インボイス制度で、フリーランスの交通費の請求書はどうなるのか その1 交通費を仕事の報酬と見なすケース

 ※フリーランスの編集者・ライターである『クラナリ』編集人は、2023年10月1日からのインボイス制度(適格請求書等保存方式)導入を機に、消費税の免税事業者から課税事業者となりました。インボイス制度に関係するさまざまな情報で、右往左往している真っ最中なので、記事には不正確な情報が含まれている可能性が多々あります


 フリーランスの場合、ギャラ(報酬)に交通費が含まれる場合と含まれない場合があります。
 交通費の扱いは各社で異なるため、仕事を始める前に確認を取っておいたほうがよさそうです。


 例えばA社では、以前は、当方から請求した交通費や資料代などが支払われる際に、源泉徴収されませんでした。しかし、あるときから「税務署の指導」で源泉徴収されるようになりました。

 A社の社員だと、もちろん源泉徴収されません。そのため、新幹線のチケットや資料となる書籍は、当方の分も社員が買ってから送ることが増えました。
 非効率な上、送料がかかります。税務署というのは、なんとも面倒なことをA社にさせるものだと思いました。

 B社は、東京近郊での打ち合わせなど、近距離では交通費が請求できず、地方出張の場合は請求できるというシステムです。このシステムを採用している企業が多いようです。

photo/パブリックドメインQ



❶交通費を仕事の報酬と見なすケース

 「税務署の指導」後のA社は、交通費も仕事の報酬と見なすケースに相当します。

謝礼、研究費、取材費、車代などの名目で支払われていても、その実態が報酬・料金等と同じであれば源泉徴収の対象になります。しかし、報酬・料金等の支払者が、直接交通機関、ホテル、旅館等へ通常必要な範囲の交通費や宿泊費などを支払った場合は、報酬・料金等に含めなくてもよいことになっています。

 交通費も報酬なので、所得税の課税対象となります。そのために、源泉徴収されたというわけです。
 収支に差額が出ることを防ぐために、当方(フリーランス側)の経理上では「旅費交通費」として帳簿をつけます。
 交通費の領収書は、確定申告の際に保存が当方に義務づけられています。

 一般的に、交通費を使ったら領収書を発行してもらい、先方に送る請求書にコピーを添付します。Suicaなどの交通系ICカードを利用した場合は、利用履歴を提示します。そして原本は、当方の確定申告に使用します。
 請求書の品目には「交通費」と記載し、移動の目的や区間も記載する場合がほとんど。
 
 電車や飛行機、バス、タクシーの乗車賃、そして高速料金やガソリン代には、すでに消費税10%が含まれています。
 そのため、原稿料やその他謝礼など、消費税10%を上乗せして請求するものとは、項目を分ける必要があります。

❷交通費は「立て替えた」と見なすケース

 「税務署の指導」前のA社のように、フリーランスが交通費を立て替えて支払ったと見なすケースもあります。
 立替金なので、報酬には含まれず、源泉徴収の対象になりません。



 「❶交通費を仕事の報酬と見なすケース」は、消費税10%を上乗せして請求しないため、クライアントからフリーランスには消費税が支払われません。
 報酬と見なすために所得税の源泉徴収は行われるわけですが、消費税の確定申告を行う場合には、どのような計算になるのでしょうか。
 結論からいうと、「税額を計算するときに売上には含めない」「適格請求書等に記載した消費税で計算する(交通費については請求書に消費税を記載しないので除外)」ことになりそうです。


■参考資料
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