性が登場します。その企業では、社員を名前ではなく、番号で呼んでいたという設定。
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https://twitter.com/setoguchimizuki/status/707032336508932096 |
現実のブラック企業として、有名になったのが「はれのひ」。ウィキペディアでは、以下のように説明されています。
はれのひ
はれのひ株式会社は、神奈川県横浜市で振袖の販売、レンタル、着付け、フォトスタジオを運営していた企業。
2018年(平成30年)1月8日(成人の日)に突然休業し、翌1月9日より全店舗を閉鎖し事実上の事業停止状態となった[4]。同年1月26日に横浜地方裁判所から破産手続開始決定を受けた[7]。
はれのひの創業者であり元社長の篠崎洋一郎氏。詐欺罪で懲役2年6月の実刑の判決が下りています。
https://www.sankeibiz.jp/smp/compliance/news/181219/cpb1812191024001-s1.htm
この篠崎元社長が、従業員に復唱させていたのが"はれのひキラキラ言葉"。
「ありがとう」
「ツイてる」
「幸せ」
こうした言葉を、毎日、従業員は大きい声で言わされていたのだそうです。
【洗脳】はれのひキラキラ言葉とは?‟あの実業家”の言葉がもとになっていた!?https://koku-byakunews.com/archives/13701
"はれのひキラキラ言葉"のベースになっているのが、実業家の斎藤一人氏が提唱する天国言葉とネットでは書かれています。篠崎元社長のオリジナルではなさそうです。
長者番付トップ100に見る「驚愕の格差」〜人生が狂った大富豪たち(週刊現代) https://gendai.ismedia.jp/articles/-/49742
『マインド・コントロールの恐怖』では、マインド・コントロールを行うときに、新しい言語体系を身につけさせ、新しい名前を与えると書いてありました。
この本で紹介されていた「認知的不協和理論」で考えると、あえて「ありがとう」「幸せ」と言わせることで、実際は感謝する場面でもないのに「これはありがたいことなんだ」「私は幸せなのだ」と思い込ませた可能性があります。
本来、「ありがとう」「幸せ」は外部から強制されるものではありません。自然と心の底から湧いてくる感情です。口にする言葉と実際の状況の不協和を解消させたいという心理を利用して、従業員の感情をコントロールしたのでしょう。
また、「こんな雇用形態はおかしい」「もしかしたらブラック企業ではないか」と従業員に思わせないように、キラキラ言葉を連呼させていたとも考えられます。
逆をいえば、「感謝してます」「ありがとう」「ツイてる」「幸せ」と従業員に連呼させる会社は、ブラック企業ということ。ですから、従業員側は逃げるのが正解です。
「感謝してます」「ありがとう」「ツイてる」「幸せ」と口にしたところで、うまくいかないことは、図らずもはれのひが証明してくれました。
また、「頑張る」→「顔晴る」、「最高」→「最幸」などの当て字も、はれのひでは使われていたようです。
以下のブログでは「この手の当て字を駆使する奴が売ってるサービスや商品に中身がある事はまずありません。真っ当な商売をしている人間や企業には常識、良識、知識があるので、間違った日本語を使うなんて恥ずかしいことはできないからです」とばっさり。
「アニキに愛に行く」の衝撃 : Flat 9 〜マダムユキの部屋http://flat9.blog.jp/archives/86225211.html#more
同じブログに記載されていますが、この手の当て字を駆使する奴は、「大富豪になるためのマインドをシェア」「人と人をつなげたい」「人と人がつながっていくハブを作りたい」などと連呼するそうです(ハブのもともとの意味は、車輪の中心にある太くて丸い部分で、ひいては中心にあって周りを集める部分という意味で使われます)。
自分の経験でも、「人を人がつながっていく居場所作り」「オープンな空間」と謳いながらも、チェーン店のカフェよりも手抜き空間で、”「人と人をつなげたい」症候群”の人々だけの巣窟になっているケースもありました。マルチ商法などの温床になっていることもあるので、要注意。
ブラック企業やマルチ商法など、マインド・コントロールを利用しようとしている集団では、独特な新しい言語体系を使っています。こうした言葉遣いから、その集団から逃げるかどうかの判断をするのは有効です。
今はマンガなどで扱われるジャンルが広がり、ブラック企業やマルチ商法、新興宗教も素材になっています。こうしたマンガから、独特な新しい言語体系を知るのも一つの手です。
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