ドクダミの薬効

 道端にひっそりと生えているドクダミ。地上部を抜いてもまた生えてくることから「厄介な雑草」と思われているのではないでしょうか。

 そんなドクダミは、「十薬」とも呼ばれ、さまざまな症状に対して毒出し(デトックス)効果を発揮する薬草です。
 葉、花から根茎まで、すべて薬として使われてきました。

 ベトナムでは野菜として、生葉がサラダに使われると聞きました。

 「えっ、生で食べるの……?」
 そう思いつつも、若い葉っぱを食べると、シャンチャイ(パクチー)のような味わい。

 ドクダミの花は、白い苞に囲まれた、中央の黄色の部分です。花が咲く時期が、最も薬効が高いという考え方もされています。

 ホワイトリカーに漬けたものを化粧品として使ったり、虫刺されには生葉をもんで出た汁を塗ったり、さまざまな使われ方をしてきました。

 夏が終わる頃まで道端に生えていると思いますので、ぜひ観察してください。

 また、不測の事態が起きて腹痛やかゆみに襲われたときには、身近に薬草があることを思い出してほしいとも思います。薬草は、私たちが生き残るために先人が研究した、サバイバル手段の一つなのですから。



 ドクダミは東アジアに広く分布する、多年草草本です。白くて細長い根茎が地下に伸びて、根茎から芽が出ます。ドクダミを抜いてもまた芽が出るのは、抜く際に切れた根茎が地中に残っているからです。抜いても芽が出るしぶとさから、「しぶとぐさ」などとも呼ばれていました。

 中国では「魚醒草」という名前で、『本草綱目』という古い薬学書にドクダミの記載があります。ドクダミを乾燥させた葉は漢方薬の材料(生薬)にも使われ、生薬名は「十薬」です。
 日本では、『大和本草』(著/貝原益軒 1709年)に「甚だ臭あし」 、『和漢三才図会』(著/寺島良安 1713年)では「その臭きこと言い難し」「能く便毒に伝けて良し」 と書かれていたそうで、昔の人もドクダミのにおいには困っていたようです。
 ドクダミの生葉のにおいの成分(デカノイルアセトアルデヒド、ラウリールアルデヒド)に強い抗菌性があることがわかっています。

○お茶の作り方
 花が咲いているときに、根茎ごとドクダミを引き抜き、表面のゴミを水で洗い落します。そして根茎で束ねて風通しのよい場所につるし、日光に当てて短期間で乾燥させます。乾燥した葉を、風通しのよい日陰につるして保存しましょう。

 一般に、花が咲く時期に薬効が最も高まると言われているのですが、咲く前や咲いた後でも効果は得られます。花にはそれほどこだわる必要はありません。ちなみに、花のように白く開いているのは、苞と言って葉です。中央の黄色の部分が花なのです。
 こうした作ったドクダミのお茶は葉や茎を適宜ハサミで切ってから、緑茶と同様、急須に入れお湯を注いで飲んでもいいでしょう。
 また煮出す場合、沸騰したお湯1リットルに大さじ1~2のドクダミの葉・茎を入れ、弱火で5分ほど加熱する方法があります。私は母が作ったドクダミ茶を子ども時代に飲んでいた経験もあり、やかんにドクダミの葉と茎を一つかみ入れて、沸騰させたら火を止めて冷ますという、かなり適当な煮出し方をしていました。

 なお、私が取材した薬学博士は、お湯の量が半分になるまで煮詰めたほうがいいと話していました。 
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