ウェットティッシュやシャンプー・コンディショナーに要注意！ 「イソチアゾリン系」防腐剤がかゆみ・赤みの原因にも
ウェットティッシュや冷却ジェルなど、水分を含んだ状態を保持する日用品。
シャンプーやコンディショナー、ボディソープなど、湿気の多い浴室に置くことが前提の、液体の洗浄剤。
こうした商品には、防腐剤が使用されています。
そのほか、化粧水・美容液・乳液・フェイスクリームといったスキンケア製品、化粧下地・リキッドファンデーションといったコスメも同様に、カビなどが生えないように防腐剤が配合されています。
防腐剤は、商品の品質を保つために使われているわけですが、かゆみや赤みといった症状が現れる接触皮膚炎を引き起こしたという報告も少なくありません。
接触皮膚炎には、次の2種類があります。
刺激性接触皮膚炎
毒性のある物質で皮膚が障害を受けて、炎症が起こる。物質に初めて触れた場合に炎症は起こるのだが、一定量以上が皮膚に接触すると、誰にでも発症する。
アレルギー性接触皮膚炎
抗原抗体反応で炎症が起こる。原因物質がほんのわずかの量でも発症する。
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| https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/69/1/69_13/_pdf より |
防腐剤として、イソチアゾリン系化合物を配合したシャンプーで頭皮のかゆみが発症したなどの例が多いと、皮膚科専門医や化粧品開発者が警鐘を鳴らしていました。
【パンテーン等のシャンプーに注意】・パンテーン/ラックス/h&s/ダヴ等、イソチアゾリノン系防腐剤を含むシャンプーがある・この成分に対するアレルギーが急増し懸念されている・頭皮が痒い方はイソチアゾリノンを含まないシャンプーに変えると良いかも・ドゥーエのシャンプーは低刺激で比較的安全
メチルクロロイソチアゾリノンは、特にアミノ酸系のシャンプー類で使用されることが多くなっています。アミノ酸系のシャンプーは微生物に弱く、強い防腐効果を求められる上、洗浄成分の原価が高いのでコスト削減のために使用されることが多いのだそうです。
さて、学会での化粧品による、かぶれの話の続き。前にもお話した、イソチアゾリノン系の防腐剤。（中略）学会のほうでも、もう堪忍袋の緒が切れて、この前の皮膚科学会でしたかね、メーカー名商品名、実名公開でした。あまりにもヒドいから。被害者多すぎ…。で、2016年に、日本化粧品工業連合組合に言って、業界では、自主規制となったそうです。なのに、まだ売られている…。使っている被害者が跡を絶ちません…。
イソチアゾリン系化合物には、メチルクロロイソチアゾリノン（MCI）やメチルイソチアゾリノン（MI）などがあります。また、Kathon CGは、メチルイソチアゾリノンとメチルクロロイソチアゾリノンの混合物を含む防腐剤の商品名です。
イソチアゾリン系化合物は、非常に少ない量で、微生物とカビの両方に効果があるそうです。しかも、水に溶けやすい性質なので、開発者にとって扱いやすい防腐剤とのこと。
化粧品関連の規制で、日本だと以下の濃度で使用が可能だと定められているようです。
○洗い流す製品では、メチルクロロイソチアゾリノンとメチルイソチアゾリノンを足したものの濃度が15μg/g以下
○メチルイソチアゾリノンだけの場合には100μg/g以下
ただ、たとえイソチアゾリン系化合物の濃度が低くても、アレルギー性接触皮膚炎の場合、少量で炎症が起こってしまいます。
頭皮など皮膚のかゆみや赤みなどに悩まされている場合、まずはシャンプー・コンディショナーと化粧品類の成分表示を確認しましょう。そして「～イソチアゾリノン」「Kathon CG」と記載されていたら、使用を中止して様子を見ることがお勧めです。
ただ、正しく表記されていない例もあるという報告が出ていたため、液体の商品であるシャンプー・コンディショナーや化粧水などは、「防腐剤不使用」の商品を選ぶというのもいいでしょう。
なお、同じ防腐剤でもパラベンはアレルギーが少ないという論文が出ているようです。
接触皮膚炎の治療は、原因の除去が原則。かゆみ止めの薬を使う前に、現在使用している身の回りの商品、特に液体の商品の成分をチェックしましょう。
■参考資料
イソチアゾリン系抗菌剤による健康被害
家庭用品中の接触皮膚炎を引き起こす防腐剤の実態
洗浄製品におけるイソチアゾリノン：感作された患者と市場からのサンプルの液体クロマトグラフィータンデム質量分析による分析。
化粧品中の防腐剤"Kathon CG"による接触皮膚炎
皮膚科医に限らず知っておきたい香粧品や外用薬による接触皮膚炎
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/69/1/69_13/_pdf
シャンプーの防腐剤を徹底解説！体に優しい防腐剤はどれ？
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