1300年前の国府台の断崖絶壁を再現してみたいのだ 4 東京ドーム8個分の崖崩れが起こった?
前回の 1300年前の国府台の断崖絶壁を再現してみたいのだ 3 台地はもっと大きく、崖はもっと荒々しかったのだ では、欠真間が、国府台の崖崩れの土砂が江戸川に流されて、堆積したことでできた地域という、地名の由来を紹介しました。町名別面積で、欠真間の面積は0.356平方キロメートルとされています。
欠真間の面積は、東京ドーム約8個分。また、千葉県船橋市のアンデルセン公園約1個分、里見公園約4個分に相当します。
単純に、アンデルセン公園1個分の土地を国府台の崖の横に持ってくると……
グーグルマップより、一部改変 |
かなり広範囲で、崖崩れが起こったのだと推測できます。また、江戸川の流路も、今よりも西側だったのではないかと。
浮世絵「利根川東岸一覧」を見ると、岩肌(地層?)が見えているところと、そうでないところがあります。「そうでないところ」を赤丸で囲みました。左側の崖とは、まったく印象が違います。
そのため、浮世絵で岩肌がむき出しのところ、現在の里見公園の展望スポットから羅漢の井にかけてが、崖崩れスポットだと考えられます。
国土地理院地図、一部改変 |
上記の地形図の赤丸が、「利根川東岸一覧」にある「そうでないところ」で、白の矢印が崖崩れスポット。地形図で見ても、江戸川が白の矢印のところで蛇行しているのがわかります。
地形図に、東京ドーム約8個分の土地を目分量で、また「利根川東岸一覧」の地形を目分量で描き込むと、以下のような感じになりました。
国土地理院地図、一部改変 |
なんとも不思議な地形です。
現在の根本橋とつぎ橋(大門通り)のところ、そして「利根川東岸一覧」にある「そうでないところ」だけ、どうして砂がたまって土地が盛り上がっているのか、謎でしかありません。
ところで、「葛飾の真間の入江にうちなびく玉藻刈りけむ手児奈し思ほゆ」という歌があります。また「利根川東岸一覧」に描かれているように、根本から真間までというより、京成電鉄の北側一帯が水浸しの状況だったようです。
入り江(入江)とは、どんな地形を指しているのでしょうか?
陸地に湖や海が入りこんだところ。起伏のある陸地が沈降したり,海面や湖面が上昇すると,もとの陸地の谷に海水や湖水が浸入して入り江をつくる。三陸海岸や四国海岸などのリアス海岸や,ノルウェーのフィヨルドには入り江が多い。
海や湖が陸地に入り込んだ所。入り海。
ネットで調べると、上記のように説明されていました。この説明なら「湾」と変わらないようにも思えます。
わん【湾〔灣〕】1 海が陸地に入り込んでいる所。「湾口・湾内/峡湾・港湾」2 (「彎」の代用字)弓なりに曲がる。「湾曲・湾入」
以上のことから、どちらも同じ意味で、広義では入り江も湾。個人的なイメージだと、「湾」は「東京湾」「相模湾」のように広いところにも使われ、「入り江」は狭いところによく使われています。
なお『万葉集』には、浦廻(うらみ)という言葉も出てきます。
葛飾(かづしか)の 真間の浦廻を 漕ぐ船の
船人騒く 波立つらしも
作者未詳(東歌) 『万葉集』 巻14-3349 雑歌
うら-み 【浦廻・浦回】
入り江。 海岸の曲がりくねって入り組んだ所。 「うらわ」とも。
真間の入江=真間の浦廻で、こうした表現からも、1300年前の国府台の周辺は「海」と捉えられていたように推測できます。
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