超文系人間がちょっと細かく調べてみた どうして風が吹くのかな?
地上の風については、大気と熱が関係しています(宇宙にも風が吹いていますが、別物)。
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地球(写真/NASA science) |
大気は、地球を覆っている空気(窒素、酸素、二酸化炭素など)で、地面に近いほうから対流圏、成層圏、中間圏、熱圏の4つの層があります(大気の外側の層は外気圏)。空気が地球の重力に引っ張られることで、大気は鉛直方向(重力が働く方向)に層ができているのです。
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中層大気大循環より |
地上から高さ10~16kmまでの対流圏には、大気の80%が存在しています。
太陽の光は、透明な大気を通り抜けて、地上に達します。すると、太陽の熱を受けて地面が暖まり、地面に接している空気も暖まります。ですから、太陽の光が当たっている間は、地上に近いほど大気の温度が高くなります。そして、上下の大気が入れ替わる対流(鉛直対流)が起こります。
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Wikipedia(NASAの資料)より |
重力に引きつけられた大気が地表が押す力、つまり大気の重さが、気圧です。
気圧の単位であるヘクトパスカル(hPa)の由来は、フランスの思想家であるブレーズ・パスカル(Blaise Pascal)にあります。「人間は考える葦(あし)である」という名言で知られるパスカル。パスカルの原理とは、「流体が密閉された状態で静止している場合、その流体の各部分にかかる圧力は等しい」というものです。「流体」は、水や空気などの液体・気体の総称です。この原理の発見者であるため、圧力の単位(Pa)にその名がついたというわけです。なお「ヘクト(h)」は100倍を意味します。
太陽の光で地表が熱されて、その熱で大気の温度が上がると、膨らむことで密度が減少します。つまり空気が薄く、軽くなって、その分、気圧は下がります。
一方、冷たい空気は、密度が増加して重くなり、気圧が上がります。
こうして気圧差が生じるのです。
軽くなった空気は上昇します(鉛直対流)。
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東京学芸大学気象学研究室より |
このように、風は大気と熱があることで発生し、重力が関係しています。加えて、地球には回っている(自転している)ために生じる力があります。これが中学理科で登場した「コリオリの力」で、「フーコーの振り子」はコリオリの力で説明されます。
フーコーの振り子(名古屋市科学館より) |
コリオリの力は北半球では右向き、南半球では左向きに働きます。そのため北半球にある日本にやってくる台風は、風が吹く方向に対して右に曲がる力を受けるため、風は中心に向かって右向きの流れとなり、反時計回りに渦を巻くことになります。大阪市立科学館の説明がとてもわかりやすいので、ぜひ参照してください。
■月刊うちゅう 2002 Vol.18 No.10台風はなぜ左巻き?
まとめると、「どうして風が吹くのかな?」の答えは、「地球が空気に覆われていて(大気)、地表が太陽の熱エネルギーで温められて大気が動くから」となります。
地球が自転しているために、風にはコリオリの力が働きます。さらに、地形(陸、海、山など)、雲、物体(ビル、列車など)も風に影響を与えています。
現在の都市では、複数の高層建築物で、風の吹き方が乱れています(ビル風)。
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『都市の風環境ガイドブック』(編/日本風工学会 森北出版)より |
「市川市の天気予報は、晴れ時々曇り。15時の風向きは北西、風速は2m/s(メートル毎秒)」となっていても、河川敷や駅前などといった市内の各所で風向きや風速が異なるのは、建物が大いに影響していると考えられますね。
※余談1
対流圏の上にある成層圏では、対流が起こりません。成層圏は、対流圏の上部から地上50kmまでの間です。
成層圏ではオゾン濃度が高くなっています。オゾンとは、酸素原子が3つくっついたもので、オゾンの多い層をオゾン層といいます
オゾンは紫外線を吸収して大気を温める効果があります。ですから、太陽の光に近い成層圏の上のほうは温かく、下のほうは冷たくなっています。
※余談2
太陽では、水素の核融合で熱エネルギーが発生しています。熱エネルギーは、光という電磁波に形を変えて、地球に届いています。光としての熱の移動形態には、熱放射と熱伝導、熱対流があります。地球に熱エネルギーが入ってくるのは、主に熱放射です。
※余談3
古くから、風は私たち人間に大きな影響を与えると考えられてきました。
東洋医学では、風は「風邪(ふうじゃ)」として病気を原因の一つと考えられていました。
また、古代エジプトの都市では砂漠からの熱風を、古代ローマでは厳しい冬の冷風を、家に入れないように計画されていたのだそうです。
■主な参考資料
『風はなぜ吹くのか、どこからやってくるのか』著/杉本憲彦 ペレ出版
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