再開発はどうしてタワマンがセットなのだろうか問題 ~ 目黒区民センターの再整備も建設工事費高騰でストップ
桜の名所である目黒川沿いにある東京都目黒区の区民センターは、1974(昭和49)年の竣工で、老朽化のために建て替えられることとなり、2034年度中にオープンが予定されていました。SNSなどによると、建て替えに伴いタワマン(高層マンション)建設計画があったとのこと。
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区民センターの歴史より |
目黒区では2018年度から建て替えに関するプロジェクトを進めてきたようですが、今年になって事業内容を大幅に見直すことになりました。
その原因は、やはり建設工事費の高騰。
東京・目黒区は、老朽化した区民センターなどの再整備に向けて、事業者の公募を進めていましたが、工事費の高騰を背景に、参加の意向を示したすべての事業者から予算内での実施が困難だとの考えが示され、区は公募を中断し、事業内容を改めて検討することになりました。
区資産経営課によると、事業は民間のノウハウや資金を活用するPFI方式を採用し、2018年度から検討を続けてきた。昨年7月に事業費の予算(提案上限価格)を約398億円と決めて事業者の公募を開始。今年5月に事業者を決定して28年度に着工する計画だった。小学校は33年度、区民センターは34年度に利用開始予定だった。だが、昨年10月、公募に応じた全ての事業者から、人件費や物価の高騰で工事費が上昇して区の予算内に収めるのが困難になったとの意見が出たため、区は公募を中断。その後、予算を算定し直した結果、事業費は約94億円増えて約492億円に上ることが判明したという。
『クラナリ』で過去にも紹介してきたように、日本各地で再開発が見直しを迫られています。
1970年に竣工した東京都品川区にあるTOCビル(東京卸売センター)は、2023年3月に閉館したのですが、4月に建て替えが延期になり、同年9月に営業を再開しました。
東京・五反田にある「TOCビル」の建て替え延期が決定した。現在のTOCビルを閉館し、地上30階の新たな高層ビルに建て替える計画だったが、運営するテーオーシーは9日、昨今の建築費高騰やビル賃貸市況に鑑み、計画を見直すと発表。3月末に閉館していたTOCビルは、検査・メンテナンス、リニューアルを経て、9月頃に再開する予定。
総武線沿線でも再開発が進んでいたり予定されたりしていますが、建設工事費の影響は免れないでしょう。
また、再開発が進む東京都渋谷駅周辺で、SHIBUYA SAKURA STAGE(渋谷サクラステージ)や道玄坂通 dogenzaka-dori(複合商業施設の名前)が閑散としている、また、東京都港区の麻布台ヒルズがガラガラだというレポートもありました。
こうしたことから、今、再開発のあり方を見直す節目が来ているようにも感じられます。
■主な参考資料
さよなら再開発? 中野サンプラザ「事業費46%増」、TOCビル「着工延期」 オフィス空室率増加で「負の連鎖」今後どうなる?
【区民コラム】目黒区美術館の取り壊し、区民センター 一帯の高層施設化 & 民間事業委託化、このままでいいですか?
区民センターの歴史
開業1年半で閑散「渋谷・道玄坂通」大苦戦の"真因"
渋谷サクラステージ"閑散"に見る「再開発の現実」
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