「孤独」対策としての生業

イギリスでは「孤独」対策に国が取り組み、「孤独担当相」が新設されたというニュースがありました。
[ブレグジットの影で進んでいた「孤独」の健康被害。英国で委員会発足]
では、「国民の5人に1人が孤独に苛まれている」というイギリスの実情が紹介されています。

すでに経済発展を遂げて社会が成熟化したという点で、日本はイギリスと似ているのではないでしょうか。
「市川で暮らしと生業をつくるLab(クラナリラボ)」第1回ワークショップで挙がった市川の問題でも、その多くに「孤独」が関係しています。

■第1回ワークショップで挙がった市川の問題
○自分自身にとって解決したい(解決したかった)問題
1 キャリアを仕事として生かせる場所が市川にない(ボランティアで活動したいわけではない)
2 学童保育が足りない(特に高学年)
3 アレルギー対策の情報が不足している
4 趣味として磨いてきた技術を仕事にしたい(ステップアップしたい)
5 地元で人間関係のつながりが足りない

○隣人などが抱えていると予想できる問題
1 中高年ニート・引きこもり(子どもに何らかの障害がある場合もある)
2 一人暮らしで孤立している老人
3 食の貧困による健康状態の悪化


「孤独」とは、実は厄介な問題です。理由は次のとおりです。

●自覚がない
当の本人が「孤独だから自分は苦しんでいる」という自覚がないケースは少なくありません。

ワイドショーで道路を私物でふさぐ迷惑おじいさんや、大音量を発生させる迷惑おばさんなどが頻繁に紹介されています。

隣人に嫌われて孤立している彼らは、本当は「孤独」がつらいのに、感情では「怒り」として認知しているのではないでしょうか。ワイドショーのレポーターに対して「私は静かに暮らしたい」「ほっといてくれ」などと彼らは語りますが、実際は周囲から大きな注目を集める行動を取ってしまうからです。

●一緒にいるのは誰でもいいわけではない
たとえ「自分は孤独だ」と苦しんでいても、「他人と一緒にいられれば、それでいい」というわけでもありません。むしろ集団の中のほうが孤独に感じる人もいます。

人間とは、面倒くさい生き物なのです。

クラナリラボのワークショップでは、一人ぼっちで食事をする「孤食」は子どもだけでなく、大人でも問題が多いのではないかと指摘がありました。
まさにそのとおりなのですが、子どもと大人では問題点が異なります。

子どもの場合、親の都合によって一人ぼっちでの食事が強いられています。
一方の大人は、食事については「行きつけの店を作る」「知人を誘う」など数多くの選択肢がある中で、自ら孤食を選んでいることが多いのです。
孤食の大人に対し「みんなで食べましょうよ」「栄養バランスにも気をつけて」などとストレートに伝えても、彼らは「うるさい」「おせっかいだな」「どうしようと私の勝手だ」と反発を覚えるだけではないでしょうか。


だったら、クラナリラボでは「孤独」をどう扱っていくのでしょうか。

[アレルギーの人にぴったりのおしゃれを提案する「アレルビューティー」(仮)企画作成]でも書いたとおり、変化球で「孤独」対策となる企画を作るということになります。

実はクラナリラボ自体も、「孤独」対策がベースにあります。
仕事を長く続けてきた人間は井戸端会議が苦手で、仕事を通さなければコミュニケーションがうまく取れない傾向があります。ですから、何らかの理由で仕事がストップしたら、一気に「孤独」になるわけです。

年齢や体力、家族の問題などで遠くに仕事に行くのは難しくても、地元で短時間だったら働ける。生活できる程度のお金さえ稼げればいい……
そのような生業は自分一人ではつくれないので、必然的に誰かとコミュニケーションを取ることになると私は考えています。

高度成長時代には、企業が地域の代わりの役割を果たしていたと思います。しかし今は終身雇用制の維持が危うくなり、企業への帰属意識を持ちにくくなって、人と人を結びつける地域の役割が見直されているはずです。

8年前にNHKが「無縁社会」という番組を作り、現代は家族や地域などでの人間関係が希薄になり、孤立する人が増えている社会だと紹介していました。
このようなとらえ方に、私は違和感を覚えます。市川市内には自治会と子ども会があり、私はこうした会に参加して「地縁」を実感しているからです。

自覚がなく、一緒にいる人を選ぶタイプの「孤独」は、地元で生業をつくって対策する方法が一つ。
ほかにも、生業レベルの仕事で「孤独」対策ができる可能性があります。さまざまな方法をクラナリラボで考えていきましょう。

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photo by Toffee Maky
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