カゼをひいたときに漢方薬を選ぶ目安

※今回、ここで紹介する内容は、くまもと中医クリニックのサイトにある「呼吸器疾患における漢方治療」を参考にしています。とても勉強になるサイトなので、お勧めします。

 五臓六腑の肺は、呼吸に関係する鼻とのどだけでなく、皮膚もつかさどります。



 カゼで発熱すると、水(すい)で熱を下げます。そのために肺の水が足りなくなると、乾燥した咳が出るのです。



 肺は空気中からエネルギーである気を取り込み、腎に静かに下ろします。腎が、気をとどめるのです。腎の働きが落ちて気をとどめられなくなると、やはり咳が出ます。


カゼのタイプと漢方薬

○風寒(ふうかん)

 発熱・発汗はせず、悪寒がします。鼻が詰まり(鼻閉)、透明な鼻汁が出て、のどが腫れます。関節や頭も痛みます。
→葛根湯、麻黄湯

○風熱(ふうねつ)

 発熱します。のどがひどく腫れて、痛み、炎症を起こしています。咳と、ベタベタした黄色い痰、ねっとりした鼻水が出ます。
→麻杏甘石湯、銀翹散、桑菊飲

○痰熱壅肺(たんねつようはい)

 セキと、ベタベタした黄色い痰が出ます。口の中が乾燥し、高熱が出て、便秘をします。胸に痛みを感じることもあります。
→清肺湯、竹茹温胆湯

○痰湿阻肺(たんしつそはい)

 胸部に不快感があり、ゼーゼーと音がします。白い痰が大量に出て、食欲不振に陥ります。
→二陳湯、六君子湯

○寒喘(かんぜん)

 寒暖差アレルギーがあり、寒くなるとクシャミや鼻水が止まりません。白く、薄い痰が大量に出ます。顔色が白く、手足が冷えます。
→小青龍湯、苓甘姜味辛夏仁湯、麻黄細辛附子湯

○熱喘 (ねつぜい) 

 発熱して、ゴホゴホと咳が出ます。ベタベタした黄色い痰がのどに絡んで、苦しくなります。顔ものども赤くなり、口の中が乾きます。便秘を伴うことも。
→麻杏甘石湯、五虎湯

○気鬱痰阻(きうつたんそ)

 ストレスでぜんそく発作が出ます。痰がたくさん出ます。「胸脇苦満(きょうきょうくまん)」といって、肋骨の下を押すと、抵抗感があり、痛みます。
→神秘湯、柴朴湯

○肺陰虚(はいいんきょ)

 コホコホと空咳が出て、のどが乾燥します。痰はそれほど出ません。陰虚は、気血水の中で水が不足している状態を表します。
→麦門冬湯、滋陰降火湯

○肺気虚(はいききょ)

 とにかく疲れやすくて、無気力。咳や息切れが出るほか、汗をかきやすくなります。
→補中益気湯、六君子湯

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