【コミュニティづくり入門】とても気になる「未来食堂」

 「コミュニティカフェって、地元のカフェと何が違うの?」

 そんな疑問を抱えてしまい、『コミュニティ・カフェをつくろう!』と『小さなカフェのつくり方』の2冊をまずは読み比べました。
 
 その結果、正直なところ、コミュニティカフェとカフェ(チェーン店ではない)の違いはわかりませんでした!

 『コミュニティ・カフェをつくろう!』では"コミュニティ・カフェづくりは「おもい」からはじまる"、『小さなカフェのつくり方』では"カフェのコンセプトを決めよう"と、文章表現は違っても、内容はほとんど変わらなかったのです。
 違いがあるとしたら、コミュニティカフェはボランティアが運営することが前提になる場合もあること程度。

 事業として続けていく際に、マーケティングをしたり、慢性的な赤字にならないようにしたりすることは、「コミュニティ」がついていようがいまいがカフェの経営には重要です。

 上記の2冊では結局は違いがわからずじまいで、「コミュニティカフェ」という言葉の据わりの悪さを感じているときに、手に取ったのが『ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由』。


 「カンブリア宮殿」「ガイアの夜明け」などの番組に、著者の小林せかいさんは出演しているそうです。

 小林さんが経営する未来食堂には、「まかない」「ただめし」「あつらえ」「さしいれ」というシステムがあります(以下、『ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由』目次より抜粋)

1 まかないーー50分の手伝いで1食無料
お客様でも従業員でもない“第三の立ち位置“
新しい働き方――飲食業での“クラウドリソース"
笑われながら考えた、「お金がない人でも来れるようにしたい」
まかないさんが受け継ぐDNA――チェーン店展開ではない、未来食堂の進化の形

2 ただめしーー壁に貼られた1食券を剥がしてもってくれば無料
“毎日使う人がいたらどうするの?――人が人を救う難しさ
「“ただめし券"の持ち帰り禁止」――試行錯誤の中でルールが生まれる
何が正しいのかはわからない
名前はない。日付だけが記される“ただめし券"――螺旋型コミュニケーション

3 あつらえーーあなたの好みに合わせておかずをオーダーメイド
“おまかせ"と“あつらえ"の違い
食材を区分しない“冷蔵庫の中身リスト"/求められているのは“完成された一品"ではない
ランチタイムは"あつらえない"ことで"あつらえる“
 真のゴールは"あつらえない"こと

4 さしいれーー飲み物の持ち込み自由。ただし半分はお店に差し入れ
利他的行動が起こしやすくなる秘密
“店に寄付"と“他のお客様に寄付"の違い
“シェア"と“さしいれ"の違い

 
 これらのシステムについて、詳しくは本書を読んでもらうとして、私が「そういうことだったのか!」と納得したのは「第4章 未来食堂のあれこれ」の198ページ。

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未来食堂の理念は「誰もが受け入れられ、誰もがふさわしい場所」。"誰もが"の中には子どもも存在しますから、子どもを受け入れる形である<子ども食堂>は良さそうだと漠然と感じました
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そんな<子ども食堂>を実際に視察してみると、「自分だったらここに来たくない」という強烈な違和感を覚えたのです。"世話好きの優しい大人がたくさんいる""おじいちゃんと仲良く皆でカルタ" …。そんな空間に足を踏み入れ、『私だったら1人でご飯食べてオンラインゲームしているほうがいい』と思う自分がいました。道徳的に正しすぎて、自分には居心地が悪く感じられたのです。昔を振り返ってみても、私は決して"優等生"ではありませんでした。それも理由なのかもしれません。
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 小林さんは、<子ども食堂>の是非を問うているのではなく、強烈な違和感の正体を考えたのでした。

 そして小林さんは次のことに気づいたのです。
●貧困や孤食の子どもといった、ごく一部の子どもを<子ども食堂>は対象にしてはいないか
●「地域活性化」に引きずられていないのか
●自分のようにどこにも居場所がないと感じている子どもが欲しがる場所を作ればいいのではないか

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家でも学校でもない自分。そんな自分が受け入れられる場所が、当時の私は欲しかったのです。
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 こうして小林さんは「精神的飢えを満たす場所」を目指して新しいサービスを開始したとのこと。

 私自身については、日テレの一大イベント「24時間テレビ」の是非を問うつもりはないのですが、「私はなんか違うな……」と居心地の悪さを感じて、別のチャンネルに変えてきました。
 この居心地の悪さを「コミュニティカフェ」という言葉にも感じているのだと、小林さんの文章から気づいたのでした。

 「誰もが受け入れられ、誰もがふさわしい場所」を作ることが小林さんの事業目的。
 そんな小林さんも、モヤモヤやイライラを抱えているようです。

 小林さんの考案した「ただめし」は、50分の手伝いで1食無料になる「まかない」を来店者にプレゼントできるシステム。
 ある意味「善意の1食」ですが、お店に来るたびにただめしを食う人に、小林さんはいら立ちを覚えたそうです。

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本当に困っている人であれば、毎日だって使っていいはずです。そして、(ここが大事なところなのですが)本当に困っていなくても、毎日だって使っていいはずです。なぜなら、その方が本当に困って使っているのかを問うことは本質ではないからです。
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 頭では上記のように考えていても、いざ、ただめしを食っておきながら「ありがとう」も「助かりました」もない人が目の前に現れると、複雑な思いを抱いたようですね。自分の感情も含めて、理論的に突き詰めていくところが理系なのかなとも……

 だからこそ、小林さんはまかない、ただめし、あつらえ、さしいれといった、ややこしいシステムを実現させて、黒字経営ができているのかもしれません。

 こうした小林さんの姿勢を勉強し、複雑な思いを安易な言葉でごまかさないようにして、コミュニティカフェについて私自身の考えを深めながら記事をまとめたいと改めて思いました。
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